2023年10月12日
EAとアルゴリズム取引
金融市場においては、海外の情勢やニュースによって株価や為替が大きく変動することがあります。しかしそうした要因がないにも関わらず、市場価格がいきなり乱高下するケースも時折起きています。そのトリガーとされているのが機関投資家による「アルゴリズム取引」です。
「アルゴリズム取引」は「システムトレード」とも呼ばれ、コンピュータによる自動売買取引のことを指します。EAもその類といえるでしょう。MT5においては「アルゴリズム取引」という名称となっています。
コンピュータシステムが、株価や出来高などに応じ、株式売買注文の数量やタイミングを自動的に決めて、注文を繰り返す取引です。
「アルゴリズム取引」は、証券会社独自のノウハウをプログラミングとして織り込むことで、機関投資家により有利な条件で約定できるようになっているのが特徴です。従来のトレーディングルームでのトレーダーによる売買は過去のものとなっています。
コンピュータを駆使した取引には、従来からの電子取引執行システムを活用し、取引所に直接注文を自動執行するDMA(ダイレクト・マーケティング・アクセス)というものもありますが、これは「アルゴリズム取引」のようにコンピュータがより有利な価格を判断するプログラミングを駆使して取引することは行いませんので、区別されています。
なお「アルゴリズム取引」とよく似たもので、HFT(ハイ・フリクエンシー・トレーディング)というものもあります。これは、高頻度取引または超高速取引と呼ばれています。EAでいうところのスキャルピング取引ですね。
HFTを行っている証券会社は、取引所またはそれに隣接した場所に自社の高性能サーバーを設置し、そこで自社のコンピュータを稼働させ、瞬時に数千回もの取引を行うことができるのです。
HFTを実施する場合も、コンピュータによる執行が欠かせませんが、それには超高速執行する手順を具体化するプログラムが重要です。 一方「アルゴリズム取引」では、市場データの分析をベースにつくられるものであり、HFTとは直接関係はありません。執行が遅いアルゴリズムトレードは数多く存在します。すなわち、アルゴリズムトレードのすべてがHFTを前提にするものではないといえます。
「アルゴリズム取引」にはさまざまな種類がありますが、代表的なものは以下の通りです。
(1)ステルス注文
市場に気づかれないようにカムフラージュして注文を出す手法です。板とよばれる売買状況には、さしたる注文がなかったはずなのに、一般の投資家などが注文を入れようとするとコンピュータがそれを感知、瞬時に注文を入れてしまうといった手法です。
(2)ニュースに反応するアルゴリズム
社会の動きや異変、経済指数の発表といったニュースを監視するコンピュータが、取引に必要な情報が出たときに即座に反応し、自動的に注文を出す手法です。地震速報で一定の震度以上の数値が出たら売り、ある企業で業績アップが報じられたら買い、といったことを即座に行うことで、機会損失を減らすのが目的です。チャートを見ていて、瞬く間に価格が乱高下するのを目にすることは多いと思います。
(3)見せ板
他の投資家が注文を入れるように、売買の意思がないのにある銘柄などに大きな注文を出す「見せ板」という手法です。値動きの活性化を高めるためのアルゴリズムで、沈滞した相場に動きを出し、その動きで利益を得るのが目的です。
ほかにも、自らの取引によって株価などが乱高下しないように売買注文を分散したり(アイスバーグ注文)、流動性が高い先物取引などで、市場の反応を注視しながら注文を調整する(TWAP注文)など、コンピュータによりさまざまな取引を自動で行うことができます。
「アルゴリズム取引」については、市場価格の急激な乱高下を引き起こす。個人投資家が太刀打ちできず不公平であるといった問題点が指摘されています。
これら問題点の背景となったのは、2010年の「フラッシュ・クラッシュ」です。これは、アメリカでダウ工業株30種平均が一時、前日比で1,000ドル近く暴落し、その後1分半で元の水準まで戻したという出来事です。それを引き起こしたのがHFTだと言われており、その後規制の動きが出てくるきっかけになりました。
「アルゴリズム取引」の発祥は1980年代。アメリカの証券会社モルガン・スタンレーが、先物取引の一種である指数裁定取引をコンピュータで自動的に行うプログラムを開発したのが始まりとされています。
その後、インターネットが普及し、コンピュータやシステムの精度が飛躍的に進歩したことにより、欧米を中心にこの取引手法が普及していったのです。
個人投資家がこうした流れに対抗するには、コンピュータの助けを借りなければ不利になる一方ではないでしょうか。機関投資家のシステムに拮抗するには無理でしょうが、似たようなことはできるはずです。
