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2014年09月23日

「女子力」で逆襲!? ダイハツ軽シェア首位死守の正念場

■シェアの差はわずか0.4ポイント

ダイハツ工業の軽自動車トップの座が危うくなってきた。今年1月〜8月のシェアはダイハツ30.4%に対し、スズキは30.0%と、その差はわずか0.4ポイント。台数にすると、5600台弱で、もし9月の販売台数が8月のような数字だと、逆転されてしまう。


8月の販売台数はダイハツが3万5454台に対し、スズキは4万2923台で、スズキのほうが7469台も多い。しかも、4月以降5カ月連続してダイハツはスズキに負けているのだ。

もちろんその間、ダイハツは手をこまねいて見ていたわけではない。6月に「コペン」、7月には「ミライース」と新型車を相次いで投入した。特にコペンは軽自動車オープンスポーツカーで、おまけに自分の好みに合わせて着せ替えも可能という画期的な車だ。月間販売目標700台に対し、7月約2400台、8月約3400台と目標を大きく上回る状態が続いている。

その結果、ダイハツ全体の軽自動車販売台数は前年よりも5.5%も伸びている。それでも、シェアを落としているわけだ。その理由は、スズキの販売が好調なことに他ならない。なにしろ今年1月に発売した軽自動車SUV「ハスラー」がアウトドアという趣味性を強く打ち出したことで爆発的なヒット。月平均8000台以上も売れているのだ。

スズキとしては、2007年に34年間守ってきた軽自動車トップの座をダイハツに奪われて以来、虎視眈々と奪還を狙ってきた。そのチャンスがここへ来てようやく訪れてきたということで、社内では相当力が入っているそうだ。

■女性の声満載!「農業女子」も取り込む

もちろんダイハツはトップの座を譲る気はさらさらない。営業本部長の堀井仁専務執行役員も「シェアトップを取ることが目的ではないが、お客様のニーズをくみ取って、一番売れているブランドにこだわっていきたい」と話す。


そこで、打ち出した手が軽自動車ユーザーで多い女性客の取り込みだ。それも特に若い女性にターゲットを絞っている。スズキがアウトドア志向なら、ダイハツは若い女性志向というわけだ。

その端的な例が8月下旬に発売した「ミラココア」と、9月上旬に発売した「ハイゼットトラック」といえる。ミラココアでは、開発に当たって「ココかわプロジェクト」を結成。社内のあらゆる部署の女性社員が集い、顧客調査、内外装デザイン、用品開発、販促策の検討まで、一貫してプロジェクトチームに属する女性社員が担った。

そして生まれたミラココアは、ボディカラーが15色、内装色が9種類と、これまで十数通りだった組み合わせを160通りまで増やした。そのほか、全国を15の地域に分け、販売会社の女性社員が中心となって開発した、地域限定の特別仕様車も用意した。「ますます多様化している女性の感性をしっかり反映させるべく、“好みに合わせて選べる”という価値にこだわった」と堀井専務。

一方、ハイゼットトラックは、農林水産省が進める「農業女子プロジェクト」に自動車メーカーとして唯一参画。実際に農業に携わる女性からの意見を反映し、全8色のカラーを用意し、スーパーUV&IRカットガラスや、スーパークリーンエアフィルター、バニティミラー付サンバイザーなどを装備した。そのほか、「ビューティパック」や「農業女子パック」などユニークなプランも用意した。

このように、ダイハツは女性を意識した車づくりで確実に女性客を獲得しようというわけだ。そして、地域に密着した営業活動をさらに強化していくという。これから数カ月間がまさしくトップ死守への正念場と言えそうだ。

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