2021年01月06日
放射平衡はこれで一発!忘れない考え方・公式の覚え方
こんにちは!
radです。
みなさん、主に放射化学でよく出題される"放射平衡"は得意ですか?
正直、僕は国家試験や第一種主任者試験を受けた時は、過渡平衡の公式を覚えるのが苦手でした…
ですが、改めて勉強してみると自分なりにかなり納得ができたので、皆さんにお伝えしますね!
ということで、今回は"放射平衡の考え方・公式の覚え方"を紹介します!
目次
1. はじめに
2. 放射平衡
(ア) 放射平衡の考え方
(イ) 放射平衡の公式の覚え方
3. 終わりに
放射平衡は先ほども述べたように、国家試験では放射化学、第一種主任者では化学の科目でよく出題されます。
放射平衡で躓きやすいポイントは以下の2点だと思います。
今回はこの2点の考え方と覚え方を説明していきます!
では、さっそくいきましょう!
まず前提の話として、放射平衡とは、"親核種と娘核種の放射能の比が一定になっており、釣り合いが取れている状態"のことです。
そして放射平衡には2種類あり、過渡平衡と永続平衡があります。
過渡平衡と永続平衡の違いは親核種と娘核種の半減期の差がどれだけ大きいのかによって変わってきますが、その話はこの後に置いておきましょう。
放射平衡が成り立つにはある条件があります。
それは…
親核種の半減期が娘核種の半減期よりも大きい (T親 > T娘)ということです。
そして、壊変定数は親核種の方が娘核種よりも小さい(λ親 < λ娘)という半減期とは逆の関係になっています。
じゃあ、やっと本題のこの大小関係をどのように覚えるのかお話ししていきます!
ここで皆さんには、親と娘が一緒に料理をしており、親は食材を洗い、娘が食材を切る場面をイメージしてください!
もし親が食材を洗うスピードが速い場合には、親はあっという間に洗い終わってしまい、娘の元に食材がどんどん溜まっていきます。
これは親核種がどんどん崩壊していって娘核種の崩壊よりも速いですから、親核種はあっという間にゼロになり、娘核種が多くなっていくことを意味しています。(つまり、この場合は放射平衡が成り立ちません!)
しかし、この逆を考えるとどうでしょうか?
親の食材を洗うスピードが遅く、娘が切るのが速いと、親が洗い終わるのを待つ形になります。
そのため、娘は親の洗うスピードに依存して食材を切ることになります (本当はもっと速く切れるのに)。
この料理の作業スピードの関係こそが親と娘の半減期の関係になります!!
つまり、親の方が半減期が長く娘の方が半減期が短いために、娘は親が崩壊するのを待つ形になります!(娘核種は親核種の半減期に依存して崩壊していくことになる!)
これによって娘核種は親核種に合わせながら崩壊していくことになるため、放射能の比は一定となり放射平衡が成り立つというわけです。
このように身近な例に置き換えてイメージしてみるとその原理はわかりやすく理解でき、もし忘れてしまった場合でも単純に暗記しているよりも思い出しやすくなりますよ!
なので、僕は半減期の大小関係を覚えて、壊変定数の関係はその逆だと覚えるのが良いかと思います!!
さて、続いては過渡平衡の公式についてです。
過渡平衡の公式を見たことある人なら、分数の形になっていることや親核種と娘核種の壊変定数もしくは半減期で表されていることはご存知かと思います。
国家試験でも、「過渡平衡の式を選べ」といった内容の問題が、たまに出題されたりもします。
しかし、実際のところどこに何が当てはまるか覚えるのは難しいと思います(僕はそうでした)。
この考え方を覚えることで、もう迷わなくなりますよ!
