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2019年05月30日

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自分の実家は(これは禅宗によくある形式なんだけど)稲荷神社と寺が一緒になってる。

それと屋根続きで自宅部分があって、祖父が隠居するので隠居部屋を立て、さらに古くなっていた家屋部分も立て直して、現在ほとんど完成している。

住職は父が(父は養子)後を継ぐことになって、今年の冬にその儀式(?)をやるらしい。

父が住職になって、兄も正式に坊さんとして活動することになる。

家が完成したら帰って来いといわれたので八月の末帰る予定だ。

そんな実家だが、もともと仏教は死んだものは天にのぼるか地に落ちるか輪廻するしかないから霊魂という概念がない。

あるのは日本仏教だ。

だけれどうちには妙な話が多い。

母もその妹である叔母も私も力の大小は問わず霊感体質で、ヒステリックだ。

(叔母はもう亡くなっている。

)よく夜中トイレ起きのときに、檀家のおじいちゃんやおばあちゃんが廊下をすーーっと歩いていったのを見たという。

そして、必ず翌日かその日の夜中に訃報が届く。

まさに母が見たその人だ。

さて、これはそんな母の霊体験だ。

母はよく夜にうなされ、隣の部屋で寝ている私をうめき声で呼ぶ。

(というより不安なので起こしに行くしかないのだが)その日はたまたま私は母の呼びかけに気づいて起きる前に意識があった。

見れば空間が入り混じってマーブル模様のようになり、壁からは無数の男の顔が出てくる。

天井からも床からも。

私は母を助けに行きたいと思っても唯一出せるのは声だけだ。

「おかあさーん」

と、初めて叫んだ。

母も同じものを見て、やはり私の名を叫んでいた。

どのくらい時間がたったのか分からないまま朝になって、その日は母も私も熱を出し、学校を休んだ。

posted by まとめ at 08:00 | 怖い話
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