仮想通貨とは
仮想通貨とは、デジタル通貨の一種であり、開発者によって発行され、通常コントロールもされており、特定の仮想コミュニティ内で受け入れられ、使用されているものです。仮想通貨は、日本円や米ドルなどの法定通貨とは異なり、中央銀行や政府によって発行や管理されていません。その代わりに、インターネット上のネットワークに参加する個人や組織が、暗号化技術を用いて、通貨の発行や取引を行っています。この暗号化技術によって、仮想通貨は改ざんや不正に強い仕組みになっています。また、仮想通貨は、世界中の誰とでも取引ができるため、新しい送金手段として注目されています。
仮想通貨の中でも、最も有名であり、最初に登場したものがビットコイン(Bitcoin)です。ビットコインは、2008年にサトシ・ナカモトと名乗る匿名の人物がインターネット上に公開した論文から始まりました。その後、2009年にビットコインのソフトウェアが公開され、世界初の仮想通貨として誕生しました。ビットコインは、仮想通貨の代表格として、多くの人々に利用されています。ビットコイン以外にも、ビットコインから派生したものや、全く新しく作られたものなど、様々な仮想通貨が存在しています。これらの仮想通貨は、アルトコイン(Alternative Coin)と呼ばれています。2023年12月現在、約2万種類の仮想通貨が存在していると言われています。
仮想通貨の歴史
仮想通貨は、2009年のビットコインの誕生以来、様々な出来事を経験してきました。仮想通貨の歴史は、ビットコインの価格の変動に沿って、大きく4つのサイクルに分けることができます。それぞれのサイクルは、約2年から4年の間で変動しており、仮想通貨市場全体の時価総額は、前回のサイクルよりも大幅に増加しています。また、各サイクルでは、価格が急上昇した後に急落するというパターンが繰り返されています。しかし、その都度、前回の最高値よりも高い水準に回復しています。これらのサイクルは、以下のように見ることができます。
・サイクル1(2008年〜2012年):仮想通貨の誕生と普及
・サイクル2(2012年〜2016年):仮想通貨の危機と規制
・サイクル3(2016年〜2019年):仮想通貨のバブルと暴落
・サイクル4(2020年〜2021年):仮想通貨の再浮上と成熟
サイクル1(2008年〜2012年):仮想通貨の誕生と普及
このサイクルでは、ビットコインが誕生し、世界に広まり始めました。2009年には、最初のビットコインと法定通貨の交換レートが提示され、そのレートをもとに世界初のビットコインの購入が行われました。2010年には、アメリカで1万ビットコインでピザ2枚を交換され、ビットコインが初めて決済に使われた瞬間でもありました。この出来事があった5月22日は、今でも仮想通貨ユーザー間で「ビットコイン・ピザデー」として親しまれています。2011年には、アメリカの大手メディアTIME誌で紹介されたことをきっかけに、価格が1BTC=約1,500円まで急騰し、ビットコインは世界中から注目を集めることになりました。しかし、仮想通貨取引所Mt.Goxがハッキングを受けて相場は300円台まで下落しました。2012年には、WordPressがビットコイン決済に対応したことや、初の半減期を迎えたことが追い風になり、価格は1BTC=1,000円台まで回復しました。半減期とは、ビットコインの発行量が半分になるイベントのことで、ビットコインの供給量が減少することで価格が上昇すると考えられています。
サイクル2(2012年〜2016年):仮想通貨の危機と規制
このサイクルでは、仮想通貨が世界的な危機や規制に直面しました。2013年は「キプロス危機」によるヨーロッパの混乱で、ユーロの避難先としてビットコインに資金が集まったり、中国の大手検索サイト「百度 (バイドゥ)」がビットコインを決済方法として採用するなどして価格が上昇しました。さらに日本でもNHKでビットコインの特集が組まれるなど、日本国内での仮想通貨の認知度も上昇し、価格は一時1BTC=約12万円まで高騰しました。しかし、2013年12月に中国政府がビットコインの取引を禁止したことにより、仮想通貨の快進撃は一度止まりました。大幅な成長を遂げた2013年から一転して、2014年はMt.Goxが再びハッキングを受け85万BTCが盗まれた事件をきっかけにビットコインの価格は急落しました。この事件は、仮想通貨の信頼性や安全性に大きな疑問を投げかけることになりました。さらに、日本政府は仮想通貨を「財産」と定義し、消費税の課税対象とする法改正を行いました。これにより、仮想通貨の利用者は、仮想通貨の売買や交換に際して、消費税を支払う必要が生じました。このように、仮想通貨は、様々な危機や規制に直面することになりました。しかし、一方で、仮想通貨の技術的な進化も進んでいました。例えば、ビットコインのブロックチェーンに新たな機能を追加するための「SegWit」という仕組みが提案されたり、ビットコイン以外の仮想通貨であるイーサリアム(Ethereum)が登場したりしました。イーサリアムは、ビットコインにはない「スマートコントラクト」という機能を持ち、仮想通貨の応用範囲を広げることになりました。
