2016年09月25日
iPhone 7 Plusは2つのカメラをどう使い分けているのか
iPhone 7 Plusは2つのカメラをどう使い分けているのか
ITmedia Mobile 9月25日(日)6時25分配信
iPhone 7 Plusは2つのカメラをどう使い分けているのか
レンズ穴のサイズが双方で微妙に違うiPhone 7 Plus
iPhone 7 Plusは周知の通りデュアルカメラを搭載している。「光学2倍ズーム」という言い方をする人もいるが、一般にそういった場合「2倍ズームレンズ」(つまり1本のレンズで焦点距離を変えられる)をさすので、iPhone 7 Plusの場合は正しくない。細かいことだけど。
【2倍ズームで撮影したけど……】
片方が広角側(28mm相当)、もう片方が望遠側(57mm相当)の単焦点レンズのカメラを2つ搭載しているので、そうだな、ズームというなら「2段階ズーム」という方が正しいか。
2つのレンズを広角側レンズ、望遠側レンズとここでは呼ぶけど、シンプルに1xレンズ、2xレンズと呼んだ方がいいかもしれない。
もっと細かいことをいえば、発表会ではフィル・シラーが「56mm」と言っていたが、EXIF情報を見ると35mm換算で57mmとなってたので、この原稿では57mmでいきます。広角側のカメラはiPhone 7と同じだ。
で、だな。普通、広角と望遠のカメラが2つ付いていたら、望遠で撮るときは自動的にカメラがそちらに切り替わると思うじゃないですか。
実は違うのである。
ついでに、だな。普通、デュアルカメラと称して2つのカメラが並んで付いていたら、レンズは違えども中身のイメージセンサーは同じだと思うじゃないですか。
実は違うのである。よく見ると、レンズの大きさも違うし。
いろいろとレビュー用にいじっていたら、このカメラがなかなか興味深い振る舞いを見せてくれたので、一般的なカメラレビューに先立って、iPhone 7 Plusのデュアルカメラはどう使い分けているのかレポートをさせてもらうことにした。
もうあまりに興味深いのでマニアックな方を先に書いちゃうのである。
●ワンタップで望遠側に切り替わるのは至便である
まずは基本的なところ。
2つ付いているうち、外側が広角カメラ。28mm相当とiPhone 6sよりほんの少しだけ広角(あっちは29mm相当)。さらに、F値もF2.2からF1.8に明るくなった。これはすばらしい。
次の2枚を見てもらえると、7 Plusの方がちょっと広い範囲が写っているのが分かる。
このときの画面がこちら。他のiPhoneと違うのは(iPhone 7とも違う)、画面に「1x」と書いてあること。
ここをタップすると、いきなり「2x」にカメラが切り替わる。画面もぴょんと、2倍になる。
望遠側のカメラに切り替わったわけだ。こちらは57mm相当でF2.8。広角側より2倍望遠で、2倍ちょっと暗い計算になる。
2倍になった状態で、このアイコンを長押ししてドラッグすると、1xから10xまでリニアにズーミングできるのだ。
1xと2x以外は疑似的なズーミングであるデジタルズームなので、画質的にはやや落ちるが、シームレスに10xまでいけるのは便利。以前のiPhoneの2本指のピンチイン・アウトより何10倍も使いやすい。
で、気になるのは「1.9x」と「2x」の画質差だ。2x時は望遠側の2xカメラを使っているので、広角側にデジタルズームをかけている1.9xよりきれいなはずである。
ねちねちと申し訳ないが、本稿はだいたいこんな感じでねちねちである。だって気になるもの。
では結果。
さあディテールをチェックしてみよう。
おお、見事に2xの方がディテールがしっかり出ていてキレイ。つまり、7 Plusの鉄則は「1.9倍で撮るくらいなら、2倍で撮れ」である。やっぱりリアルな57mm相当と、デジタルズームではクオリティーが全然違うのだ。
