2019年05月29日
家族の木 THE SECOND STORY 俊也と真梨 <15 冷たい体>
冷たい体
不妊治療を中止しして3カ月ぐらいたったころから真梨は徐々に以前の明るさを取り戻していた。「ママに謝りたいんだけど蒸し返すのもよくないのかな?」と相談された。
「あの時、多分ホルモンの関係だと思うんだけど、今思ってもよくわかんないの。なんであんなに子供子供って思い詰めてたのか。欲しいのは確かだったの。でも絵梨一人でも普通に幸福だと思ってたのよ。できる努力はしてみようって思っただけだったのよ。なんであんなに思い詰めるようになったのかがよくわかんないのよ。」といった。
男女差の最も大きい部分の話だった。僕はただ「そうだったのか。」と思うだけだった。真梨が夢から覚めたように気分がしっかりして、言うことも以前のように穏やかになったことにホッとしていた。
結局、休日に叔父夫婦を夕食に招待して真梨の手料理でもてなした。叔父も叔母もずいぶん喜んだ。それだけだが叔母は少し涙ぐんだように感じた。僕たちは表面的には以前のような円満な関係を取り戻していた。
ところが現実は不妊治療を中止してからは夫婦関係は無くなっていた。一年半、とにかく妊娠だけを目的に関係を持っていた。目的がなくなったとき、僕たちの夜は単なる睡眠時間になった。
僕も真梨も寝室に入ったが最後、以前のようにおしゃべりをするでもなくすぐに眠ってしまう。その方が気が楽だった。
その夜は真梨が先に寝室に入った。僕達はいつもどちらからともなく寝室に入る時間をずらしていた。僕は真梨より20分ぐらい遅れて寝室に入った。明かりは落とされていたので薄暗さに目が慣れるまで1分ぐらいかかった。
目が慣れてから床をみて心臓が止まりそうになった。真梨がベッドの横で倒れていた。うつ伏せに丸くなって少し震えているように見えた。呼吸が早いような気がした。「どうした!」と大きな声が出た。横のベッドで寝ていた絵梨が寝返りを打った。
真梨は胸を押さえて苦しんでいた。驚いて「苦しいのか!」と聞くと無言でうなづいた。「胸か!」と聞くとまた無言でうなづいた。抱き起していいものかどうか迷った。額に手を当てようとしたとき、真梨が突然仰向けに寝返った。僕は体勢を崩して真梨にかぶさるように倒れた。
僕が「作戦か?」と聞くとこっくりうなづいて声を上げて泣き出した。「ばか、そんな声を出したら絵梨が起きるぞ。」といいながら真梨の口を手のひらで押さえた。真梨の体は驚くほど冷たかった。「ずっと床に寝てたんか?」と聞くと「うん」と答えた。
「アホか君は、他の作戦思いつかんかった?」と聞くと「ホントに全然思いつかなかったのよ。ちょっと焦ってたし。」「焦ってた?」「だってお兄ちゃんに嫌われてるんだもん。」と言ってまた泣き出した。「そんな声を出したら絵梨が起きる。静かにしないと。」と言った様な気もする。
真梨を僕のベッドに寝かせて二人で布団をかぶって温めあった。数カ月ぶりの熱い昂ぶりが襲ってきた。真梨は、多分僕をつなぎとめようと必死だったのだと思う。何度も私のこと好き?と聞いてきた。僕が知っている真梨よりももっと情熱的だった。
結局僕は真梨に「今度から寂しかったら僕のベッドに入って待つこと。わかった?」と念を押していた。僕は同じ作戦に2度引っかかって以前よりももっと深い罠にはまっていく、本当に扱いやすい男だった。
続く
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不妊治療を中止しして3カ月ぐらいたったころから真梨は徐々に以前の明るさを取り戻していた。「ママに謝りたいんだけど蒸し返すのもよくないのかな?」と相談された。
「あの時、多分ホルモンの関係だと思うんだけど、今思ってもよくわかんないの。なんであんなに子供子供って思い詰めてたのか。欲しいのは確かだったの。でも絵梨一人でも普通に幸福だと思ってたのよ。できる努力はしてみようって思っただけだったのよ。なんであんなに思い詰めるようになったのかがよくわかんないのよ。」といった。
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結局、休日に叔父夫婦を夕食に招待して真梨の手料理でもてなした。叔父も叔母もずいぶん喜んだ。それだけだが叔母は少し涙ぐんだように感じた。僕たちは表面的には以前のような円満な関係を取り戻していた。
ところが現実は不妊治療を中止してからは夫婦関係は無くなっていた。一年半、とにかく妊娠だけを目的に関係を持っていた。目的がなくなったとき、僕たちの夜は単なる睡眠時間になった。
僕も真梨も寝室に入ったが最後、以前のようにおしゃべりをするでもなくすぐに眠ってしまう。その方が気が楽だった。
その夜は真梨が先に寝室に入った。僕達はいつもどちらからともなく寝室に入る時間をずらしていた。僕は真梨より20分ぐらい遅れて寝室に入った。明かりは落とされていたので薄暗さに目が慣れるまで1分ぐらいかかった。
目が慣れてから床をみて心臓が止まりそうになった。真梨がベッドの横で倒れていた。うつ伏せに丸くなって少し震えているように見えた。呼吸が早いような気がした。「どうした!」と大きな声が出た。横のベッドで寝ていた絵梨が寝返りを打った。
真梨は胸を押さえて苦しんでいた。驚いて「苦しいのか!」と聞くと無言でうなづいた。「胸か!」と聞くとまた無言でうなづいた。抱き起していいものかどうか迷った。額に手を当てようとしたとき、真梨が突然仰向けに寝返った。僕は体勢を崩して真梨にかぶさるように倒れた。
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「アホか君は、他の作戦思いつかんかった?」と聞くと「ホントに全然思いつかなかったのよ。ちょっと焦ってたし。」「焦ってた?」「だってお兄ちゃんに嫌われてるんだもん。」と言ってまた泣き出した。「そんな声を出したら絵梨が起きる。静かにしないと。」と言った様な気もする。
真梨を僕のベッドに寝かせて二人で布団をかぶって温めあった。数カ月ぶりの熱い昂ぶりが襲ってきた。真梨は、多分僕をつなぎとめようと必死だったのだと思う。何度も私のこと好き?と聞いてきた。僕が知っている真梨よりももっと情熱的だった。
結局僕は真梨に「今度から寂しかったら僕のベッドに入って待つこと。わかった?」と念を押していた。僕は同じ作戦に2度引っかかって以前よりももっと深い罠にはまっていく、本当に扱いやすい男だった。
続く
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