人の「怒りやすさ」と「頭の良さ」の関連について調査した最新の研究からは、「怒りやすい人は自分のことを賢いと考えている」という実態が研究結果によって明らかになった。
この研究はポーランドのワルシャワ大学の科学者であるMarcin Zajenkowski氏らの研究チームが行ったもので、「怒りやすさ」と「賢さ」という2つの観点を結び付ける関係が明らかにされたこの研究についてZajenkowski氏は、「最近のプロジェクトでは、怒りとさまざまな認知機能との関係を調べました」と説明している。
怒りは、より相手に働きかける志向を持つ「アプローチ・オリエンテッド」なものであり、楽観的なリスク認知と全体的に楽観的なバイアスがかかったものであるというのがZajenkowski氏の研究による結論なのだが、一般人には少々わかりずらい。
論文には「怒りやすい」と答えた人の多くは、自分の認知能力を高めに見積もる傾向があることが判明し、一方、怒りやすい傾向を持つ人の中でも神経質な傾向を持つ人は、実際の状況よりも自分の認知能力は低いと考える傾向にあることもわかったと述べている。
研究チームは、この傾向を説明するキーワードとして「ナルシシズム(自己愛)」という概念があげられると指摘。
Zajenkowski氏はこの点について、「怒りやすい気質の人格であるほど、『narcissistic illusions(自己愛的な幻想)』と結び付いている」と述べている。
今回の研究では「怒りやすい人ほど、より自己愛が強く、自身の知力を高めに見積もっている」ことが判明しており、一方で、その「怒りやすさ」は実際の知力レベルには関連が認められないという点を把握しておくことが重要であるとのこと。
研究からは「怒り」と「自己愛」という2つの要素の関連が認められたが、実際にどのような仕組みでこの2つの要素が相互に作用しているのか、その詳細はまだ明らかにはされておらず、今後の詳細な研究が待たれる段階のようだ。
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