2019年08月19日
家族の木 THE THIRD STORY 純一と絵梨 <45 父の挨拶>
父の挨拶
ある日業界の会合で浜野興産の社長と会った。同業の会合なので偶然でもないのだが特に待ち合わせもしなかった。向こうから声をかけてくれた。僕よりも11歳上だが、年齢よりも老けて見えた。おとなしい人で見合いの席でもあまりしゃべらなかった。
その人が満面の笑みで声をかけてくれた。「ちょっと一杯いかがですかな?地下にいい店があります。」と誘われたので少し飲むことにした。考えてみれば結婚後2年にもなるのに、まだ一度もこういう機会がなかった。要は疎遠だということだ。
「真がお世話になっております。突然、梨央さんを神戸に連れて行ってしまって怒っておられないかと心配しておるんですが、本人が梨央さんの希望だと言って聞きませんので、ご挨拶が遅くなってしまいまして。」
「いやいや、こちらこそきちんとご挨拶しなければならないのに。本当にわがまま娘で申し訳ございません。」と一応の挨拶をした。内心「何が梨央の希望だ。そっちの息子が離れるのを嫌がったんじゃないか。」と思っていた。
「いや、もし、梨央さんのわがままなら、よくわがままを言ってくださった。感謝いたします。いえね、梨央さんと一緒に暮らし始めてから息子が変わりました。」
「といいますと。」
「息子は、意地悪ではないんです。ただ、なんというかドライというか冷たいというか。
社員にも取引先にも卒がない、ミスがないんですが、家族になると冷淡でしてな。
原因ははっきりしておるんです。うちの娘たちは二人とも真の母親が亡くなる前に生まれておりまして、まあ、私の不徳の致すところです。息子は家内も妹たちも嫌いです。もちろん私が一番嫌われております。ただ、妹たちには罪がないんです。」浜野の父親は家の中の恥ともいえることをあけっぴろげにしゃべった。
「妹たちに意地悪をするわけではありませんが無関心というか冷淡というか。妹の学校の名前もうる覚えのような状態だったんです。それが、この間突然上の妹に向かって、いい男はいないのか?そろそろ考えろよ。って声を掛けましてな。家中びっくり仰天でした。その上、いいやつがいないんだったら自分が探してやるといいました。息子が家族の世話をするなんぞ考えもしないことでした。家内はびっくりして返事もできない様でした。家内にとっては本当に気がねする難しい息子でしたからな。」
「大体の事情は聞いてはおりましたが、そこまで深刻な状況とは知りませんでした。」とこたえたものの少し腹が立った。たまたまうまくいったからいいようなものの、下手をすれば梨央に不幸な結婚をさせてしまうところだった。
「梨央さんが息子にやさしい気持ちを取り戻させてくださったんだと思っています。本当に立派なお嬢さんと結婚出来て息子は幸せ者です。」と結局は梨央のことをずいぶんほめて貰ったので納得することにした。
来週は梨沙の結婚式だ。梨沙の相手の新田の方は気さくな家だが挨拶はしっかりしていた。特に姑さんは梨沙のことが気に入ってくれたようだ。当たり前だろう。17歳も年下の超が付く美人だぞ。その上、共働きで高給取りだ。頭もいいし性格も超が付くほどのお人よしだ。これで文句があれば、その場で離婚だと思っていた。
続く
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「いやいや、こちらこそきちんとご挨拶しなければならないのに。本当にわがまま娘で申し訳ございません。」と一応の挨拶をした。内心「何が梨央の希望だ。そっちの息子が離れるのを嫌がったんじゃないか。」と思っていた。
「いや、もし、梨央さんのわがままなら、よくわがままを言ってくださった。感謝いたします。いえね、梨央さんと一緒に暮らし始めてから息子が変わりました。」
「といいますと。」
「息子は、意地悪ではないんです。ただ、なんというかドライというか冷たいというか。
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原因ははっきりしておるんです。うちの娘たちは二人とも真の母親が亡くなる前に生まれておりまして、まあ、私の不徳の致すところです。息子は家内も妹たちも嫌いです。もちろん私が一番嫌われております。ただ、妹たちには罪がないんです。」浜野の父親は家の中の恥ともいえることをあけっぴろげにしゃべった。
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「大体の事情は聞いてはおりましたが、そこまで深刻な状況とは知りませんでした。」とこたえたものの少し腹が立った。たまたまうまくいったからいいようなものの、下手をすれば梨央に不幸な結婚をさせてしまうところだった。
「梨央さんが息子にやさしい気持ちを取り戻させてくださったんだと思っています。本当に立派なお嬢さんと結婚出来て息子は幸せ者です。」と結局は梨央のことをずいぶんほめて貰ったので納得することにした。
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