日本を出発してカトマンズで10ヶ月近くの旅になった。久しぶりの日本の活字を読んで楽しくなり、レンタル本を毎日借りるようになった。日本人の友人とナガラコットに行く約束もしていたが、1人になって夜明けまで本を読んでいる方が楽しくなり、その約束はぶっちぎる事となってしまった。昼過ぎに起きて、遅い昼食を取り、ダルバール広場に足を運び1時間ほどボーっとして、本のレンタルをして、シャワーを浴びて、夕食を取りに出かけて、夜に本を読みだす。大体、1冊の本を1夜で読み切る。そんな生活が続いた。完全に自分はカトマンズで沈没してしまっていたが、その生活に満足していた。ビザも15日間しかなかったが、延長して更に15日間のビザを取得した。沈没と分かっていても、それが楽しかった。外に出ると地元の若者が流暢な日本語で話しかけてくるが、1週間も同じ行動をしていると挨拶程度にしか声を掛けてこない。彼らの目的はトレッキングに同行・案内をして、その料金を取る仕組みだが、トレッキングに行きたいと思わなく、彼らも自分がトレッキングに興味がない事が分かるとシツコクして来なくなったからだ。彼らは貧困層で定職に就けなくて、旅行者をターゲットにしているので、自然と英語・日本語・フランス語を話せるようになっていくのだ。日本で就職したら、語学が堪能な人材なので企業は正社員として欲しいだろう。しかし、彼らには、そのチャンスさえないので可哀想だと思った。特に彼らはボッタくる事はしないのだが、地元の旅行会社がトレッキングの手配をしてくれるので、観光で来ている人達は旅行会社に頼んでしまい、トレッキングの案内の仕事も満足に出来ないのである。道端にたむろしているネパール人に声を掛けられてトレッキングに行く人は、そんなにいないのが現状であった。そして、自分は自分の世界に入りこんでしまい、沈没の生活を毎日繰り返すだけになってしまっていた。
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