2015年01月02日
11R 第53回 スポーツニッポン賞京都金杯(GIII)&11R 第64回 日刊スポーツ賞中山金杯(GIII)
京都 出走馬情報
近年の京都金杯では、道中で内ラチ沿いを通った馬が強い競馬を見せる傾向がある。その理由は、秋の京都開催で使用したCコースからAコースに替わることで、仮柵で保護されていた内ラチ沿いの芝を走れるようになるため。芝のレースが少ない年明けの開催は、その効力が特に大きい。近年の優勝馬を振り返ると、2012年のマイネルラクリマが2枠4番、2013年のダノンシャークが1枠1番、2014年のエキストラエンドが1枠2番からの発走で、いずれも馬場の内めを通り直線で一気に突き抜ける勝ち方だった。レースを検討する側としては、内ラチ沿いを通りやすい先行馬を狙いたくなるところだが、それは騎乗する騎手も考えることで、ペースが速くなりやすい。末脚温存タイプで、内ラチ沿いを通れそうな馬を狙うのが、近年の京都金杯におけるセオリーと言えそうだ。
2014年も大活躍だった角居勝彦厩舎は、京都金杯に2頭出しを予定。特に大きな期待をかけているのがフルーキー(牡5)で、じっくりと成長を促しながら素質開花の時期を待っていた。5歳になる2015年は、飛躍の、そして勝負の一年となりそうだ。前走のチャレンジCは2着(同着)で重賞初制覇はならなかったが、勝ち馬のトーセンスターダムとの着差はわずかにクビと、重賞で勝ち負けできる能力を示した内容だった。12月24日に栗東CWコースで行われた1週前追い切りでは、いい動きを見せており、気配も申し分ない。今回も好勝負を期待してよさそうだ。
角居勝彦厩舎からはもう一頭、エキストラエンド(牡6)が出走予定。2014年の京都金杯を制している馬で、今回は連覇を狙っての参戦となる。距離を短縮して芝・マイル路線に転じた2014年は、京都金杯を優勝、読売マイラーズC3着、そして前走のマイルチャンピオンシップでも、12番人気の低評価を覆して、勝ち馬のダノンシャークから0秒4差の5着に健闘と、京都・外回りの芝1600mへの適性が高いところを示した。12月24日に栗東CWコースで行われた1週前追い切りでは、有馬記念出走馬デニムアンドルビー(9着)の併走相手を務め、ラスト1ハロンは12秒1をマーク。好仕上がりをアピールしている。
グランデッツァ(牡6・平田修)は、前走のマイルチャンピオンシップで、勝ち馬のダノンシャークから0秒2差の3着に好走。2012年の日本ダービー(10着)のあと1年7か月以上に及ぶ長期休養があり、その影響で本調子を取り戻すのに苦労したが、デビュー当初はクラシックの有力候補として評判の高かったアグネスタキオン産駒。半姉に2011年の桜花賞馬マルセリーナ(父ディープインパクト)がいる良血でもある。2歳時に札幌2歳S、3歳時にスプリングSを優勝しているように、潜在能力の高さはここでも屈指の存在。その力を十分に発揮することができれば、3つ目の重賞制覇が見えてくる。
シェルビー(牡6・笹田和秀)は、前走のキャピタルS(東京・芝1600m)で初のオープン特別勝ちを果たした。じっくりとレース間隔を取って大事に育てる同厩舎の管理馬らしく、これまでのキャリアがまだ14戦と少ないため、伸びしろは十分にある。今回の舞台は〔3・4・1・0〕と4着以下に敗れたことがない京都・芝コース。12月24日に栗東坂路で行われた1週前追い切りで鋭い伸び脚を見せたように、好調をキープしているだけに、今回は重賞初制覇を期待してもいいだろう。
ミッキーラブソング(牡4・橋口弘次郎)は、前々走の1000万下(京都・芝1600m)→前走の1600万下・六甲アイランドS(阪神・芝1400m)を連勝してここに臨む上がり馬。父がキングカメハメハ(2004年NHKマイルC)、母がコイウタ(2007年ヴィクトリアマイル)と、芝のマイルGI 優勝馬を両親に持つ良血馬が、いよいよ軌道に乗った印象がある。重賞初挑戦となる今回は一気に相手が強化されるが、ハンデは53キロと、実績馬に比べれば軽い斤量でレースを迎えられる。前へ行った馬が飛ばしてハイペースになるようなら、身上とする末脚の切れ味でまとめて交わして連勝を伸ばすことも可能だろう。
