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2019年04月20日

陽だまりの丘 4

「戸田ちゃん、抱え込むからなあ〜。潰れないでよろしく頼むよ〜」

「潰れませんって。ありがとうございます」


照子先生は休憩室でお歳暮のお菓子をつまみながら、私の方にもお菓子を置く。

「明日ね、午後から学校の参観日があるから行かなくちゃならないの。午後から内科予約枠切ってあるからよろしくね。風邪くらいなら院長に振っちゃって大丈夫だから。カルテ上手く回しちゃって」

「参観日ってどちらのお子さんですか?」

「んー、凍ってたほう」

「あ、新くんですか」

三上夫妻には小学生のお子さんが二人おり、下のお子さんは照子先生が32歳の時の卵子を冷凍保存して、36歳の頃に受精卵をお腹に戻して出産した正真正銘、三上夫妻の子供である。
卵子冷凍保存は保管にすごく経費がかかると聞くが、どうしていたのかくわしくは私も知らない。
照子先生が新くん本人の目の前で、この子は東京で生まれたのよと同じようなニュアンスで、凍ってから生まれたのよと当たり前のように話す。新くん本人も、僕凍ってたんだよねーと嬉しそうに話す。だから、初めはびっくりした私も、そうなんだねー、凍ってたんだねと自然と相づちを打つようになっていた。凍ってたって、凍ってなくたって、新くんは夜な夜なクリニックに顔をのぞかせるやんちゃな三上家の長男だ。
休憩室には彼のおもちゃと、学習帳、おやつがいつも転がっている。
それを軽く片付けながら照子先生が、
「じゃ、帰りましょうか」
と言った。


ひんやりした冬の空気は澄んでいて、飲んべぇ戸田さんの私はコンビニのビールを片手に鼻歌を歌う。
ふと、蒼ちゃんの家に明かりが漏れているのに気づいた。
複数の人影が動いている。
蒼ちゃんはバンドをしている。男女混ざったバンドメンバーで、時々蒼ちゃんの部屋は盛り上がりを見せている。

今夜はお邪魔するのはやめようっと。

午前中に作り置きしたおでんのことだけを考えて、マンションのエントランスへ入った。



続き




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陽だまりの丘 3

翌日の仕事に向かうと、数人の看護師がバタバタと動いていた。
クリニックなので、仕事は平日のみ。
そして主婦の多い職場なので、私は彼女達のいない時間帯をうめるべく、15時から20時の間働く。兼業主婦である彼女達は17時半に仕事場から出て、お母さんや妻の役割に戻ってゆく。


「戸田さん、おつかれさまです。妊婦健診お願いします」

17時半に帰る主婦組の看護師の渡辺さんから、渡された患者さんの母子手帳を持って処置室へ行く。



「それはわかってます。わかってますけど…!なんかなぁ。失礼ですけど、あなたは結婚して子供がいるんですか?」

突然のプライベートな質問に面食らう。

「いえ、いませんけど…」



小さい子供が二人いると言うのは渡辺さんしかいない。

「…わかりました。少々お待ちください。」


看護師は指名制じゃないんですけど。
と心の中だけでつぶやく。

渡辺さんの所へ行き、事情話して代わってもらうようにお願いした。

「ああ、津田さんね。津田さんに体重のことをきつく言っちゃだめよ。ヘビースモーカーだったんだけど、1人目のお子さんを妊娠された時から頑張って禁煙してるのよ。禁煙すると甘いものが口寂しくなって、食べちゃうんだって。でもがんばって禁煙を続けてるから。ストレス溜まってたんじゃない?」

渡辺さんが電子カルテの入力の手を止めて、対応を代わってくれた。

気持ちを察して関わらないと患者さんは心を開いてくれない。
しかし、そういった事情は、普段から接していないとわからない。非常勤だと患者さんと関わる時間も少ないし、そんな情報はカルテを読んだってなかなかわからないのだ。

病院で病棟に常勤で勤めていた頃なら、患者さんの背景を知って、彼らの状況を踏まえた上で体重指導もできただろう。

患者さんに満足に寄り添えない虚しさと、間違ったことは言っていないつもりなのに理不尽なことを言われたという個人としての悔しさが入り混じる。

涙が出そうになることは、この仕事をしているとたびたびある。だけど、今は仕事中。
気持ちを切り替えるしかないのだ。

渡辺さんにお礼を言って、業務に戻った。

終業後、後片付けをしていると、

「戸田主任、だいじょーぶ?元気?」

と後ろから声がした。
陽気な声の持ち主は、この三上産婦人科クリニックの副院長、照子先生だ。
このクリニックは夫婦でやっていて、院長が旦那さんで産婦人科医の芳仁先生、副院長が内科医で婦人内科を診ている奥さんの照子先生である。不思議と人の感情を察知して、拾ってくれる。

