2019年06月16日
家族の木 THE SECOND STORY 俊也と真梨 <32 父親の絵>
父親の絵
純一は就職活動を始めた。日本の就職制度では純一はいわゆる新卒採用の枠から外れていた。地方に本社のある会社も視野に入れていたので時々泊りがけで出かけることもあった。
純一が面接を受けるために大阪へ行った、その時の飛行機で大阪の従妹の隆君にあったらしい。隆君は聡一と美奈子さんの長男だった。純一とは同い年だ。戸籍上は従妹だが実の兄と弟なのだし意気投合しても無理はない。
大阪の田原の古い屋敷には母がお手伝いさんと暮らしていた。我が家の子供たちは、その家を都合よく利用していた。母は、たまにやってくる東京の孫に甘かった。
その日は隆君の勧めで聡一の家で夕食をごちそうになったらしい。美奈子さんは隆君と純一が似ているのに不信感を持たなかっただろうか?
僕と聡一は、それとなく子供たちが会う機会を作らないようにしていた。美奈子さんは初めて純一を落ち着いて見たのだ。従妹同士なのだから似ていても不思議ではない。が、隆君と純一は似すぎていた。
このことが縁で隆君と純一は頻繁にあうようになった。田原の母の家で会ったり隆君の家で会ったしていた。
田原の母に純一が絵梨の顛末を話したらしい。姑にいびられたという話を聞いて母は怒り心頭だった。美奈子さんはますます気を使わねばならなくなった。
絵梨のことをきっかけにして、いままで距離を詰めることができなかった母と美奈子さんが一気に近づいた。母は美奈子さんの誠意のある対応に驚いたようだった。
その上、隆君と純一が頻繁に母の家に泊まるので美奈子さんも放ってはおけないようだった。
それ自体は喜ばしいことだったが不安材料もあった。高齢の母が純一のことを美奈子さんに話してしまわないか?聡一もこのことを心配していた。
純一は結局大阪で就職を決めた。僕は一時的に大阪で暮らすのもいいだろうと思っていた。絵梨と距離を取る意味でもそれがいいと思った。真梨も他人の釜の飯を食うのもいい経験だと言っていた。
僕たち夫婦は純一の大阪暮らしをT不動産の社長になるための勉強だと考えていた。
純一は優秀だったし最近は人格も信頼していた。以前の放蕩は一時的な気の迷いというものだったのだろう。家庭を持ってくれればいいと思っていた。
純一は生涯絵梨のことが好きだろう。思春期に美貌の姉に一時的に興味を持っても不思議はない。それはいずれは肉親の愛に変化するのだろう、やがては純一に見合ういい人に出会うのだろう思っていた。
僕は自分に都合のいい絵をかいていた。父親は夢のように鈍感だった。
続く
老けて見えると悩んでいるあなた
それはお肌の内から衰えが原因かも
お肌を内側からケアしたければ
高濃度プラセンタとアスタキサンチンの強力な抗酸化作用がお肌を内側からケアします。
純一は就職活動を始めた。日本の就職制度では純一はいわゆる新卒採用の枠から外れていた。地方に本社のある会社も視野に入れていたので時々泊りがけで出かけることもあった。
純一が面接を受けるために大阪へ行った、その時の飛行機で大阪の従妹の隆君にあったらしい。隆君は聡一と美奈子さんの長男だった。純一とは同い年だ。戸籍上は従妹だが実の兄と弟なのだし意気投合しても無理はない。
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その日は隆君の勧めで聡一の家で夕食をごちそうになったらしい。美奈子さんは隆君と純一が似ているのに不信感を持たなかっただろうか?
僕と聡一は、それとなく子供たちが会う機会を作らないようにしていた。美奈子さんは初めて純一を落ち着いて見たのだ。従妹同士なのだから似ていても不思議ではない。が、隆君と純一は似すぎていた。
このことが縁で隆君と純一は頻繁にあうようになった。田原の母の家で会ったり隆君の家で会ったしていた。
田原の母に純一が絵梨の顛末を話したらしい。姑にいびられたという話を聞いて母は怒り心頭だった。美奈子さんはますます気を使わねばならなくなった。
絵梨のことをきっかけにして、いままで距離を詰めることができなかった母と美奈子さんが一気に近づいた。母は美奈子さんの誠意のある対応に驚いたようだった。
その上、隆君と純一が頻繁に母の家に泊まるので美奈子さんも放ってはおけないようだった。
それ自体は喜ばしいことだったが不安材料もあった。高齢の母が純一のことを美奈子さんに話してしまわないか?聡一もこのことを心配していた。
純一は結局大阪で就職を決めた。僕は一時的に大阪で暮らすのもいいだろうと思っていた。絵梨と距離を取る意味でもそれがいいと思った。真梨も他人の釜の飯を食うのもいい経験だと言っていた。
僕たち夫婦は純一の大阪暮らしをT不動産の社長になるための勉強だと考えていた。
純一は優秀だったし最近は人格も信頼していた。以前の放蕩は一時的な気の迷いというものだったのだろう。家庭を持ってくれればいいと思っていた。
純一は生涯絵梨のことが好きだろう。思春期に美貌の姉に一時的に興味を持っても不思議はない。それはいずれは肉親の愛に変化するのだろう、やがては純一に見合ういい人に出会うのだろう思っていた。
僕は自分に都合のいい絵をかいていた。父親は夢のように鈍感だった。
続く
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