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2014年10月05日

<御嶽山>重点観測へ 16火山に追加 文科省

 長野、岐阜県境の御嶽山(おんたけさん)(3067メートル)の噴火を受け、文部科学省の科学技術・学術審議会の部会が、東京大など全国の9国立大が重点的に観測・研究している国内の16火山を巡り、「対象外」としていた御嶽山を追加する方向で検討を始めることが分かった。重点化の在り方についても見直しを進めるとみられ、近く開催予定の部会で議論する。専門家は「火山学は防災と密接に関わる。今回の悲劇を教訓にかじを切り直すべきだ」と話している。

 同省地震・防災研究課によると、同審議会の部会は2008年12月、旧帝大を中心に国立の9大学が当時研究観測対象としていた33火山について、予想される噴火の規模や活動度の高さなどから御嶽山などを外し、富士山など16火山に特化して重点的に観測することを決めた。

 背景には04年の大学法人化以降、運営費交付金を国が減らすようになったことなどがある。16火山の選定では噴火予知のためのデータ収集など学術的な側面が重視され、人命を守るための防災の視点はあまり考慮されなかったという。

 御嶽山は、1979年に有史以来初めて噴火し、07年にも計3度目となる小規模な噴火があり、名古屋大が観測していた。研究メンバーだった木股文昭・名古屋大元教授(地震学)は「御嶽山には噴火予知の予算が計上されなくなり、基礎データの蓄積という地味な調査観測が極めて困難になった」と振り返る。地中内のマグマ、熱水の上昇に伴う地殻変動や、ふもとで発生する群発地震のメカニズムを知るための水準測量などもできなくなったという。

 同審議会の部会メンバーでもある九州大地震火山観測研究センター長の清水洋教授(火山物理学)は「『選択と集中』は苦肉の策だったが、火口近くで噴火の兆候をつかむ能力は確実に落ちた」と話す。以前の観測体制が続いていても今回の噴火の予測は難しかったとした上で、「現在は遠隔地で見られる(地震計などの)データだけで火山活動の状況を判断している。近くで観測していれば兆候をつかめた可能性はゼロではない」と指摘する。

 今回の噴火を受け、同省地震・防災研究課の重野伸昭・地震火山専門官は「火山の噴火予知研究を全体的に見直す中で、重点16火山の在り方も検討することになる」とし、審議会の部会について「10月の遅くならないうちに開催したい」と話している。
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