ウインフルブルーム(牡4・宮本博)は、前走のチャレンジCが8着と振るわなかったが、3歳春に皐月賞3着とクラシックで好走した実力は、今回のメンバーの中でも一枚上のはず。父スペシャルウィークよりも、抜群のスピードを武器に1986年の毎日王冠→天皇賞(秋)をともにレコードタイムで連勝した母の父サクラユタカオーに似ている栗毛の馬。この馬も同様に確かな先行力を受け継いでおり、スピードが活きる京都・芝コースに替わるのは歓迎と言える。
アズマシャトル(牡4・加用正)は、前走のチャレンジCで勝ち馬のトーセンスターダムから0秒2差の4着。勝ち味に遅い印象のある馬だが、大きく負けることは少ない堅実なタイプで、芝1600mでは〔1・2・0・0〕と、ここまで連対を外していない。身上とする末脚が活きる展開になれば、今回も上位争いに加わってくるだろう。
ホウライアキコ(牝4・南井克巳)は、約6か月半の休み明けで出走した前走のマイルチャンピオンシップで17着と大敗。しかし、この敗戦は、1000m通過タイムが56秒7というハイペースでレースを引っ張った影響によるもの。同じ京都・外回りの芝1600mでは、2歳時にデイリー杯2歳Sを1分33秒2のコースレコードで制した実績がある。休み明けを一度使われた上積みも見込める今回、スピード能力を存分に発揮して、重賞3勝目を目指す。
マイネルメリエンダ(牡4・和田正一郎)は、2014年3月以降の6戦で3勝2着2回と、近走の充実ぶりが目立つ一頭だ。オープンクラスへの再昇級初戦として迎えた前走のオープン特別・キャピタルSでは5着に敗れたものの、勝ち馬のシェルビーからのタイム差は0秒2と僅か。このクラスでも通用する手応えをつかんでいる。54キロのハンデで迎える今回、実績馬との斤量差を活かせば、上位争いに食い込んでもおかしくない。
ブレイズアトレイル(牡6・藤岡健一)は、重賞で何度も好走実績のある馬で、ここでも実力は引けを取らない存在だ。2014年の京都金杯では、16頭立ての7枠13番からのスタートで、外めを回る形になりながらも、勝ち馬のエキストラエンドから0秒3差の4着に健闘。決め手に欠ける面があるだけに、道中でロスのないポジションからレースを進めることができれば、上位進出のチャンスがあるだろう。
中山 出走馬情報
1回中山競馬と1回京都競馬の初日にそれぞれ行われている東西の金杯は、その年の中央競馬の開幕を告げる重賞として定着しており、例年、GI レース並みの盛り上がりを見せている。1999年までは中山金杯・京都金杯ともに芝2000mの距離で行われていたが、2000年から京都金杯のみ芝1600mに変更。中距離タイプは中山金杯、マイラータイプは京都金杯と、距離適性に合わせたレース選択ができるようになった。これによって、東西の金杯はともにGIII 格付けのハンデキャップ競走ながら、毎年好メンバーが顔を合わせるレースになっている。2015年の中山金杯にも、中距離路線で今後に飛躍を期す好素材が多数エントリー。年明けの中山競馬場で、熱いV争いを繰り広げる。
今回の出走予定馬の中で近走内容が最も優秀なのは、文句なしにラブイズブーシェ(牡6・村山明)だ。4走前の目黒記念(2着)で初めて重賞での連対を果たすと、続く函館記念で待望の初重賞タイトルを獲得。さらに、1着ハープスター、2着ゴールドシップをはじめ豪華メンバーが相手となった前々走の札幌記念、前走のGI・天皇賞(秋)で連続4着と、現役トップクラスを相手にハイレベルな走りを続けている。4歳時の2013年にも有馬記念で4着に善戦したという実績があるが、5歳時の2014年6月以降にもう一段階ステップアップして本格化を迎えた印象がある。さらなる飛躍を期す2015年、始動戦の中山金杯で2つ目の重賞タイトルを手に入れて弾みをつけたいところだ。