FacebookやInstagramに上げるくらいならどっちでも同じようなものだが、少しでもキレイな方がいいなら、中途半端にデジタルズームするなら2xカメラ(望遠側カメラ)を使うべきである。
ついでに10倍まで上げてみた(望遠側カメラを5倍にデジタルズームである)。
まあさすがに無理はあるけれども、284mm相当までイケるってのは面白い。ここまではムチャでも、4xくらいなら(つまり望遠側を2倍で使う)、けっこういける。今までもっと望遠が欲しいと思っていた人は絶対に買い換えるべし。
レンズが望遠側に切り替わる瞬間は、近距離のものを撮ってみると分かる。1.5xからゆっくり倍率を上げてみると、2xになる瞬間、ぴょこんと画像が横にシフトするはずだ。
レンズが左右に少し離れて付いているから。遠距離のものを撮影するときはまったく分からないが、近距離だとカメラのほんのちょっとの位置のずれが現れてしまうのだ。それが理由。
●望遠撮影時は望遠カメラを使う……とは限らない
ただ、この望遠側カメラ、F2.8な上に手ブレ補正機構も付いていない。広角側カメラは手ブレ補正機構を搭載している。ただでさえ望遠の方が手ブレが目立つわけで、それじゃあ暗いところで望遠で撮ると手ブレしちゃうじゃないか。
ではこの写真を見ていただきたい。
夜、葉っぱの上にちょこんと実がのっかっていたのがなんともキュートだったので2xにして撮った写真である。
もとの1xの写真はこちら。
いやあ、画面の「2x」をタップするだけでさっと大きくなるのはたまらんですわ。
でもよくみると、ちょっと粗い。F2.8の分、ISO感度が上がったのかなと思ってEXIF情報をよく見ると、なんと、シャッタースピードが1/17秒で絞りがF1.8、実焦点距離は4mm(35mmフィルム換算で28mm)と書いてあるではないか。
そう、2xにしたのに望遠側カメラではなく広角側カメラのデジタル2倍ズームになっているのである。
このあとあれこれ調べた結果。次のことが分かった。普段はもちろん「2xにすると望遠側カメラ」が使われるが、次の2つのどちらかの条件に当てはまると、望遠側カメラではなく、広角側カメラのデジタル2倍ズームで撮影されるのだ。
その1:暗いとき
望遠側はレンズがF2.8の上に手ブレ補正機構を持たないため、暗くなるとISO感度を上げてシャッタースピードを上げないと、どうしても手ブレしてしまう。そうすると画質が落ちる。
無理にISO感度を上げるくらいなら、レンズが明るくて手ブレ補正がついた広角側のデジタルズームの方がきれいに撮れるという判断だ。実は、それはとても理にかなっているのである。一概に望遠側を使えばいいってもんじゃないのだ。
日没直後、徐々に暗くなっている中、どのくらい暗くなると両者が切り替わるのか、じーっと待って撮り比べてみた。ちなみにあれこれ実験したかったので、全て三脚を使って撮っております。
これが広角側の写真。
これを2xにして撮る。17時39分に撮った写真はちゃんと望遠側カメラを使っていた。
17時52分に撮った写真は広角側を使っていた。
じゃあ、本当に広角側でデジタル2倍ズームにした方が望遠側でISO感度を上げて撮るより効果的なのか。
実は「ProCamera」というアプリがいち早くiPhone 7 Plusに対応し、広角カメラか望遠カメラを固定する機能を付けてくれたのである。ありがたや。
一般に、手ブレ補正機構がない場合、56mmのレンズなら1/56秒が手ブレしない目安といわれている(もちろんケースバイケースであるが)。だから、シャッタースピードを1/50秒にして望遠側でムリヤリ撮ってみた。ISO感度はISO1250まで上がっている。
その結果がこちら。
比べてみよう。左が広角側カメラで撮ったもの(広角側でデジタル2倍ズーム)、右が望遠側カメラで撮ったもの(望遠側でデジタルズームなし)。