では、早速過渡平衡の公式は以下のように表されます。
まず、先ほどの放射平衡の関係を思い出すと、
T親 > T娘とλ親 < λ娘という関係でした。
ここで、前提条件がもう1つありますが、親核種よりも娘核種の方が放射能が大きいA親 < A娘という関係性になるということは覚えておきましょう。
娘の方が半減期が短いため、少しでも多く親よりも崩壊しているというイメージです。
この前提を踏まえた上で、少し数学的に考えてみましょう(分数の数字を大きくしたり小さくしたりするだけで難しくないので安心してください)
1. 引き算は分母
過渡平衡の公式を見たことある人は、分数の形になっていて、何となく引き算が分子か分母にあったよなぁというところまでは覚えられると思います。
分子と分母どっちが引き算だったのかというと…
分母が引き算になります!
もし、分子が引き算の形で分母が1文字で表される形でしたら、分数の形を変形できてしまい、いろんな形の公式ができてしまい、教科書によって式の書き表し方が変わってしまいます。
しかし、実際は式の形は分数に統一されていることから、約分できない方、つまり分母が引き算になるということが覚えられます!
2. 分母の引き算は大きい方から小さい方を引く(分母がマイナスにならないように)
これで、分母が引き算になっていることを覚えられたら、あとは壊変定数や半減期の大小関係から分母がマイナスの値にならないように考えると、これだけで分母の式の形を覚えることができます!
もし、ここまでの話を頭の中だけで計算のイメージをするのが難しければ、実際にペンで紙に書いてみましょう。(文字式が分かりにくければ具体的な数字を入れて考えてみるといいかもしれません!※具体的な数字を入れる時は親と娘の大小関係には気をつけてください!)
今言った通りに考えることで分母は導けます!
3. 分子について
続いて分子を考えていくのですが、前提条件として永続平衡について思い出しておきましょう!
永続平衡とは、親と娘の半減期や壊変定数の違いが過渡平衡よりもかなり大きくなったものです。
そのため、永続平衡では親核種と娘核種の放射能は等しくなります。
つまり、式で表すと以下のようになります。
先ほども述べたように、永続平衡は過渡平衡での差を大きくしたものですから、過渡平衡の公式から永続平衡の公式が導くことができます。
まず、過渡平衡の分母部分は永続平衡になると、引き算の後ろ側の数字が引き算の前側の数字よりもかなり小さくなりますので、分母は引き算の前側の数字だけでもほとんど変わらないとみなせるわけです。
(具体的な数字で考えると、10000-1=9999のように、引き算の前側と後ろ側で差が大きければ、引き算の結果は引き算の前側の数字とほぼ等しくなります)
そして、やっと過渡平衡の分子の話ですが、放射能の公式の方から考えていきましょう!
永続平衡の分母は引き算の前側の文字だけとなり、永続平衡では親と娘の放射能が等しくなることを考えると、分数としては約分されて1となって欲しいので、分子は分母の引き算の前側と同じにしてあげれば良いということになります。
このように先に永続平衡の式まで考えてあげることによって、過渡平衡の放射能を求める公式を導けました!
最後に、原子数Nバージョンの式を導くには、A=λNを放射能の公式に適用して変形してあげると簡単に導くことができますよ!
いかがでしたか?
最初に読んだ時は、もしかしたら覚えにくいと感じた人もいるかもしれませんが、このような理解や覚え方をしておくことで、単純に覚えるよりは格段に覚えられるようになります!
前提条件として覚えておかなければならないことがいくつかありましたが、それらは超重要なので覚えている前提での公式の覚え方となっています。
語呂合わせ(こじつけ)を考えるコツでも言いましたが、自分でその情景をイメージできることが、勉強においてかなり大事なこととなります!
そのため、今回の料理の例がしっくりこなくても、問題を解く時や覚えようとするときに何度もその情景を思い浮かべれば定着していくと思います!
もしくは、料理の例以外にも自分で考えてみるのもいいと思います。
何より自分で考えた情景って忘れにくいですからね!
僕の考え方・覚え方が少しでも参考になれば幸いです。
もし、他にも考え方を教えて欲しいなどありましたら、コメントによろしくお願いします。
以上radでした!
radです。
みなさん、主に放射化学でよく出題される"放射平衡"は得意ですか?
