2016年11月19日
日本のサラリーマンのランチ事情
多くのサラリーマンにとって「昼食代」は自分のこづかいの出費先として、そして数少ないお楽しみの時間を充足させる重要な要素として、注目に値する金銭的
な要素に違いない。ある意味テレビや新聞で見聞きする数々の経済的な指標以上に身近で生活に密着する、ウェイトの大きな金銭面での数字ともいえよう。今回
は新生銀行が毎年定点観測的に調査・報告をしている「サラリーマンのお小遣い調査」の最新版(2016年6月29日発表)などを元に、そのサラリーマンの
昼食代事情について、少し掘り下げる形で経年変化や属性別の動向を確認していくことにする(【発表リリース:男性会社員のお小遣いは過去3番目に低い金額-「2016年サラリーマンのお小遣い調査」結果について】)。リンク
今調査の調査要件などは先行解説記事【2016年のサラリーマンこづかい事情】にある。そちらを確認のこと。
物価がほぼ横ばいで推移する中、サラリーマンの昼食代は今世紀に入ってから漸減。500円台前半で横ばいを維持していた。いわゆる「ワンコインランチ」
(500円玉一枚で購入できる昼食との意味。実際にはもう数十円必要)状態が継続中だった。しかしここ数年は景況感の回復、そして2014年に入ると消費
税率の引き上げや円安基調に伴う物価の上昇を受け、トレンドも上向きに転じる形となっている。ただし直近ではわずかに下げてしまった。
↑ サラリーマンの1回あたりの平均昼食代(弁当持参時をのぞく)(勤務日)(円)(-2015年)
直近の2016年はここ数年来の上昇機運から転じ、前年の600円台から500円台に転落。ほぼ2007年と同額で、金融危機以降の減退ぶりと比べればまだ高値だが、前年比でのマイナス計上が残念であることに変わりは無い。
年齢階層別の前年比を確認すると、20代の減少が著しく(702円から528円)、これが全体にも影響を与える形となっている。この動きが単なるイレギュ
ラーなものか、継続的なものかは来年以降を見極める必要があるが、好ましい話では無い。ただし20代の社員食堂利用内訳率が、2015年の14.1%から
2016年には20.6%と大きく伸びており、これが昼食代を引き下げた主要因である可能性は否定できない。
これを属性別に見たのが次のグラフ。
↑ サラリーマンの1回あたりの平均昼食代(弁当持参時をのぞく)(勤務日)(円)(2016年、属性別)
従来、属性別では未婚の方が既婚よりも昼食代は上だった。ところがこの数年では逆転現象が起きている。既婚・子供無し・共働きの世帯は一番高い金額を呈し
ているが、夫婦共働きで子供が居ないため養育費なども必要ないことから、金銭面での余裕があるものと考えられる。他方未婚者の額面がひかえめなのは、直上
で記した通り若年層≒未婚者多し≒社員食堂の利用者多しの図式によるものと考えられる。
世代別では若年層ほど高く、歳を経るに連れて額が下がっている。20代がそのパターンに反して低い値なのは上記の仮説の通り。数年前までは大よそ年上ほど
高額を示していたので、意外な感はある。ただし直上の仮説の通り、若年層の社員食堂の利用率が影響しているとすれば、道理が通る動きには違いない。
先日【サラリーマンのこづかいと昼食代の微妙な関係】で、過去における昼食内容の内訳を確認した。持参弁当を食する場合がもっとも多く、購入弁当が続いている。
↑ 平均的な一週間の昼食(勤務日)における昼食回数の内訳(-2016年)(再録)
これを直近2016年分・上位三項目について、主要属性別に見たのが次のグラフ……としたいところだが、2015年分に続き今年2016年分もその部分の
開示が無い。世代別は示されているが、特に大きな変化は見られない。そこで参考値の領域に留まるが、公開されている限りでは直近となる2014年の値をグ
ラフ化する。
↑ サラリーマンの昼食内訳(2014年、一部)
未既婚別では未婚者は外食・購入弁当が多く、持参弁当が少なめ。既婚者は持参弁当が未婚者の2倍近くで、外食や購入弁当など費用がかかるものが少なめ。無論持参弁当を利用する理由は「節約」だけでなく、配偶者に愛情を感じてほしいこと、健康志向など他の理由もある。
一方、既婚者で子供のあるなし別では、子供がいる方が持参弁当率がやや高め。子供向けの弁当を作る際に一緒に配偶者用のも作るのが常であることを考えれば、納得のいく結果ではある。
「昼食代は500円台」「既婚者の方が代金を支払う時の昼食代は上」「持参弁当は既婚者の方が多く4割近く」。現在のサラリーマンの昼食事情はこのように
まとめることができる。物価上昇なども一因だが、昼食代がこの数年上昇傾向にあることは、良い傾向に違いない。今後は600円台への回復を目標として増額
を果たし、サラリーマンの昼食にもこれまで以上の選択肢をもたらし、彩りを添えてほしいものだ。
ちなみに韓国の場合は、文化の違い上
会社のカードで食べる人たちも50%で多いですが
その習慣も経費の問題とともに減少気味で
最近は弁当持参の人たちも増えているように思います。
また、ランチもソウルエリアだと7000−9000₩(600−800円)前後で