優秀なEAは個人投資家の光明になると思います。
「アルゴリズム取引」は「システムトレード」とも呼ばれ、コンピュータによる自動売買取引のことを指します。EAもその類といえるでしょう。MT5においては「アルゴリズム取引」という名称となっています。
コンピュータシステムが、株価や出来高などに応じ、株式売買注文の数量やタイミングを自動的に決めて、注文を繰り返す取引です。
「アルゴリズム取引」は、証券会社独自のノウハウをプログラミングとして織り込むことで、機関投資家により有利な条件で約定できるようになっているのが特徴です。従来のトレーディングルームでのトレーダーによる売買は過去のものとなっています。
コンピュータを駆使した取引には、従来からの電子取引執行システムを活用し、取引所に直接注文を自動執行するDMA(ダイレクト・マーケティング・アクセス)というものもありますが、これは「アルゴリズム取引」のようにコンピュータがより有利な価格を判断するプログラミングを駆使して取引することは行いませんので、区別されています。
なお「アルゴリズム取引」とよく似たもので、HFT(ハイ・フリクエンシー・トレーディング)というものもあります。これは、高頻度取引または超高速取引と呼ばれています。EAでいうところのスキャルピング取引ですね。
HFTを行っている証券会社は、取引所またはそれに隣接した場所に自社の高性能サーバーを設置し、そこで自社のコンピュータを稼働させ、瞬時に数千回もの取引を行うことができるのです。
HFTを実施する場合も、コンピュータによる執行が欠かせませんが、それには超高速執行する手順を具体化するプログラムが重要です。 一方「アルゴリズム取引」では、市場データの分析をベースにつくられるものであり、HFTとは直接関係はありません。執行が遅いアルゴリズムトレードは数多く存在します。すなわち、アルゴリズムトレードのすべてがHFTを前提にするものではないといえます。
「アルゴリズム取引」にはさまざまな種類がありますが、代表的なものは以下の通りです。
(1)ステルス注文
市場に気づかれないようにカムフラージュして注文を出す手法です。板とよばれる売買状況には、さしたる注文がなかったはずなのに、一般の投資家などが注文を入れようとするとコンピュータがそれを感知、瞬時に注文を入れてしまうといった手法です。
(2)ニュースに反応するアルゴリズム
社会の動きや異変、経済指数の発表といったニュースを監視するコンピュータが、取引に必要な情報が出たときに即座に反応し、自動的に注文を出す手法です。地震速報で一定の震度以上の数値が出たら売り、ある企業で業績アップが報じられたら買い、といったことを即座に行うことで、機会損失を減らすのが目的です。チャートを見ていて、瞬く間に価格が乱高下するのを目にすることは多いと思います。
(3)見せ板
他の投資家が注文を入れるように、売買の意思がないのにある銘柄などに大きな注文を出す「見せ板」という手法です。値動きの活性化を高めるためのアルゴリズムで、沈滞した相場に動きを出し、その動きで利益を得るのが目的です。
ほかにも、自らの取引によって株価などが乱高下しないように売買注文を分散したり(アイスバーグ注文)、流動性が高い先物取引などで、市場の反応を注視しながら注文を調整する(TWAP注文)など、コンピュータによりさまざまな取引を自動で行うことができます。
「アルゴリズム取引」については、市場価格の急激な乱高下を引き起こす。個人投資家が太刀打ちできず不公平であるといった問題点が指摘されています。
これら問題点の背景となったのは、2010年の「フラッシュ・クラッシュ」です。これは、アメリカでダウ工業株30種平均が一時、前日比で1,000ドル近く暴落し、その後1分半で元の水準まで戻したという出来事です。それを引き起こしたのがHFTだと言われており、その後規制の動きが出てくるきっかけになりました。
「アルゴリズム取引」の発祥は1980年代。アメリカの証券会社モルガン・スタンレーが、先物取引の一種である指数裁定取引をコンピュータで自動的に行うプログラムを開発したのが始まりとされています。
その後、インターネットが普及し、コンピュータやシステムの精度が飛躍的に進歩したことにより、欧米を中心にこの取引手法が普及していったのです。
個人投資家がこうした流れに対抗するには、コンピュータの助けを借りなければ不利になる一方ではないでしょうか。機関投資家のシステムに拮抗するには無理でしょうが、似たようなことはできるはずです。
優秀なEAは個人投資家の光明になると思います。
タグ:フラッシュクラッシュ アルゴリズム