正直、僕は国家試験や第一種主任者試験を受けた時は、過渡平衡の公式を覚えるのが苦手でした…
ですが、改めて勉強してみると自分なりにかなり納得ができたので、皆さんにお伝えしますね!
ということで、今回は"放射平衡の考え方・公式の覚え方"を紹介します!
目次
1. はじめに
2. 放射平衡
(ア) 放射平衡の考え方
(イ) 放射平衡の公式の覚え方
3. 終わりに
1. はじめに
放射平衡は先ほども述べたように、国家試験では放射化学、第一種主任者では化学の科目でよく出題されます。
放射平衡で躓きやすいポイントは以下の2点だと思います。
- 親核種と娘核種の壊変定数と半減期の大小関係
- 過渡平衡の公式の分子と分母
今回はこの2点の考え方と覚え方を説明していきます!
では、さっそくいきましょう!
2. 放射平衡
(ア) 放射平衡の考え方
まず前提の話として、放射平衡とは、"親核種と娘核種の放射能の比が一定になっており、釣り合いが取れている状態"のことです。
そして放射平衡には2種類あり、過渡平衡と永続平衡があります。
過渡平衡と永続平衡の違いは親核種と娘核種の半減期の差がどれだけ大きいのかによって変わってきますが、その話はこの後に置いておきましょう。
放射平衡が成り立つにはある条件があります。
それは…
親核種の半減期が娘核種の半減期よりも大きい (T親 > T娘)ということです。
そして、壊変定数は親核種の方が娘核種よりも小さい(λ親 < λ娘)という半減期とは逆の関係になっています。
じゃあ、やっと本題のこの大小関係をどのように覚えるのかお話ししていきます!
ここで皆さんには、親と娘が一緒に料理をしており、親は食材を洗い、娘が食材を切る場面をイメージしてください!
※画像では親が食材を洗っていなければ、娘が食材切ってもいませんがご了承ください
もし親が食材を洗うスピードが速い場合には、親はあっという間に洗い終わってしまい、娘の元に食材がどんどん溜まっていきます。
これは親核種がどんどん崩壊していって娘核種の崩壊よりも速いですから、親核種はあっという間にゼロになり、娘核種が多くなっていくことを意味しています。(つまり、この場合は放射平衡が成り立ちません!)
しかし、この逆を考えるとどうでしょうか?
親の食材を洗うスピードが遅く、娘が切るのが速いと、親が洗い終わるのを待つ形になります。
そのため、娘は親の洗うスピードに依存して食材を切ることになります (本当はもっと速く切れるのに)。
この料理の作業スピードの関係こそが親と娘の半減期の関係になります!!
つまり、親の方が半減期が長く娘の方が半減期が短いために、娘は親が崩壊するのを待つ形になります!(娘核種は親核種の半減期に依存して崩壊していくことになる!)
これによって娘核種は親核種に合わせながら崩壊していくことになるため、放射能の比は一定となり放射平衡が成り立つというわけです。
このように身近な例に置き換えてイメージしてみるとその原理はわかりやすく理解でき、もし忘れてしまった場合でも単純に暗記しているよりも思い出しやすくなりますよ!
なので、僕は半減期の大小関係を覚えて、壊変定数の関係はその逆だと覚えるのが良いかと思います!!
(イ) 放射平衡の公式の覚え方
さて、続いては過渡平衡の公式についてです。
過渡平衡の公式を見たことある人なら、分数の形になっていることや親核種と娘核種の壊変定数もしくは半減期で表されていることはご存知かと思います。
国家試験でも、「過渡平衡の式を選べ」といった内容の問題が、たまに出題されたりもします。
しかし、実際のところどこに何が当てはまるか覚えるのは難しいと思います(僕はそうでした)。
この考え方を覚えることで、もう迷わなくなりますよ!