今回の登録馬の中では断然の実績を誇るのがロゴタイプ(牡5・田中剛)だ。2012年に朝日杯フューチュリティSを制してJRA賞最優秀2歳牡馬に選出。翌2013年には、3歳クラシック三冠の初戦となる皐月賞を1番人気の支持に応えて優勝し、2つ目のGI タイトルを獲得した。皐月賞を最後に1年8か月以上も勝利から遠ざかっているが、その間に出走したレースは、海外遠征で挑んだ2014年3月の国際G1・ドバイデューティフリー(メイダン・芝1800m、6着)も含めてGI とGII ばかり。トップハンデの58キロを背負うため、他馬との斤量差が鍵になるが、GIII のメンバーに入れば実力は一枚も二枚も格上と言える存在だけに、今回は能力の違いを見せたい一戦となる。
デウスウルト(せん7・平田修)は、前々走の1600万下・大原S(京都・芝2000m)を制し、6歳秋にして待望のオープンクラス入りを果たした。続く前走のチャレンジCは重賞初挑戦とあって12頭立ての9番人気と低評価だったが、勝ち馬のトーセンスターダムからクビ差の2着(同着)に好走し、重賞でも通用する能力があることを実証した。2015年で7歳と年齢的にはベテランの域に入ってきているが、3歳時から5歳時にかけて2年以上もの長期休養をしていたため、まだキャリアは19戦。これから充実期を迎えそうなムードが漂っており、楽しみは大きい。
勢いと上昇度なら、マイネルミラノ(牡5・相沢郁)がメンバー中随一の存在だろう。3歳時の2013年4月に未勝利(中山・芝1600m)でマークした初勝利が7戦目、そこから2勝目を挙げるまでにさらに8戦を要したが、5走前の500万下(中山・芝2000m)Vを契機に戦績が急上昇し、1000万下の鹿野山特別(中山・芝2000m)1着→1600万下のむらさき賞(東京・芝1800m)2着。さらに、クラス再編成で1000万下クラスに降級して臨んだ松島特別(福島・芝2000m)1着→1600万下の美浦S(中山・芝1800m)1着と、一気にオープンクラスまで出世してきた。前走の美浦Sが約5か月の休養明けだっただけに、今回は実戦を一度使われた上積みが見込める状況。重賞初挑戦となる中山金杯で好結果を残すことができれば、さらに大きなタイトルも視界に入ってくる。
クランモンタナ(牡6・音無秀孝)は、半兄に2008年の皐月賞を制したキャプテントゥーレ(父アグネスタキオン)がいるディープインパクト産駒。3歳時の2012年2月にオープン特別・すみれS(阪神・芝2200m)で2着に好走し、早い段階から素質の片りんを見せていたものの、その後はなかなか条件クラスを卒業できずにいた。しかし、2014年7月に1600万下のマレーシアC(中京・芝2000m)を制してオープンクラス入りを果たすと、3歳時の青葉賞(7着)以来の重賞挑戦となった新潟記念で勝ち馬のマーティンボロとタイム差なしの2着に好走。その後は前々走の産経賞オールカマー(新潟・芝2200mで開催)14着、前走の金鯱賞7着と、ひと息の着順が続いているが、約2か月半の休み明けを一度使われた上積みを見込めば、上位争いも十分に可能と言えるだろう。
ナカヤマナイト(牡7・二ノ宮敬宇)は、2011年共同通信杯、2012年産経賞オールカマー、2013年中山記念と重賞を3勝。2011年日本ダービー4着など、これまでに10回のGI レース出走歴を持つ経験豊富なベテランホースだ。前述の中山記念以降は勝利から遠ざかっており、やや精彩を欠く内容と着順のレースが続いたが、前走の福島記念で5着とまずまず復調を感じさせる走りを披露。この中間も順調に調整が進められており、全6勝中4勝を挙げている得意の中山・芝コースに替わる今回は、上位争いに持ち込めるはずだ。
ラブリーデイ(牡5・池江泰寿)は、まだ重賞タイトルは獲得していないものの、2012年の京王杯2歳S、2013年の小倉記念、金鯱賞と、2着3回を記録するなど再三の好走歴がある馬。オープン特別は、デビュー2戦目の野路菊S(阪神・芝1800m)、5走前のメトロポリタンS(東京・芝2400m)と2勝をマーク。いつ重賞を勝ってもおかしくない実力の持ち主と言えよう。約4か月ぶりの実戦となった前々走のアルゼンチン共和国杯が5着、前走の金鯱賞も4着と堅実に上位争いに加わっており、休み明け3戦目の今回はさらなる上昇が見込める。15回目の重賞挑戦で待望の初制覇なるか、大いに注目したい一頭だ。
