「我が世の春だねぇ……」
元横綱旭富士の伊勢ヶ濱親方を“名伯楽”と呼んでも過言ではないだろう。
角界を去った元横綱の日馬富士のほか、横綱・照ノ富士を筆頭に幕内力士の宝富士、照強、翠富士、十両には錦富士と熱海富士と計6人の関取を擁す。
先の5月場所での幕内優勝は照ノ富士、十両優勝は錦富士と、伊勢ヶ濱勢がアベック優勝をもぎ取った。
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はたして伊勢ヶ濱部屋の強さの秘密はあるのだろうか? 部屋付き親方である元関脇・安美錦の安治川親方が、かつて言っていたことがある。
「他の部屋は、若い衆は早朝から稽古をしますが、うちの部屋は番付に関係なく朝8時から一斉に始まるので、それぞれの立場から細かいアドバイスもできる。普段はみんな仲が良くて結束も固いかな。うちの師匠は稽古には厳しいけれど、私生活などは特には口うるさくない。オンとオフの、その緩急もいいのかもしれないですね」
「彼は相撲界の大谷選手になるよ!」
今、角界の注目株は、十両2場所目の5月場所で10勝5敗の好成績を挙げた熱海富士だ。
'21年初場所で序ノ口優勝し、翌場所では序二段優勝。
入門からわずか8場所で新十両となった新進気鋭の19歳だ。
身長186cm、体重176kgと体躯にも恵まれている。
そして勝って顔をほころばせ、負ければ思わず悔し涙を見せてしまうほどに表情が豊かで、「初々しくて可愛い!」と相撲ファンのあいだでも人気沸騰中。
辛口評論で有名な北の富士氏をして、「彼は相撲界の大谷選手になるよ!」と言わしめるほどの大器なのだ。
新十両の3月場所では、新型コロナ感染の影響で思うように稽古ができずに負け越したものの、先場所は2ケタ勝利の大奮闘で、細い目をさらに細め、19歳の笑顔を光らせた。
「まだまだ課題があるので、もっと稽古していきたいです。幕内でも通用するような圧力を付けていきたいです」
そんな抱負を口にしていた。相撲っぷりはまだまだ脇が甘く、腰高を指摘されるのだが、そのぶん今後の“のびしろ”に期待大だ。
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