サイクル3(2016年〜2019年):仮想通貨のバブルと暴落
このサイクルでは、仮想通貨が世界的なバブルと暴落を経験しました。2016年は、ビットコインの2回目の半減期があり、価格は1BTC=約6万円まで上昇しました。また、日本政府は、仮想通貨を「仮想通貨」と定義し、消費税の非課税とする法改正を行いました。これにより、仮想通貨の利用者は、仮想通貨の売買や交換に際して、消費税を支払う必要がなくなりました。さらに、仮想通貨取引所に対して、登録制度や規制を導入することも決まりました。これらの法改正は、仮想通貨の信頼性や安全性を高めることになりました。2017年は、仮想通貨の黄金期と呼ばれるほど、価格が急上昇しました。ビットコインは、1BTC=約200万円まで達し、仮想通貨市場全体の時価総額は、約100兆円にまで膨らみました。この価格上昇の背景には、世界中の投資家や一般人が仮想通貨に参入したことや、ビットコインのブロックチェーンに新たな仮想通貨を作るための「ハードフォーク」という仕組みが活発に行われたことなどがあります。しかし、2018年に入ると、仮想通貨は大きな暴落に見舞われました。ビットコインは、1BTC=約30万円まで下落し、仮想通貨市場全体の時価総額は、約10兆円にまで縮小しました。この暴落の原因には、仮想通貨取引所のハッキングや不正、仮想通貨の規制強化や禁止、仮想通貨の技術的な問題や分裂などがあります。2019年は、仮想通貨の価格は、一進一退の状態でした。ビットコインは、1BTC=約100万円まで回復したものの、再び下落しました。また、フェイスブックが自社の仮想通貨「リブラ(Libra)」を発表したことや、中国政府がブロックチェーン技術の推進を宣言したことなど、仮想通貨に関する大きなニュースもありました。
サイクル4(2020年〜2021年):仮想通貨の再浮上と成熟
このサイクルでは、仮想通貨が再び世界的な注目を集め、成熟の兆しを見せました。2020年は、新型コロナウイルスの感染拡大により、世界中の経済が混乱しました。この中で、仮想通貨は、金や株式などの伝統的な資産とは異なる特性を持つことから、多くの投資家や企業が仮想通貨に資金を移動させました。特に、ビットコインは、インフレや通貨危機に対するヘッジとしての役割を果たすことが期待され、価格は1BTC=約300万円まで上昇しました。また、ビットコインの3回目の半減期もあり、供給量の減少が価格上昇の要因となりました。さらに、米国の大手決済サービス「ペイパル(PayPal)」が仮想通貨の取り扱いを開始したことや、米国の大手投資会社「マイクロストラテジー(MicroStrategy)」や「スクエア(Square)」がビットコインを資産として保有したことなど、仮想通貨の普及や受容につながる出来事もありました。2021年は、仮想通貨の価格は、さらに高騰しました。仮想通貨市場全体の時価総額は、約300兆円にまで膨らみました。この価格上昇の背景には、米国の大手自動車メーカー「テスラ(Tesla)」がビットコインを資産として保有し、ビットコインでの決済を受け入れると発表したことや、米国の大手証券会社「ゴールドマン・サックス(Goldman Sachs)」や「JPモルガン(JPMorgan)」が仮想通貨に関するサービスを開始したことなどがあります。また、ビットコイン以外の仮想通貨も大きな成長を遂げました。特に、イーサリアムは、スマートコントラクトを利用した様々なアプリケーションやプラットフォームが開発され、仮想通貨の可能性を広げることになりました。例えば、「DeFi(分散型金融)」と呼ばれる仮想通貨を用いた金融サービスや、「NFT(非代替性トークン)」と呼ばれるデジタルアートやコレクションの取引が盛んになりました。これらのイノベーションは、仮想通貨の価値や需要を高めることになりました。
まとめ
以上が、仮想通貨とは何か、仮想通貨の歴史と現状についての説明でした。仮想通貨は、まだまだ発展途上のものであり、今後も様々な変化や挑戦があると思います。しかし、仮想通貨は、これまでにない新しい経済や社会を創造する可能性を秘めています。
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タグ:仮想通貨
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