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2019年04月13日
サヴァンの原因
最終的には、心の働きの脳内メカニズムについて述べていきます。
脳の疾患と脳力
サヴァンの原因
サヴァンの特殊能力は左脳の機能障害の産物?
サヴァンの人はなぜ、このような特殊な能力を発揮するのだろう。
それには遺伝的な要素、極めて狭い範囲の事柄に異常な興味を持ち、同じことを際限なく繰り返す集中力などが関係していると言われる。
また彼らの能力については、左脳の機能障害を右脳が補ったことによって、その能力が生み出されている、という仮説も立てられている。
サヴァンの人の脳の機能障害は左脳で著しいことがある。
これは一部のサヴァンの人について死後脳を解剖したり、脳画像診断を行ったりした結果だ。
左脳は言語、秩序だった論理的な思考、記号や言語などを使って物事を一般化して考えるといった抽象的な思考に優先的に関わることが多いため、サヴァンの人は論理的に何かを考えたり、抽象的な言葉の意味を理解したりすることがとても苦手な場合が多い。
一方、右脳はメロディーを把握する能力、空間認知能力、思いつき的な思考、個々の具体的な物や事柄についての思考に優先的に関わることが多い。
サヴァンの人の特殊能力は、このような能力を駆使した音楽、美術に関連するものが多い。
こうしたことから、彼らは左脳の機能に障害がある分、右脳の機能が発達しているのではないかという仮説が、アメリカの精神科医トレッファート博士たちにより提唱されている。
実際にこの仮説の妥当性を示す研究が報告されている。
人では左脳が体の右半分の機能に関わり、右脳では逆になる。
銃弾で左脳に損傷を受けた9歳の少年は事故後、右半身麻痺などの障害が現れた。
しかし同時に、突然驚異的な機械工作の能力を得て、説明書を見ずに多段変速の自転車を分解して組み立て直すことができるようになった。
左脳の損傷後に、彼の大脳皮質では正常な人より多い血流が確認された。
それは、そこで活発な活動が行われていることを意味する。
実は胎児期、左脳は右脳に比べて危険にさらされやすい。
なぜなら左脳は右脳の後から発達するので、完成形になるまでの不安定な期間を右脳よりも長く経なければならないからである。
このことが、サヴァンの生じる原因として取り上げられている、「左脳の損傷仮説」と関係があるかもしれない。
さらに男性の場合、胎生期に、男性ホルモンであるテステロンが左脳の発達を遅らせる場合もあるのではないか、という説もある。
実際、サヴァンは男性に圧倒的に多く、その人数は女性の4〜6倍だ。
大脳皮質では、左右の半球で役割が異なる
大脳の表面は大脳皮質に覆われている。
大脳皮質は、場所ごとに大きく四つに区分される。
大脳の前部が『前頭葉』、上部が『頭頂葉』、下部が『側頭葉』、後部が『後頭葉』である。
大脳皮質はさらに細かい領域に分けられ、領域ごとに異なった機能を担っている。
また、大脳は右半球(右脳)と左半球(左脳)に分けられる。
右脳と左脳は形こそよく似ているが、より優先的に担う機能が異なる。
比較的多くの人で左脳がやや優位な能力
・話す、書くといった言語能力
・会話や文章の意味を理解する能力
・計算能力
・秩序だった論理的思考
・抽象的な思考
比較的多くの人で右脳がやや優位な能力
・他人の表情、ジェスチャー、声の抑揚、メロディーを理解しる能力
・視覚情報を全体的に捉える能力
・空間認知能力
・思いつき的な思考
・具体的な思考
発展コラム
右脳と左脳の役割分担は、脳に障害を持つ患者で調べられた
右脳と左脳の機能の研究は、言語機能に障害がある患者の脳の研究で報告されたことが始まりだった。
その後も右脳と左脳の機能については、左右の半球をつなぐ脳梁を、治療のための手術で切断した患者の研究などから報告された。
例えば、両半球の情報の行き来が途絶えた患者に、片方の視野にだけ入るように絵を見せ(片方の半球にのみ絵の情報がいく)、その絵についてどのような反応をするのかが観察されたのだ。
人では、右視野の情報は左脳に行き、左視野の情報は右脳に行く。
右視野でのみ絵を見せた場合(左脳のみが絵の情報を受け取る)、患者は絵に描かれた物の名前を言うことができる。
しかし、左視野でのみ絵を見せた場合(右脳のみが絵の情報を受け取る)、患者は物の名前を言うことができない。
このような結果から、左脳は言語機能に関連している、と考えられている。
現在では、脳の活動状況を画像化する方法によって主に研究がなされている。
参考文献:ニュートン別冊 脳力のしくみ 2014年7月15日発行
脳の疾患と脳力
サヴァンの原因
サヴァンの特殊能力は左脳の機能障害の産物?