あるのでとても懐事情は大変です。
な要素に違いない。ある意味テレビや新聞で見聞きする数々の経済的な指標以上に身近で生活に密着する、ウェイトの大きな金銭面での数字ともいえよう。今回
は新生銀行が毎年定点観測的に調査・報告をしている「サラリーマンのお小遣い調査」の最新版(2016年6月29日発表)などを元に、そのサラリーマンの
昼食代事情について、少し掘り下げる形で経年変化や属性別の動向を確認していくことにする(【発表リリース:男性会社員のお小遣いは過去3番目に低い金額-「2016年サラリーマンのお小遣い調査」結果について】)。リンク
500円台に再突入・4年ぶりに下落
今調査の調査要件などは先行解説記事【2016年のサラリーマンこづかい事情】にある。そちらを確認のこと。
物価がほぼ横ばいで推移する中、サラリーマンの昼食代は今世紀に入ってから漸減。500円台前半で横ばいを維持していた。いわゆる「ワンコインランチ」
(500円玉一枚で購入できる昼食との意味。実際にはもう数十円必要)状態が継続中だった。しかしここ数年は景況感の回復、そして2014年に入ると消費
税率の引き上げや円安基調に伴う物価の上昇を受け、トレンドも上向きに転じる形となっている。ただし直近ではわずかに下げてしまった。
↑ サラリーマンの1回あたりの平均昼食代(弁当持参時をのぞく)(勤務日)(円)(-2015年)
直近の2016年はここ数年来の上昇機運から転じ、前年の600円台から500円台に転落。ほぼ2007年と同額で、金融危機以降の減退ぶりと比べればまだ高値だが、前年比でのマイナス計上が残念であることに変わりは無い。
年齢階層別の前年比を確認すると、20代の減少が著しく(702円から528円)、これが全体にも影響を与える形となっている。この動きが単なるイレギュ
ラーなものか、継続的なものかは来年以降を見極める必要があるが、好ましい話では無い。ただし20代の社員食堂利用内訳率が、2015年の14.1%から
2016年には20.6%と大きく伸びており、これが昼食代を引き下げた主要因である可能性は否定できない。
これを属性別に見たのが次のグラフ。
↑ サラリーマンの1回あたりの平均昼食代(弁当持参時をのぞく)(勤務日)(円)(2016年、属性別)
従来、属性別では未婚の方が既婚よりも昼食代は上だった。ところがこの数年では逆転現象が起きている。既婚・子供無し・共働きの世帯は一番高い金額を呈し
ているが、夫婦共働きで子供が居ないため養育費なども必要ないことから、金銭面での余裕があるものと考えられる。他方未婚者の額面がひかえめなのは、直上
で記した通り若年層≒未婚者多し≒社員食堂の利用者多しの図式によるものと考えられる。
世代別では若年層ほど高く、歳を経るに連れて額が下がっている。20代がそのパターンに反して低い値なのは上記の仮説の通り。数年前までは大よそ年上ほど
高額を示していたので、意外な感はある。ただし直上の仮説の通り、若年層の社員食堂の利用率が影響しているとすれば、道理が通る動きには違いない。
昼食内訳を詳しく見てみる
先日【サラリーマンのこづかいと昼食代の微妙な関係】で、過去における昼食内容の内訳を確認した。持参弁当を食する場合がもっとも多く、購入弁当が続いている。
↑ 平均的な一週間の昼食(勤務日)における昼食回数の内訳(-2016年)(再録)
これを直近2016年分・上位三項目について、主要属性別に見たのが次のグラフ……としたいところだが、2015年分に続き今年2016年分もその部分の
開示が無い。世代別は示されているが、特に大きな変化は見られない。そこで参考値の領域に留まるが、公開されている限りでは直近となる2014年の値をグ
ラフ化する。
↑ サラリーマンの昼食内訳(2014年、一部)
未既婚別では未婚者は外食・購入弁当が多く、持参弁当が少なめ。既婚者は持参弁当が未婚者の2倍近くで、外食や購入弁当など費用がかかるものが少なめ。無論持参弁当を利用する理由は「節約」だけでなく、配偶者に愛情を感じてほしいこと、健康志向など他の理由もある。
一方、既婚者で子供のあるなし別では、子供がいる方が持参弁当率がやや高め。子供向けの弁当を作る際に一緒に配偶者用のも作るのが常であることを考えれば、納得のいく結果ではある。
「昼食代は500円台」「既婚者の方が代金を支払う時の昼食代は上」「持参弁当は既婚者の方が多く4割近く」。現在のサラリーマンの昼食事情はこのように
まとめることができる。物価上昇なども一因だが、昼食代がこの数年上昇傾向にあることは、良い傾向に違いない。今後は600円台への回復を目標として増額
を果たし、サラリーマンの昼食にもこれまで以上の選択肢をもたらし、彩りを添えてほしいものだ。
ちなみに韓国の場合は、文化の違い上
会社のカードで食べる人たちも50%で多いですが
その習慣も経費の問題とともに減少気味で
最近は弁当持参の人たちも増えているように思います。
また、ランチもソウルエリアだと7000−9000₩(600−800円)前後で
あるのでとても懐事情は大変です。
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