アウトソーシングについて考えさせられることがあったので書きます。
確かにこのようなシステムを使えば、その企業だけではなく様々な企業にチャンスがある。また、その中にビジネスチャンスを見つけた誰かがイノベーションを起こすかもしれない。様々な可能性をかけた新しい会社の形ではないだろうか。
僕らのような資金も人も足りない学生ベンチャーには、こういった現代のプラットホームを最大限に活用することができる。しかし、どこまでアウトソーシングにするかという問題は考えなければならない。
起業仲間を集めることと同じように、起業してからも仲間を集めアウトソーシングで助け合う。そういった新しいプラットホームが今後できてくるのかもしれない。
以下、引用です。
http://www.sankeibiz.jp/smp/business/news/121119/bsj1211190502002-s.htm
より
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【ITビジネス最前線】巨万の富を生み出す「小さなチーム」 ■経営構造変化 中核残しアウトソーシング
アメリカでは、10億ドル(約813億2000万円)規模のインターネット企業が、1998年以降(2002年を除き)、平均して約3カ月に1社誕生している。
例を挙げれば、1998年にグーグルとペイパル、1999年にセールスフォースとザッポス、2000年にはインターネットラジオのパンドラとトリップアドバイザーが設立され、最近で言えば2008年には社内向けSNSのヤマーとエア・ビー・アンド・ビーが生まれた。もちろん、ここに挙げた企業リストは一部に過ぎない。その勢いは絶えることがなく、3カ月に1度、アイデアとコンピューターを持ったプログラマーとウェブデザイナーの手により巨万の富が創造されているのだ。
もう一つ興味深いのが、これらの10億ドル規模の企業の平均社員数が減少傾向にあることだ。写真共有アプリのインスタグラムが、フェイスブックに10億ドルで買収されたときの社員数は、15人にも満たなかった。小さなチームが高額の評価を受けるというこのテクノロジー界のトレンドは、いままさに始まったばかりだ。
◆2人だけで開始可能
今日の環境では、1人の開発者と1人のデザイナーがチームを組めば、2人だけでiPhone向けのアプリを作ってビジネスを始めることができる。システムはアマゾンのクラウドサービスに委託し、アカウント管理システムを自分たちで作る代わりに、承認作業もフェイスブックやツイッターに任せられる。
新モバイルアプリを多くの人に知ってもらうためのプロモーションサービスを提供する企業も少なくないため、完成したアプリを売り込みたければ、例えばその中の1社、タップジョイを選び、マーケティング機能を調達してしまえばよい。2人で話し合って、アプリに広告を埋め込もうと決めたなら、モバイル広告技術に特化するアドフォニック(Adfonic)やインモビ(InMobi)を利用することができる。
フェイスブックは今年5月の時点で3500人以上もの従業員を抱えているが、フェイスブックのすべての機能を今新たにつくるとすれば、300人も雇えば十分間に合ってしまうだろう。テクノロジー企業の経済学、そして経営構造はいまがらりと変わろうとしている。
インスタグラムは10億ドルの評価を受けるテクノロジー企業を作り上げながら、自分たちのEメールサーバーも管理していなかった。代わりにどうしていたかと言えば、会社のEメールの管理をグーグルに任せていた。社内のシステムエンジニアにメールシステムを作って管理させずに、無料のGmailに頼っていたのである。
また、インスタグラムが4000万ものユニークユーザーを獲得できたのは、何もお金をかけてテレビコマーシャルを流していたからではない。ツイッターとフェイスブックと連携することで、ウイルスのような拡散を生む独創的な技術を使って他のプラットホームからユーザーを取り込むことができたからだ。
このように、アメリカでは経営の中核を残し、その他すべてをアウトソースすることで、企業体を小さく作り上げ、成長しても小さいままにとどめるケースが増えている。
この現象はすぐに世界中のビジネスに広まるだろう。世界でも有数の大企業を選んで、核となる経営管理部門以外を一つ一つ分けてみてみると、社外の誰かに委託できない部門を探すのに苦労するだろう。人事はリンクトインに、顧客管理はセールスフォースに、Eメールはグーグルかまたはマイクロソフトに、システムエンジニアリングはアマゾンやその他のクラウド提供企業に任せる、といった具合だろうか。
◆提供サービスも変化
企業にはその大小を問わず、10年前には持ち得なかったアウトソーシングの選択肢があり、創業当初から最も重要な部分にビジネスを集中させることができる。この考え方により、企業が提供するサービスの形も姿を変えてきている。
以前であれば、企業はサービスを外部から調達しようとする際、他の大企業に委託するのが常だった。大企業の提供するものは、サービス内容がより優れていて人気があっても、そちらの方が安いとは限らない。どれも似たり寄ったりの価格設定だ。そこで、スタートアップにもチャンスが生まれたのである。
ボックス(Box.com)は法人向けのクラウド構築を提供するが、昨年時点で165人の従業員規模しか持たないスタートアップだ。オラクルやIBM、マイクロソフトといった対照的な規模を持つ企業と法人契約を競っているが、会社のオペレーションにかかる経費が大企業に比べて格段に低いため、より競争に強い価格でサービスを提供することができる。
大企業は革新的な小規模の会社に事業の一部分を委託し、その会社がまたさらに他の革新的な小規模の会社に事業の一部分を委託する。前回紹介したように、美容院をはじめ、昔から姿を変えずに店を構えてきた業種までもが、スタイルシート(StyleSeat)のようなテクノロジー企業のサービスを使って経営管理を楽にしようとしている。
別の角度から見れば、このアメリカのトレンドは、働く人の経済学をも変えている。たとえば、スピーディーな翻訳サービスを提供するゲンゴ(Gengo.com)では、翻訳者として登録すると自宅からでも、あるいはスマートフォンを手に、常夏の砂浜からでも、インターネットさえあれば仕事ができる。仕事請負マッチングサービスのタスクラビット(TaskRabbit.com)でタスクラビットとして登録した人は、一般的な企業に務めずに個人の用事を選んでこなすことでお金を稼いでいる。
◆大企業志向の日本
インスタグラムがそうであるように、企業体はそれぞれが小さくなると同時に、互いに緩やかに結びつき始めている。まるでテクノロジー企業同士がAPI(アプリケーションが一部の機能を外部アプリケーションから簡単に使えるようにしたインターフェース)を通じて繋がっているかのようだ。古くからある形態の大企業がスタッフの数を削減せざるを得なくなっても、私は驚かない。技術革新のスピードにより、新しい企業が何をするにも、より便利で、より低額のサービスを提供する道が広がっているからだ。
アメリカでこのような強い傾向が見られる一方、ここ日本では若い人たちが既存の大きな会社に就職することを切望し、新しいベンチャー企業で働くことを極端に嫌うのを見る。3カ月に1度、巨額の世界的価値を生み出しているのは、ほかでもない新進気鋭のベンチャー企業だと言うのに、である。ビジネスの世界が昔のように戻ることはまずないだろう。一つの問題を解決するために、革新的な小さな企業が製品を生み出していく。未来はそれに尽きると言ってよい。
文:イジョビ・ヌウェア
訳:堀まどか
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