サヴァンの人はなぜ、このような特殊な能力を発揮するのだろう。
それには遺伝的な要素、極めて狭い範囲の事柄に異常な興味を持ち、同じことを際限なく繰り返す集中力などが関係していると言われる。
また彼らの能力については、左脳の機能障害を右脳が補ったことによって、その能力が生み出されている、という仮説も立てられている。
サヴァンの人の脳の機能障害は左脳で著しいことがある。
これは一部のサヴァンの人について死後脳を解剖したり、脳画像診断を行ったりした結果だ。
左脳は言語、秩序だった論理的な思考、記号や言語などを使って物事を一般化して考えるといった抽象的な思考に優先的に関わることが多いため、サヴァンの人は論理的に何かを考えたり、抽象的な言葉の意味を理解したりすることがとても苦手な場合が多い。
一方、右脳はメロディーを把握する能力、空間認知能力、思いつき的な思考、個々の具体的な物や事柄についての思考に優先的に関わることが多い。
サヴァンの人の特殊能力は、このような能力を駆使した音楽、美術に関連するものが多い。
こうしたことから、彼らは左脳の機能に障害がある分、右脳の機能が発達しているのではないかという仮説が、アメリカの精神科医トレッファート博士たちにより提唱されている。
実際にこの仮説の妥当性を示す研究が報告されている。
人では左脳が体の右半分の機能に関わり、右脳では逆になる。
銃弾で左脳に損傷を受けた9歳の少年は事故後、右半身麻痺などの障害が現れた。
しかし同時に、突然驚異的な機械工作の能力を得て、説明書を見ずに多段変速の自転車を分解して組み立て直すことができるようになった。
左脳の損傷後に、彼の大脳皮質では正常な人より多い血流が確認された。
それは、そこで活発な活動が行われていることを意味する。
実は胎児期、左脳は右脳に比べて危険にさらされやすい。
なぜなら左脳は右脳の後から発達するので、完成形になるまでの不安定な期間を右脳よりも長く経なければならないからである。
このことが、サヴァンの生じる原因として取り上げられている、「左脳の損傷仮説」と関係があるかもしれない。
さらに男性の場合、胎生期に、男性ホルモンであるテステロンが左脳の発達を遅らせる場合もあるのではないか、という説もある。
実際、サヴァンは男性に圧倒的に多く、その人数は女性の4〜6倍だ。
大脳皮質では、左右の半球で役割が異なる
大脳の表面は大脳皮質に覆われている。
大脳皮質は、場所ごとに大きく四つに区分される。
大脳の前部が『前頭葉』、上部が『頭頂葉』、下部が『側頭葉』、後部が『後頭葉』である。
大脳皮質はさらに細かい領域に分けられ、領域ごとに異なった機能を担っている。
また、大脳は右半球(右脳)と左半球(左脳)に分けられる。
右脳と左脳は形こそよく似ているが、より優先的に担う機能が異なる。
比較的多くの人で左脳がやや優位な能力
・話す、書くといった言語能力
・会話や文章の意味を理解する能力
・計算能力
・秩序だった論理的思考
・抽象的な思考
比較的多くの人で右脳がやや優位な能力
・他人の表情、ジェスチャー、声の抑揚、メロディーを理解しる能力
・視覚情報を全体的に捉える能力
・空間認知能力
・思いつき的な思考
・具体的な思考
発展コラム
右脳と左脳の役割分担は、脳に障害を持つ患者で調べられた
右脳と左脳の機能の研究は、言語機能に障害がある患者の脳の研究で報告されたことが始まりだった。
その後も右脳と左脳の機能については、左右の半球をつなぐ脳梁を、治療のための手術で切断した患者の研究などから報告された。
例えば、両半球の情報の行き来が途絶えた患者に、片方の視野にだけ入るように絵を見せ(片方の半球にのみ絵の情報がいく)、その絵についてどのような反応をするのかが観察されたのだ。
人では、右視野の情報は左脳に行き、左視野の情報は右脳に行く。
右視野でのみ絵を見せた場合(左脳のみが絵の情報を受け取る)、患者は絵に描かれた物の名前を言うことができる。
しかし、左視野でのみ絵を見せた場合(右脳のみが絵の情報を受け取る)、患者は物の名前を言うことができない。
このような結果から、左脳は言語機能に関連している、と考えられている。
現在では、脳の活動状況を画像化する方法によって主に研究がなされている。
参考文献:ニュートン別冊 脳力のしくみ 2014年7月15日発行