2015年に4歳となる馬の中では、2014年の毎日杯の優勝馬マイネルフロスト(牡4・高木登)が注目の存在だ。重賞タイトルはその毎日杯1つのみだが、世代の頂点を決める競馬の祭典・日本ダービーで、12番人気の低評価を覆して勝ち馬のワンアンドオンリーから0秒3差の3着に好走した実績はきらりと光る。さらなる飛躍が期待された秋シーズンは、セントライト記念(新潟・芝2200mで開催)9着→菊花賞7着と好成績を収めることができなかったが、潜在能力は同世代の中でも上位と言える。今回は、放牧明けで約2か月半ぶりの実戦となるうえに、初めての他世代との対戦と未知の要素も多いが、軽視は禁物だろう。
ユールシンギング(牡5・勢司和浩)は、2013年セントライト記念と2014年新潟大賞典の優勝馬。ともに鮮やかな差し切り勝ちで、末脚の威力は今回のメンバーの中でも上位にランクされる。追い込み脚質だけに、コース形態やレース展開に左右される面があるのも事実だが、重賞初Vを飾ったセントライト記念で中山・芝コースの適性は実証済み。3か月の休養明けで臨んだ前走の金鯱賞は9着に敗れているが、その後の調教ではレースを一度使われた上積みを感じさせる鋭い動きを見せているだけに、持ち前の決め手を活かせるハイペースの流れになれば大きく浮上してくるだろう。
フラアンジェリコ(牡7・斎藤誠)は、キャリアを積みながら徐々に力をつけ、2014年7月に1600万下の五稜郭S(函館・芝1800m)を制して31戦目で待望のオープンクラス入り。続くオープン特別の丹頂S(札幌・芝2600m)で11着と大敗を喫したため、前走の福島記念は16頭立ての13番人気と評価は低かったが、後方追走から勝負どころで内を突いて進出。直線で外に進路を切り換えると、鋭い末脚を発揮して2着まで追い込んだ。同馬がマークした上がり3ハロンタイム(34秒1、推定)はメンバー中最速で、芝2000m1分58秒3の走破タイムも優秀。重賞に手が届くところまできた印象だ。今回は舞台が中山・芝コースに替わるが、右回りコースの小回りで芝2000mという条件は前走と同様。侮れない存在と言える。
メイショウナルト(せん7・武田博)は、非凡な先行力を武器に実績を積み上げており、これまでに2013年小倉記念、2014年七夕賞と夏場に行われている芝2000mのハンデキャップ重賞を2勝。それ以外にも重賞での好走歴は多数あり、今回の舞台となる中山・芝コースでも2013年の産経賞オールカマー2着という実績を残している。先手を奪って速めのラップを刻み、後続に脚を使わせるのが本馬の好走パターン。今回も、すんなり自分の形に持ち込めるようなら上位争いに加わってくる。
ケイアイエレガント(牝6・尾形充弘)も、先行力が最大のセールスポイント。4走前の中山牝馬Sでは、2番手追走から4コーナーで先頭に立つ積極策でゴールまでしぶとく粘り込んで2着(同着)に好走。3走前の福島牝馬Sでは鮮やかな逃げ切り勝ちを収め、重賞初制覇を達成した。今回は、同型との兼ね合いが鍵になるが、ハナを切ることが好走の絶対条件ではなく、控えても能力を発揮できるタイプ。小回りで直線が短い中山・芝コースは合っており、5か月の休養明けとなる今回も十分に出番があるはずだ。
フェイムゲーム(牡5・宗像義忠)は、これまでに2013年の京成杯、2014年のダイヤモンドS、アルゼンチン共和国杯と重賞3勝を挙げ、このレースの登録馬の中でもトップクラスの実績を誇る。予定していた2014年の有馬記念出走がかなわず、年明けのレースに向かうこととなったが、今回の特別登録の時点では1月25日のアメリカジョッキークラブCに出走する公算が大きい。しかし、もし中山金杯に参戦するようなら、主役級の評価が必要になるだろう。
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