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2018年12月14日

仮想通貨のバブル崩壊が望ましいことでもある理由





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2017年の秋から年末にかけて高騰した仮想通貨の価格が、18年になってからは下落を続けている。なぜ下落しているのか? これからどうなるのか?

また、価格下落は仮想通貨にとって望ましくないことか?

以下では、価格下落は正常な価格への復帰であること、本来の目的である送金手段という観点からみれば、価格下落による手数料低下は望ましいこと、しかし価格安定化も望まれることを論じる。




● 価格下落は バブルの調整


ビットコインの価格は、2017年12月中旬には、1BTCが2万ドルにまで近づいた(BTCはビットコインの単位)。

ところが、18年には下落が続き、7月に1BTCは6000ドルにまで低下した。11月中旬からはさらに下落し、12月8日には1BTC3400ドル台となっている。これは、17年8月頃の水準だ(図表1参照)。




最近の下落は、17年8月にビットコイン(BTC)から分裂して作られたビットコインキャッシュ(BCH)が、さらに分裂したことによる、との見方もある。

しかし、基本的には、昨年後半に生じたバブルの調整だと考えられる。

18年1月11日付「ビットコイン価格が急落した原因は先物取引の開始だ」で書いたように、昨年12月に先物取引が開始されたことによって、バブルが崩壊したのだ。

したがって、ビットコインの価格は、昨年後半に異常に高かったのであり、現在、正常な価格に戻りつつある、と見ることができる。

昨年の秋から冬にかけてのように、小口投資家や個人投資家が投機的な買いに殺到して価格が暴騰するようなことは、もうないだろう。

これについては、18年6月28日付「ビットコイン価格の『暴騰』がもはや起きない理由」で書いた。

では、機関投資家はどうか?

シカゴオプション取引所のビットコイン先物残の推移を見ると、図表2のとおりであり、売り残高が多い状態が続いている。これは、弱気の見通しが多いためだと解釈できる。


 



ただし、図表3に示すシカゴ商品取引所のビットコイン先物残の推移を見ると、買い残高と売り残高の差が縮小しつつある。

これを見ると、弱気と強気の差が縮小しつつあるようにも思われる。そうだとすれば、価格安定化への兆しとも解釈できる。

なお、ビットコイン価格の低下に伴い、マイナー(データ記録者)が仮想通貨のマイニング(採掘)から撤退しつつある。

また、アメリカの大手マイニング企業ギガワットが倒産し、日本ではGMOインターネットによるマイニング事業が約6億円の赤字になった。中国ではマイニング機材が大量に販売されていると言われる。




● 価格下落には 望ましい側面もある


しかし投機的な動きが収まるのは、ビットコインの健全な発達にとって望ましいことだ。

なぜなら、これによって、送金手数料が下がるからだ。

ビットフライヤーからの送金手数料は0.0004BTCだが、1BTC=40万円として計算すると、160円となる。

他方、三菱UFJ銀行での他行あての振込手数料は、3万円未満で270円、3万円以上で432円だ。

このように、ビットコインのほうがだいぶ安くなっている。

これが本来あるべき姿だ。




ただし、ビットコインの価格が下がり続けると、受け取った側で問題が生じる。保有し続ければ価値が低下してしまうからだ。

もっとも、価格が変動するからといって決済ができないわけではない。現実の通貨でも、国際取引であれば為替レートの変動に直面せざるを得ない。しかし、それに対しては、先物市場を利用してヘッジすることが可能だ。

ビットコインについても先物市場が開設されているのだから、それを用いてヘッジすることは可能になっている。

また仮想通貨の取引が拡大して独自の経済圏が形成されれば、その中では一定の交換価値で通用するので、現実通貨との価格の変動は、あまり大きな問題ではなくなる。

そうではあっても、決済・送金手段として使うためには、価格が安定しているほうが望ましい。

実際にそうしたコインの開発が進められている。




● 価格安定化を実現する 「ステイブルコイン」は可能か


「ステイブルコイン」(Stable Coin)とは、価格の安定化を実現しようとするコインである。下記のように、いくつかの種類のものがある。

第1は、仮想通貨の発行額と同額の資産を担保として保有するものだ。これには、テザー(Tether)などがある。

小規模なら価格を安定化できるかもしれないが、発行額が増えた場合に、担保を確保できるかどうかが問題だ。実際、テザーに対しては、準備金が不十分ではないかという疑いが持たれている。

第2は、ビットコインの価格に連動する仮想通貨で、ビットシェアーズ(Bitshares)などがある。このタイプのものは、ビットコインの価格自体が変動してしまうという問題がある。

これ以外にも、ステイブルコインと称されるものがある。GMOインターネットは、日本円と連動する仮想通貨を発行すると、10月に発表した。

このタイプのものも、発行額が増えた場合に保証が続けられるかという問題がある。


なお、ビットコインなどの仮想通貨の供給スケジュールはあらかじめ決められているが、これを価格に応じて変動させるような仕組みも考えられる。

例えば、価格が下落すれば発行量を減少させるような仕組みだ。

これまでステイブルコインと言われてきたものは、どれも問題がある。安定化は難しい課題だと考えざるを得ない。

そもそも、安定化といっても、どの水準に安定化すべきかが定かではない。ビットコインのような仮想通貨には、ファンダメンタルズを考えにくいからである。

したがって、価格安定化には、別の方法も考えられるべきだ。




● メガバンク発行の仮想通貨 価格安定化では期待大きい


2018年1月25日付「ビットコインの投機封じは取引所閉鎖でなく証拠金取引規制から」で書いたように、昨年のビットコイン投機は、証拠金取引によって引き起こされた可能性が強い。

価格安定化のためには、これを規制すべきだ。

また、仮想通貨の価格が不安定になる1つの理由は、ガバナンスの欠如である。

昨年も、ビットコインの分裂騒ぎが起きて、状況が不安定化した。そこで、ガバナンスを確立するための試みもなされている。

以上を考慮すると、メガバンクが発行する仮想通貨に期待されるところは大きい。

日本経済新聞(2018年10月17日付)によれば、三菱UFJ銀行は、19年度にも、10万人規模の大規模実証実験を経て、仮想通貨の実用化を目指す。

また、リップル社のシステムを使った国際送金の実証実験を開始し、数年内の実用化を目指す。さらに、ブロックチェーン技術を応用して、処理量を従来のカード決済システムの10倍超となる毎秒100万件以上の「高速決済システム」を開発している。

こうしたことが実現すれば、本格的なステイブルコインとなるだろう。

銀行が発行する仮想通貨は、集中管理型であるという点で、ビットコイン型の仮想通貨の理念には反するものだが、価格安定化を考えると、やむを得ない選択と言えるかもしれない。








引用元:ダイヤモンド・オンライン
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20181213-00188242-diamond-bus_all





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