2020年07月12日
ついに最小限の時代が終わる
最小限 守りたいものがあります
いつも遊びに来て下さってありがとうございます
香港ディズニーランドから気になるニュースが入ってきました。
【アジアタイムズ:7月7日付】
(香港で市中感染9名を確認)
香港では旧正月後の1月下旬から2月に感染拡大の第一波が到来した後、4月のイースター休暇を前に海外で働いたり留学している香港人が帰省した際の持ち込み感染が主因となって感染拡大の第二波を経験しました。
今回の市中感染の発生は、感染経路不明の感染者が多く含まれており、香港の衛生防護センター伝染病局の張竹君(チュアン・シュク・クワン)主任は、感染拡大の第三波となりうるものとして警戒を強めているようです。
張主任は記者会見で、最近の感染拡大は、過去数週間における経済・社会活動の拡大によって引き起こされたと言い、物理的な距離の確保を人々が軽視するようになった可能性を指摘しています。
また、同じ記者会見で衛生防護センターの黄加慶(ウォン・カヒン)総監は、市中感染の再拡大を「無症状感染者を通じた感染の連鎖が断ち切られていないことの証左」と言っており、無症状感染者を識別・隔離・追跡することが簡単ではないことが示唆されています。
黄総監は、「感染防止策の強化が必要とされるのであれば、ただちに着手する」と発言し、物理的距離を確保するための措置を強化することも辞さない旨、言及しています。
そして、市中感染者のうち40歳の男性が、6月28日に友人と集まり、7月3日に香港ディズニーランドを訪れ、ディズニーホテルでバフェット形式の食事を摂った後、7月4日の土曜日に体調が悪化して入院し、新型コロナウイルス感染症の陽性反応が出た、とのこと。
今後、他のゲストに感染が広がっていることが判明するかどうかを見守るしかなく、香港ディズニーランドがクラスターになっていないことを祈るばかりですが、こうした事例は、ディズニーランドパリでも、ウォルト・ディズニー・ワールドでも、東京ディズニーリゾートでも起きうることなので、決して対岸の火事として扱ってはいけないと思います。
ディズニーパーク自身は「万全の感染症対策」をアピールし、世界各国のディズニーファンのYouTubeやツイッターなんかを見ていても、最近はパーク内の安全確保の様々な取組が星の数ほど紹介されるのを目にします。
しかしこれらは、「パーク内の感染予防策」に過ぎず、「感染症対策」として万全であるかどうかは別問題だと思います。
政府の行動履歴トラッキングアプリを活用して、感染リスクに晒されていないゲストのみの入園を許可する上海ディズニーランドを除けば、各国のディズニーパークが実施しているスクリーニングは体温測定や、「体調の悪いゲストは入園をお控えください」といった呼び掛けぐらいです(上海ディズニーランド再開の際に導入された安全措置については、をご覧ください)。
これでは、今回の香港ディズニーランドの事例のような潜伏期間中で未発症の保菌者や、無症状感染者の入園を防ぐことは不可能です。
そして、これはパークの責任ではないのですが、未発症者や無症状感染者の来園のリスクが最も高いのは、実は東京ディズニーランド/シーではないかと思います。
理由は、日本はPCR検査の実施件数が極端に少なく、感染リスクの所在が正確に掴めていない可能性が高い点です。
「日本はPCR検査の実施件数が少ない」というのは、聞いたことがある、という日本人の方は少なくないと思いますが、いったいどれくらい少ないのか、ご存知でしょうか
以下の図は、人口1,000人当たりの検査件数をG7諸国で比較したものです。
ご覧のとおり、日本の人口1,000人当たりのPCR検査件数は0.5人。ヨーロッパ諸国やカナダの10分の1から20分の1、アメリカの約40分の1です。
日本は、重症者や感染者との濃厚接触者を中心にPCR検査の対象を絞って実施し、氷山の一角から得られた情報を見て感染拡大の防止を図るという、他国とは大きく異なるアプローチを採用しています。
この方法では、重症患者が増加してきた場合に、対症療法的に対応する分には大きな問題は生じない…というか、少なくとも2月から5月までの間は生じなかったのですが、公表された「感染者数」のおそらく何十倍も存在する軽症者や無症状感染者を把握することは不可能です。
入口のところで感染リスクを抱えた無症状のゲストのスクリーニングができない以上、感染症対策として重要なのが、パーク内で感染者が出た場合の濃厚接触者の追跡と隔離です。これは、感染拡大を最小限に抑える上で絶対に外せないポイントです。
しかし、世界のディズニーパークの中で、パーク内で感染者が出たケースを想定して、感染リスクの追跡について明確な対策を打ち出している例は無いんじゃないでしょうか
日本では、ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)が、大阪府がレストランやレジャー施設を対象に運用している「大阪コロナ追跡システム」(来場者が登録したメールアドレス宛てに感染リスクに関する情報を通知するシステム)を採用した上で再開したと聞いています。
一つの自治体の取組なので、USJのように他府県からも集客を行う施設で果たしてどれほど機能するのか明らかではない部分も残りますが、少なくとも、万一の場合の感染リスクの追跡も含めて感染症対策を設計した姿勢は評価して良いと思います。
香港ディズニーランドの事例は、
・ コロナウイルスは至るところに存在するし、どれほど徹底的な予防措置を講じても、感染リスクはゼロではない
ということを認識する上で、重要なレッスンとなると思います。
最小限 ふかいね、と夫 やさしいね、と妻
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