「もう、看護主任じゃないですよ。大学病院は辞めたんだから。」

「じゃ、きまじめ戸田さんって呼ぼうか?」

「やめてくださいよー」

どちらの呼び名も、大学病院時代の私の呼び名。
新人の頃は、きまじめ戸田さん。きまじめで馬鹿正直で融通の効かない、新人看護師戸田さん。

そこから14年と年月ばかりが過ぎていって、空いたポストに最後に収まったのが主任。

照子先生も同じ内科病棟で勤務していて、今度クリニック開くから戸田さんも来てと誘われた。
今まで、昼夜を問わず常勤でバリバリ働いてきて疲れていたから、しっかり働く気はしばらくないというと、非常勤でいいから来てくれないと雇ってくれたのが、照子先生だ。



続き



陽だまりの丘 2

「蒼ちゃん」


網戸だけ引いた縁側の奥で、無精髭を生やした男が半袖半ズボンで寝そべっている。





「風邪ひくよ」

半覚醒状態なのだろう。
うぅんと目を擦りながら、起き上がろうとする姿が可愛い。
30代前半には見えない童顔が、こちらを向く。

「紫(ゆかり)、来てたんだ」

「うん、さっきね」

このように家宅侵入しても、竹田 蒼太(蒼ちゃんと呼んでいる)が驚かないのは、私達の付き合いが長いからということもあるが、彼の人懐こい性分によるところも大きい。


「起きたら、なんか腹へった。なんか作るから、紫も食べる?」

もそもそと起き出した割にはテキパキと、冷蔵庫からキャベツやベーコンを取り出す蒼ちゃん。

テーブルの上に出しっ放しにした、ホットプレートは洗って拭いたら、テーブルの上に片付け、すっかり定位置になっている。

蒼ちゃんは先に平たいお皿を二枚並べ、生ゴミ用にビニールを広げた。

ボウルに粉を入れて目分量で水を入れ、手慣れた手つきでかき回す。
それを薄く、鉄板の上に広げはじめた。

何を作るのか察した私は、傍らでキャベツを刻む。

「サンキュ。」

蒼ちゃんは、まな板から直接キャベツを掴むと鉄板の上で焼き始める。

卵を二つずつ割りはじめた。
黄身を固まる前に軽く混ぜ、それをひっくり返す。両面焼きだ。
蒼ちゃんは、卵とは別の所でベーコンを焼き始める。
普通は豚バラ肉を使うのだけど、お財布事情により、ベーコンで代用だ。

ベーコンが焼けると、それをキャベツの上にのせてジュージュー焼く。
さらに卵をのせる。

その間に、天かすとお好みソース、マヨネーズを出す。
ふと思い立ち、庭を通って我が家の冷蔵庫に直行する。

冷えた缶ビールを目の前にトンと置くと、蒼ちゃんは

「紫、わかってる」
ニヤリと笑った。
それだけで、ほんのりと嬉しい気持ちになる。
一人では、持て余す土日のぽっかり空いた時間をこうして蒼ちゃんはうめてくれる。
自分探しは自分だけじゃできないのだ、きっと。

用意したお皿に出来上がった広島焼きをのせると、一つを私の方へ押しやる。
私は黄身を真っ先につぶし、蒼ちゃんは黄身をつぶさないように、そっとお皿の隅によける。蒼ちゃんは、好きなものは後で食べる派だ。
テレビを付けて、二人でなんとなくそれを見ながら私は仕事の愚痴をこぼす。蒼ちゃんは、テレビを見ているようで聞いてくれているようだ。最後に必ず私の言ったことを要約して、紫がんばってるねと声をかけてくれる。

その一言を聞くと私は、仕事の嫌なことを忘れられるのだ。

蒼ちゃんが洗い物をして、テーブルを片付けるのが私の役目だ。


テーブルをふきんで拭いている時に、ガスやスマホ代金の催促状が目に入った。
ひとところにまとめてあるところを見ると、払わなくてはならないとは思っているのだろう。

しかし、早く払わなきゃと小言をいう権利は私にはない。

私は、蒼ちゃんの恋人ではないのだから。


和室にゴロリと横になり、ウトウトし始めた蒼ちゃんに毛布をかけ、そっと自分の部屋へ戻った。



続き





女性の6つの悩みに【ピュアメイジング】




小説 陽だまりの丘

ひだまりの丘


私は自分勝手なのかもしれない。
だけど、自分の幸せが欲しかった。
小さい頃から、自分を抑えつけて“良い子”をしてきた私には、自分を解放して好きに生きていい時がわからなかった。

