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2019年07月10日

不安症・強迫症A

最終的には、心の働きの脳内メカニズムについて述べていきます。

ニュートン別冊ゼロからわかる心理学 知れば知るほど面白い!心と行動の科学 から
 監修 横田正夫 2019年3月5日発行 ニュートンプレス

心理学と治療


不安症・強迫症A

不安や恐怖をあえて避けない治療

では、不安症や強迫症では、
どのような治療法が使われているのでしょうか?

これに対し、松浦准教授は、
「患者の不安や恐怖を取り除くという治療法は有効ではありません」
と話します。

現在使われている主な治療法の一つが、
「森田療法」森田正馬.jpg

と呼ばれているもので、
1919年、日本の精神科医である
森田正馬(もりた まさたけ)が開発した方法です。

不安症や強迫症にかかる人は、
注意や関心が自分に生じている不安や恐怖に抜いてしまいがちです。

この不安や恐怖の感情はそのまま置いておいてもらい、
症状のためにできないと思っていた
日常の作業や行動を無理のない範囲から
取り組んでもらいます。

こうすることで、それまで自分に向いていた注意、関心を
外に向けてもらうというのが、
森田療法です。

不安や恐怖を取り除こうとすると、
そこに注意が向いてしまい、かえって逆効果になってしまうからです。

また、「不安症、恐怖症の人は不安や恐怖を感じることを悪いことだ
と思っているので、そうではないというメッセージを送ることも大事です」
(松浦准教授)。

例えば、外出したらパニック発作を起こすのではないかと
不安に思って外出できない患者には、
「本当は外出が大好きだからこそ、外出すると緊張してしまうんだよ」
とか、
社交恐怖症に人には
「人に認められたいと思うからこそ、人前に出ると緊張してしまうんだよ」
と言ってあげるのです。
そうすると、患者は不安や恐怖が自分の健康な欲求から生じているのだと思えます。

そのことによって、自己否定感が和らぎ、
それらの感情を受け止めることができるようになるといいます。

また、もう一つの主な治療法に、
「暴露療法」というものがあります。

これは、患者が不安や恐怖を感じる物事に、
段階的に少しずつ触れさせるという治療法です。
「不安や恐怖は完全に取り除けるものではなく、
自然に備わっている感情でもあるので、
それらの感情に慣れてもらうのです。
患者は不安や恐怖の対象を避けて生活するので、
なかなか慣れることができません。
そこであえて触れてもらうように促します」
と松浦准教授は話します。

不安や恐怖という感情はあっても、それを抱えることに慣れてきて、
それまで避けていたものを避けずに生活できるようになるというのです。

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タナカマツヘイ
総合診療科 医学博士 元外科学会専門医指導医、元消化器外科学会専門医指導医、元消化器外科化学療法認定医、元消化器内視鏡学会専門医、日本医師会産業医、病理学会剖検医
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