ドン屋さんがやってきた
かれこれ25年くらい前の記憶なので
少し間違っているかもしれませんが…。
北海道旭川市、私たち家族が、社宅の団地に住んでいた頃の話です。
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冬の始め、まだ雪が降らない頃、小学校からの帰り道、
団地の広場で子供たちが、列を作っているのを見かけました。
私は大急ぎで家に帰り、ランドセルを投げ出し、
「おかーさん、おかあさんっ!
お米ちょうだい!『ドンやさん』が来てる!」
と母をせかしました。
「そう、ドン屋さんが来てるんだ。じゃあ、二合作ってもらってね。」
と、お米を量ってビニール袋にいれ、大きめのスーパーの袋と
百円玉を2枚、手渡してくれました。
私は広場に駆け戻り、列の後ろに並びます。
ドンやさんのおじさんは、
「はい、1合。はい、2合。」
と、お金を受け取りながら、大きい黒い釜に
どんどんお米を入れていきます。
「じゃあ、始めるか。ちょっと待っててよー。」
というと、おじさんは釜の蓋をしめ、
火を燃やしながら、ぐるぐるとハンドルを回して
中のお米を熱くしていきます。
待っている間、子供たちは火にあたりながら、
回転する釜を観察したり、公園で遊んだり。
「ドンするぞー。」
というおじさんの声に、近寄って耳をふさぐ子もいれば
遠ざかって眺める子も。
おじさんが、ハンマーで釜の弁を叩くと
!ドーン!
と大きい破裂音がし、釜の中から出てきたのは
ほかほかの『ドン』。
また列に並ぶと、
「はい、1合。はい、2合。」
と、スーパーの袋に、持ってきたお米の分の『ドン』を
入れてくれます。
ちょっぴりこげの匂いがしてあたたかい、
ほのかに甘くてしょっぱい『ドン』をむしゃむしゃ食べながら、
寒い北風のなか、ちりぢりなって
みんな家に帰るのでした。
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この『ドン』、お米を加熱加圧した後、
一気に減圧し、膨らませたもの。
一般的には、ポン菓子と呼ばれているようです。
駄菓子屋さんでは、にんじん、とか、ばくだん、
ライスパフとかいう名前で、今でも売ってたりします。
でもやっぱり、寒い中、作りたてを食べたほどには
おいしくは感じられないんですよね。
Wikipediaさんによると、現在は、ほとんど巡回販売は
すたれてしまったそうです。
たしかに物騒な音がしましたし、衛生上、今は難しいこともあるんでしょうね。
子供たちには、すごく受けると思うんですけど。
私、寒くなってくると、ドン屋さんがくるのを
ずっと楽しみに待ってたんですよね。
北風が吹く季節になると、今でも思い出すんです。
玄米をふっくらと食べやすいポン菓子に。昔からみられる懐かし駄菓子です
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