大学を卒業して就職した大学病院での勤務から、知り合いのクリニックに非常勤看護師として勤め方を変えた。そしたら、10代で出来なかった、自分探しをするつもりだった。私の精神年齢は、見せかけだけは年相応だが、中身はきっと高校生で止まっている。

土日は専らこもってばかりいるマンションの一室は、激務と引き換えに手にした私の城だ。
土の庭が欲しくて30代のはじめに購入した一階の部屋は、柵はあるものの防犯という面では頼りない。
その隙間をすり抜けると、隣の築何十年のアパートの庭に出る。心なしか私の庭より広い。




続き



家族のお話

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iPadを買ったのは去年の3月位でした
元はイラストを書くのに使おうと思って、ペン買ったのですが、
最近はまたアナログに戻っています

紙に書くのがすごく楽なんだよなぁ…




四コマ漫画はじめました

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livedoor blogさんで四コマ始めました
「スナ」として描いています

四コマ漫画では日常のこと、時々仕事の話、
あと、イラストの話などを描いていこうとおもいます^ ^


画像はクリックして頂くと大きくなります
拙いですが、よろしくお願いします

次の4コマ漫画




2019年01月14日

Hand Made in Japan Fes 冬に行ってきました!

Hand Made in Japan Fes 冬に行ってきました

これはCreemaが主催のハンドメイドフェスです

https://hmj-fes.jp/

Creemaは創作活動に取り組む全国の作り手と生活者が、 オンライン上で直接オリジナル作品を売買できるCtoCマーケットプレイスです。 「本当にいいものが埋もれてしまうことのない、 フェアで大規模な新しい経済圏を作る」というビジョンのもと2010年にサービスを開始し、 現在は約13万人の作り手による600万点以上の作品が出品されています。
(https://search.yahoo.co.jpより抜粋)

夏も行ったんです

そしたらもう楽しくて楽しくて

ハンドメイド仲間の友人と冬も行ってきました


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こんな感じで出展されています

レジン、ハーバリウムなどが多かったです


個人的にツボにはまったお店がこちら↓

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いるいる!
こういうだいこんやにんじん! 笑


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えっ
旅に出るの?!
というか、商品置きっ放しで大丈夫??

突っ込みどころ満載でした

気に入ったお皿やさんがこちら


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上薬の色によってこうなるんでしょうか〜?
こういうお皿、深みがあって大好きなんです

山口県の萩焼でこういうお皿があって、集めています


あとはフードも充実!

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でら可愛い!!!

食べるのもったいですね


こんな感じで気になるお店がいっぱいで
予算もっと持って行けばよかったと大後悔でした



遅くなりましたが…

新年あけましておめでとうございます


だいぶ経ちましたが

年末年始はバタバタしてました

仕事のストレス発散で、お買い物をしまくったり
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バスツアーで横山温泉のアルパカくんを撮ったり


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改めて考えると遊んでばかりですね (笑)


でも、いいリフレッシュでした

そしてこの間に誕生日を迎え、ついに大台に乗りました

複雑な気持ち


でも、今年もレクリエーションの仕事、皆さんに楽しんでもらえるよう、精一杯頑張っていきたいと思います


2018年11月17日

今日は何の日 11月17日

11月17日

おはようございます^^
今日は土曜日なので、いまいち仕事に緊張感持てず〜 (笑)
今日もレクリエーションあるので、がんばっていきます!!



○将棋の日
日本将棋連盟が1975(昭和50)年に制定。
江戸時代、将棋好きの8代将軍徳川吉宗が、この日を「お城将棋の日」とし、年に1回の御前対局を制度化した。11月17日は「将棋の日」。日本将棋連盟が1975年に制定したものだ。これは江戸時代中期から御城将棋が11月17日(旧暦)に行われていたことにちなむ。
御城将棋とは、江戸時代に江戸城の御黒書院(おんくろしょいん)で、徳川将軍の御前で年に1回行われた対局のこと。17世紀から行われていたが、しばらくの間は対局日が年によってまちまちだった。八代将軍徳川吉宗の時代(1716年)になって、御城将棋の式日が11月17日と定められた。なお、関西将棋会館5階の対局室は、御黒書院を模した造りになっている。
○蓮根の日
茨城県土浦市で1994(平成6)年のこの日に全国の蓮根産地が集まって開催された「蓮根サミット」で制定。


ここで言葉連想です
Q.穴の開いた食べ物といえば?





・ちくわ ・バームクーヘン ・ドーナツ ・マカロニ ・蕎麦ぼうろ
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