2014年09月11日
ロッテ里崎引退決断、12日会見へ
ロッテ里崎智也捕手(38)が現役を引退する決意を固めたことが10日、分かった。すでに球団や親しい関係者には伝えており、明日12日に記者会見を開く運び。里崎は5月に左膝を手術しリハビリ中。引退試合の開催などは、後日、発表となる見込み。ロッテの一時代を担い、WBCでは「世界一捕手」の称号も手にした男がユニホームを脱ぐ。里崎は遅々として進まないリハビリに、自ら区切りをつけた。「考えられる限りの時間とお金をかけてやってきたんですけど、なかなか良くならないですね…」。ロッテ浦和球場でのリハビリは完全に行き詰まっていた。5月に手術した左膝は、そんきょの体勢が取れないまま。捕手としては致命的だった。
ここ数年、覚悟を持ってプレーしてきた。「いつやめることになっても構わないと思ってます」。今年も同じ言葉を繰り返していた。球団からの勧めもあって手術に踏み切ったが「膝がぶっ壊れた時が、引退の時。それまでに若いヤツが育ってくれれば」と、悲壮な覚悟も見せていた。吉田や田村が一人前になり、自分が必要なくなるのが理想。「引き際はわきまえています」と話していた考え方にブレはなかった。
そう考えるに至った源は、伊東監督が就任した2年前にあった。「球団が伊東監督を呼んだということは、捕手の若返りがテーマになる。ロッテの将来に絶対に必要なこと」と監督の使命を察した。自分を客観的に見られるのは、里崎の最大の長所だった。そして根底にあるのはチーム愛。だから、現役を続けることに恋々としないし、後進の成長を素直に喜んできた。
ロッテでは2度の日本一を味わい、第1回のWBCではチームの世界一に貢献するとともに、個人としても最優秀捕手の栄誉に輝いた。輝かしい実績の中、今年を野球選手としての「最終章」と位置づけ、なんとかチームに貢献したい考えがあった。医師から「成功しても、良くならない可能性もある」と言われた手術に、最後の望みをかけた。しかし、気力に体力は追いついてくれなかった。12日、自らの口で、引退を表明する。
◆里崎智也(さとざき・ともや)1976年(昭51)5月20日、徳島県生まれ。鳴門工(現鳴門渦潮)−帝京大を経て98年にロッテを逆指名し、ドラフト2位で入団。05年、ソフトバンクとのプレーオフ第2ステージ第5戦で決勝の逆転二塁打を放ち、チームを31年ぶりリーグVへ導いた。06年第1回WBCでは優勝した王ジャパンの正捕手として22打数9安打(打率4割9厘)と暴れ、松坂、イチローとともに大会ベストナイン。同年はロッテの捕手で85年袴田以来21年ぶりの規定打席に到達した。08年北京五輪出場。10年CSは19打数8安打(4割2分1厘)で、リーグ3位から日本一になる「史上最大の下克上V」に貢献。06、07年ベストナインとゴールデングラブ賞。01年フレッシュオールスターMVP。オールスター出場7度。05、09年盗塁阻止率リーグ1位。05〜08年に4年連続満塁本塁打。プレーオフ・CSの通算11長打はパ最多タイ。試合後に球場前のステージで熱唱するなどエンターテイナーとしても人気を集め、8日西武戦で配布された里崎がモデルの「ビックリマンシール」は早くもネットオークションで話題に。175センチ、94キロ。右投げ右打ち。今季推定年俸1億6000万円。
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