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2019年10月12日

エリアス・カネッティの「マラケシュの声」の執筆脳について7

分析例
(1)筆者がマラブ(アフリカの大型のコウノトリ)を聖人と理解した場面。
(2)文法2 テンスとアスペクト、1は現在形、2は過去形、3は未来形、4は現在進行形、5は現在完了形、6は過去進行形、7は過去完了形。 
(3)意味1 距離(現実と心理)、意味2 喜怒哀楽、意味3 視覚、聴覚、味覚、嗅覚、触覚、意味4 振舞いの直示と隠喩。

テキスト共生の公式
(1)言語の認知による購読脳の組み合わせを「観察と叙事」にする。カネッティが滞在中に観察したマラケシュの街の一場面。観察には、カネッティの五感が設定されている。
(2)文法2のテンスとアスペクトや意味1の現実とか心理の距離には、一応ダイナミズムがある。また、連想分析1の各行の「観察と叙事」を次のように特定する。

A 観察と叙事=テンスは過去形、距離は近い、楽、視覚+聴覚、直示(ボロを着た白髪の盲で乞食の老人に咀嚼の習慣がある。突然現れた男が静かに、この人はマラブと伝える)。
B 観察と叙事=テンスは過去形、距離は近い、喜、視覚+聴覚、隠喩(マラブは聖人で特別な力があることが分かる)。
C 観察と叙事=テンスは過去形、距離は近い、楽、視覚+聴覚、直示(どうしてマラブはコインを口に入れるのか、まるで習慣のようである)。
D 観察と叙事=テンスは過去形、距離は中位、楽、視覚+聴覚、直示(2、3人がカネッティを見る。驚くべき動物は、長いことわからなかった私なのだ)。
E 観察と叙事=テンスは過去形、距離は近い、楽、聴覚、隠喩(マラブは聖人であり、全てが唾でも神聖である)。

結果
上記場面は、「観察と叙事」という購読脳の条件を満たしている。

花村嘉英(2019)「エリアス・カネッティの『マラケシュの声』の執筆脳について」より
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花村嘉英
花村嘉英(はなむら よしひさ) 1961年生まれ、立教大学大学院文学研究科博士後期課程(ドイツ語学専攻)在学中に渡独。 1989年からドイツ・チュービンゲン大学に留学し、同大大学院新文献学部博士課程でドイツ語学・言語学(意味論)を専攻。帰国後、技術文(ドイツ語、英語)の機械翻訳に従事する。 2009年より中国の大学で日本語を教える傍ら、比較言語学(ドイツ語、英語、中国語、日本語)、文体論、シナジー論、翻訳学の研究を進める。テーマは、データベースを作成するテキスト共生に基づいたマクロの文学分析である。 著書に「計算文学入門−Thomas Mannのイロニーはファジィ推論といえるのか?」(新風舎:出版証明書付)、「从认知语言学的角度浅析鲁迅作品−魯迅をシナジーで読む」(華東理工大学出版社)、「日本語教育のためのプログラム−中国語話者向けの教授法から森鴎外のデータベースまで(日语教育计划书−面向中国人的日语教学法与森鸥外小说的数据库应用)」南京東南大学出版社、「从认知语言学的角度浅析纳丁・戈迪默-ナディン・ゴーディマと意欲」華東理工大学出版社、「計算文学入門(改訂版)−シナジーのメタファーの原点を探る」(V2ソリューション)、「小説をシナジーで読む 魯迅から莫言へーシナジーのメタファーのために」(V2ソリューション)がある。 論文には「論理文法の基礎−主要部駆動句構造文法のドイツ語への適用」、「人文科学から見た技術文の翻訳技法」、「サピアの『言語』と魯迅の『阿Q正伝』−魯迅とカオス」などがある。 学術関連表彰 栄誉証書 文献学 南京農業大学(2017年)、大連外国語大学(2017年)
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