作曲家・玉木宏樹氏(故人)
誰が音楽をダメにしたのか?
1910年頃から,シェーンベルクが無調音楽(調性のない
音楽を始め,ストラヴィンスキーは「春の祭典」で激しい
バーバリズムをバレエに持ち込んだ。これ以後,
クラシック系の音楽は一挙に様変わりし,
シェーンベルクが12音音楽の手法を確立するに至っては,
時代は一挙にメロディとハーモニーを放棄した騒音的な
音楽が主流となっていった。
そして,1930年代になると,後期ロマン派の生き残りの
作曲家も姿を消し,ドテン・バタン・グショーンの
無調音楽が全盛となる。
当時の風潮としては,分り易い曲を書くと完全にバカにされ,
そういう指向の人は,ジャズ系に走ったようだ。
なぜ音楽がそういう風になってしまったのか。
一つには,作曲至上主義がはびこり,演奏家より優位に
立とうとする作曲家の傲慢が,演奏不能,理解不能の風土を
育てた。
そしてもう一つは,純正律と平均律の問題が横たわっている。
ピアノ用に簡便な(1回の調律で済む)平均律の調律を施した
ピアノが工場出荷したのが1842年といわれ,
それでも最初のうちは,プロからは全く無視されていた。
オクターヴ12鍵のピアノに対し,前期ロマン派の作曲家たちは,
ヴェルクマイスター,キルンベルガー等の不等分調律を駆使して
作曲していたが, 1890年頃から,プロの作曲家,ピアニストたちも
殆ど平均律に屈するようになる。
独学で作曲の研鑽をしていたシェーンベルクは,
アマチュアのチェロ奏きだった。
つまり,音程を自分でコントロールしなければいけない立場である。
ピアノやオルガン等は調律師がピッチをコントロールし,
演奏者はピッチに対し,無関心で,無神経である。(続く)
元・NPO法人純正律音楽研究会代表 玉木宏樹氏(故人)
本質的なことを理解しないままに受け入れていくのも自由だけれども
このようなお話を聞くにつけても時代の推移が見えてくると視点に
良き影響を得ることは価値的なことと思った。
純正律音楽研究会を、
心とからだのカウンセラー石井 寛も支援します。
【NPO法人 純正律音楽研究会 転載承認】
タグ:平均律VS純正律
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