では、早速過渡平衡の公式は以下のように表されます。
添字:1は親核種で2は娘核種、T:半減期、λ:壊変定数、N:原子数、A:放射能
まず、先ほどの放射平衡の関係を思い出すと、
T親 > T娘とλ親 < λ娘という関係でした。
ここで、前提条件がもう1つありますが、親核種よりも娘核種の方が放射能が大きいA親 < A娘という関係性になるということは覚えておきましょう。
娘の方が半減期が短いため、少しでも多く親よりも崩壊しているというイメージです。
この前提を踏まえた上で、少し数学的に考えてみましょう(分数の数字を大きくしたり小さくしたりするだけで難しくないので安心してください)
1. 引き算は分母
過渡平衡の公式を見たことある人は、分数の形になっていて、何となく引き算が分子か分母にあったよなぁというところまでは覚えられると思います。
分子と分母どっちが引き算だったのかというと…
分母が引き算になります!
もし、分子が引き算の形で分母が1文字で表される形でしたら、分数の形を変形できてしまい、いろんな形の公式ができてしまい、教科書によって式の書き表し方が変わってしまいます。
しかし、実際は式の形は分数に統一されていることから、約分できない方、つまり分母が引き算になるということが覚えられます!
2. 分母の引き算は大きい方から小さい方を引く(分母がマイナスにならないように)
これで、分母が引き算になっていることを覚えられたら、あとは壊変定数や半減期の大小関係から分母がマイナスの値にならないように考えると、これだけで分母の式の形を覚えることができます!
もし、ここまでの話を頭の中だけで計算のイメージをするのが難しければ、実際にペンで紙に書いてみましょう。(文字式が分かりにくければ具体的な数字を入れて考えてみるといいかもしれません!※具体的な数字を入れる時は親と娘の大小関係には気をつけてください!)
今言った通りに考えることで分母は導けます!
3. 分子について
続いて分子を考えていくのですが、前提条件として永続平衡について思い出しておきましょう!
永続平衡とは、親と娘の半減期や壊変定数の違いが過渡平衡よりもかなり大きくなったものです。
そのため、永続平衡では親核種と娘核種の放射能は等しくなります。
つまり、式で表すと以下のようになります。
先ほども述べたように、永続平衡は過渡平衡での差を大きくしたものですから、過渡平衡の公式から永続平衡の公式が導くことができます。
まず、過渡平衡の分母部分は永続平衡になると、引き算の後ろ側の数字が引き算の前側の数字よりもかなり小さくなりますので、分母は引き算の前側の数字だけでもほとんど変わらないとみなせるわけです。
(具体的な数字で考えると、10000-1=9999のように、引き算の前側と後ろ側で差が大きければ、引き算の結果は引き算の前側の数字とほぼ等しくなります)
そして、やっと過渡平衡の分子の話ですが、放射能の公式の方から考えていきましょう!
永続平衡の分母は引き算の前側の文字だけとなり、永続平衡では親と娘の放射能が等しくなることを考えると、分数としては約分されて1となって欲しいので、分子は分母の引き算の前側と同じにしてあげれば良いということになります。
このように先に永続平衡の式まで考えてあげることによって、過渡平衡の放射能を求める公式を導けました!
最後に、原子数Nバージョンの式を導くには、A=λNを放射能の公式に適用して変形してあげると簡単に導くことができますよ!
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3. 終わりに
いかがでしたか?
最初に読んだ時は、もしかしたら覚えにくいと感じた人もいるかもしれませんが、このような理解や覚え方をしておくことで、単純に覚えるよりは格段に覚えられるようになります!
前提条件として覚えておかなければならないことがいくつかありましたが、それらは超重要なので覚えている前提での公式の覚え方となっています。
語呂合わせ(こじつけ)を考えるコツでも言いましたが、自分でその情景をイメージできることが、勉強においてかなり大事なこととなります!
そのため、今回の料理の例がしっくりこなくても、問題を解く時や覚えようとするときに何度もその情景を思い浮かべれば定着していくと思います!
もしくは、料理の例以外にも自分で考えてみるのもいいと思います。
何より自分で考えた情景って忘れにくいですからね!
僕の考え方・覚え方が少しでも参考になれば幸いです。
もし、他にも考え方を教えて欲しいなどありましたら、コメントによろしくお願いします。
以上radでした!
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