2020年12月05日
スキル<色欲>を取得しました。〜恋愛経験ゼロの処女ビッチギャルは困惑する〜
物語には始まりがある。
始まりは突然やってくる事もあれば予兆がある場合もある。
少女にとっては突然の出来事であったかもしれない。
世界にとっては予兆があったのかもしれない。
どちらにせよ彼女にとっては始まりの物語である。
エルセーヌ
☆ ☆ ☆
ロリポップ!
マジ最悪!クソハゲ!私が何したって言うの?大体あのミスはクソ部長の伝達ミスだろうが!なんで私のせいになってんだよ!始末書とかマジ意味わかんない!あったまキタ!それに髪の色が派手!?ちょっと茶色いだけじゃん!自分がハゲてるからってこっちに八つ当たりしたいだけじゃん!大体入社の時から変わってねーから!それを今更なんで私だけ!?私より派手な色の奴なんかいっぱいいるじゃねーかハゲ!あーウザい!いつまで喋んだよハゲ!話がなげーよ!ハゲと二人っきりって時点で最悪なのに!
「おい!聞いてるのか!このままじゃ異動の件も無くなるかもしれんし!下手すればクビだってあるかもしれんのだぞ!」
「聞いてます」
うっざ!くっさ!このハゲさっきから目つきが嫌らしいんだよ!こっち見んな!
「だからな?ワシが専務にも理事にもかけあってやるからお前にもそれなりの誠意を見せろと言っとるんだ!」
「始末書を書いて黒に染めれば良いんですよね?」
「それだけじゃ無理だな!」
さっきからなーにが言いたいんだこのハゲは?始末書書いて黒に染めて終わりでしょ?何回同じ話しすりゃいいわけ!?マジ意味わかんない!もー!約束に遅れんじゃんか!ハゲ!
「意味がわかりません」
「察しの悪い奴だな……お前みたいな奴が見せれる誠意なんて一つしかないだろうが!ワシだって暇じゃないんだぞ!」
Xserver Business
ウゼェ……マジで意味わかんないんだけど!もういいや帰ろう!
「月曜日までには黒に染めて始末書提出するんで帰ります」
「ちょっと待たんか!これ以上何が望みだ!金か?」
んー?さっきからなーんか会話が噛み合ってない気がするんだけど?このハゲ金とか何言っちゃってんの?さてはこのハゲもやってんな?スマホ見る振りして……動画録画スタート!
「意味がわかりません!」
「もういい!良いから脱げ!それで全部ワシが丸く収めてやるから!」
「マジかよこのハゲ……痛っ!」
スキル<色欲>を取得しました。
なにこれいきなり!頭痛い!割れる!てか割れた!このハゲなにしやがった!
「てめー!クソハゲ!何しやがった!」
「ワシはまだ何もしとらんわ!良いから脱げ!どうせ売りもやっとるんだろうが!」
「正体現したな!この淫行ハゲ!……誰かー!助けてー!犯されるー!」
ざまぁみろクソハゲ!てめーの人生終わりだよ!
「コラ!黙れ!いい加減にしろ!」
「てめー!そうやって何人も脅して食ってきたんだろーが!そうはいかねーからな!大体ミスも部長のせいだろーが!こっちに擦りつけやがって!」
こういう奴が居るから私はギャルみたいな事やらされてんだよ!クソハゲ!こちとらまだ処女だっつーの!
「良いから!言う通りにしろ!お前も念願の異動取り消しなんて嫌だろう?な?」
「はぁ?異動なんていくらでもできますけど?っつーかまだ気付いてねーの?あったま悪っ!てめーは!まんまと罠にハマったんだよハゲ!」
会社で意味も無くギャルみたいな恰好するかよ!こっちだって馬鹿じゃねーんだぞ!ハゲ!
「何が言いたい?罠だと?」
「オメーみたいなクズを見つけんのが私の仕事だって事だよハゲ!」
大体監査役でも無いのになんで私がこんな面倒なことやんなきゃなんないのよ!あのクソ狸!ボーナスはたっぷり弾んで貰うからな!
「何を言っとる?仕事だと?出任せも程々にしろ!このアバズレが!会社中がお前の噂しとるのは知っとるんだぞ!妙に羽振りが良くて売りをやっとるってな!」
「んなもんオメーみたいなクズを引っ張り出す為のでまかせに決まってんだろハゲ!察しが悪ぃな!馬鹿もここまでくるとオメデタイね!いいから大人しく辞表の準備でもしとけや!」
相変わらずクズの相手は疲れるわ!ってかアイツラ遅すぎじゃない?もしかしてもう帰った?さっさと幕引きして欲しいんだけど!私も暇じゃないんだけど!
「田中部長!」
「なんだお前たちは!この会議室は使用中だぞ!」
「会長がお呼びです!至急会長室へ行ってください!」
やっときたか!オセーんだよ馬鹿!ちょっとはこっちの事も考えろよ!脳味噌筋肉達磨共が!
「って事で帰りまーす」
「君も会長室に行くんだよ児玉君!」
「はぁー最悪!今日は早く帰れると思って約束してたのに」
しゃーないメッセージだけ送っとこう……ごめん今日無理になった……と
「全ては田中部長の責任ですので会長を責めないでくださいね?」
「わかってるわよ!そのぐらい!さっさといくわよ!」
「はい!」
「失礼します」
相変わらずガチャガチャしてる部屋ね物が多すぎなのよ、大体あんなでっかいフィギュアなんか会長室に置いてて良いの?等身大フィギュアとか言ってたけど、邪魔でしょアレ!
「来たか!ご苦労様じゃのう!」
「あのハゲ……田中部長はどうしたんですか?」
「残念ながら彼はわが社を去るそうじゃよ……気の毒にのぅ……きっと家庭で何かあったんじゃろうなぁ……」
このクソ狸め!どうせ今回もてめーが仕組んだ事だろうが!
「そうですか……それはお気の毒ですね……クソ狸」
「おや?なにかあったのかい?機嫌が悪そうじゃが?」
「機嫌も悪くなりますよ、いつもいきなりで約束も駄目になりましたしね……それでボーナスはいか程頂けますでしょうか?クソ狸?」
「これこれ……そう何度もクソ狸などと呼ばんでくれ、これも仕方ないことなのじゃよ?会社を守っていく為にはのぅ?」
「面白がってるだけだろクソ狸、それでいくらくれるんだよ?さっさと受け取って帰りたいんだけど」
「まぁそう焦るな、今回は100でどうじゃろう?」
「200」
「110じゃな」
「200」
「120じゃ」
「200」
「150……これが限界じゃ」
「200」
「じゃから150が限界じゃて」
「200」
「いや、そこはもう少しこちらに譲歩するもんじゃぞ?」
「200」
「頑なじゃのぅ……160」
「200」
「いい加減にせんか!200も払えんというとるじゃろ!」
「200じゃないと里奈に言いつけるから」
「おまっ!それはあまりにも卑怯じゃぞ!孫は関係ないじゃろ!……仕方ないのぅ200で手をうつわい」
「クソ狸が孫の親友使って悪さしてるのが悪い!」
「……それはしょーがないじゃろー!美奈にしかこんな事は頼めんわい!」
「知らん!大体今時ギャルってなによ!頭悪いやつか頭おかしい奴しか引っかかんないわよ!普通のOLでいいじゃない!?私今年で25歳よ?女には限界ってもんがあんのよ!大体こんな格好してたらいつまで経っても結婚どころか彼氏すら出来ないわよ!」
「頭の悪い奴を罠にかけるのが目的じゃからのぅ……結婚も彼氏も恰好だけが問題じゃあるまいて、それに結婚も彼氏も駄目なら里奈がおるじゃろ?」
「それじゃ問題解決になって無いのよ!クソ狸!」
「この際百合でもええじゃろ!里奈も満更では無いんじゃろ?」
「たしかに告白はされてるけど……断ったわよ!っていうかこの仕事いつまでやらせる気なのよ?もうそろそろ地元に帰りたいんだけど?」
「後一人怪しい奴が居るのでな、そやつが尻尾を出すかどうか次第じゃな」
「ソイツが白だったら?」
「脅迫された社員が居たのは間違いない……嘆かわしい事じゃ」
「その脅迫された人はどうしたの?」
「今は別グループで働いて貰って居る……本当なら表に出すべき事なんじゃがな……世界が混乱しておるこの時期だけは何としても不祥事は避けたい」
「そうね……スキル、加護、魔法、ダンジョン……世界がアップデートだか何だか知らいけど、一体どんなファンタジーよ全く!」
あれ?そういえばさっき<色欲>がどうとか言って無かったっけ?
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