確かに、広角側のデジタル2倍ズームの方が、ディテールはつぶれぎみなものの、ノイズが少なくて滑らか。望遠側で強引に撮った方はISO感度を上げすぎた分、ノイズが増えてざらついている。
好みはあるだろうが、確かに必要に応じて広角側カメラを使う理由があるのであった。これ、すごく賢いと思う。
基本的に広角側のカメラをメインに使っているようで、例えば、2xにして望遠側カメラで撮影するときでも、広角側カメラのレンズをふさぐと撮影はできなくなる。画作りや露出の決定などに広角側カメラからの情報も利用している可能性がある。
逆に広角側で撮るとき望遠側を塞いでも問題ない。
その2:近接撮影のとき
もう1つパターンがあるのを発見した。撮影距離が近いときである。撮影距離をあれこれ動かしながら撮ってみると、30数cmより近くなると2xにしても広角側を使うようになるのである。
これはもしやレンズの撮影最短距離によるものではないかとテストしてみると、確かに、望遠側のレンズに固定すると(サードパーティーのアプリ使用)、30cmくらいより近づくとピントが合わなくなる。一般に望遠の方が撮影最短距離が長くなるわけで、ユーザーに「望遠側のレンズに切り替えたのでもう少しカメラを離してください」なんていうのは無粋である。
そこでカメラ側で上手に広角側カメラと望遠側カメラを切り替えて対応しているのである。
確かに等倍表示してディテールをチェックすると、広角レンズ側で撮った方がどうしてもディテールが甘いが、普通に使っている分には気にはならず、むしろ「2xボタンをタップするだけでこんなにデカく撮れる」と気持ちよくシャッターを押す方が楽しいのである。
というわけで、この原稿は「デュアルカメラがどう違っていて、どう使い分けているか知りたい」というマニアックな人だけ読んでください(今更なにをいうか)。
●実は望遠側と広角側でセンサーサイズが違う?
もう1つ、撮影した写真のEXIF情報を眺めていて引っ掛かったのがここ。
広角側は焦点距離「4mm」。望遠側は焦点距離「6.6mm」なのだ。これは実焦点距離。望遠側が広角側の2xであるとすると、望遠側は「8mm」じゃなきゃいけない。35mmフィルム換算の焦点距離は28mmと57mmで、約2倍だからだ。
EXIFに書かれている情報が正しいとすると、望遠側のイメージセンサーはちょっと小さいのだ。広角側と同じ厚みにおさめるにはそうするしかなかったんじゃないかと思う。望遠側は分厚くなりました、ではユーザーは納得しない。でも望遠を求めるユーザーは多い。じゃあどうするか。
これはかなりユニークな方法だ。個人的には「ああ、やっぱりAppleは面白いこと考えるなあ」と思っている。
●デュアルカメラは面白い
焦点距離が違うカメラを2つ「同じ厚み」で搭載し、しかも両者をインテリジェントにスムーズに切り替えられるなんて、前代未聞だ。
スマホで最初にデュアルカメラを搭載したのはシャープの「AQUOS PHONE SH-12C」だったが、あれは3D撮影用に同じカメラを2つ並べた「ツインカメラ」だったし、HUAWEIのデュアルカメラ搭載スマホ「P9」は、同じレンズ同じサイズのセンサーだがモノクロとカラーだった。
焦点距離を変えてきたのはAppleらしさだ。今まで焦点距離を変えた2つのカメラを並べるなんて、デジカメでもコダックのV570(とその後継機)くらいだ。あれは、片方が単焦点の超広角レンズ、もう片方がズームレンズだった。かなり好きなカメラでありました。
同じように、iPhone 7 Plusのデュアルカメラも好きです。やはりワンタップでさっと56mm側に切り替わるのが便利でたまらんのだ。2段階切替えができるだけでも、利便性がすごくあがるのだ。
ポートレートを撮るときは、56mm相当の方が背景もすっきりするし、顔の形もきれいに出るから。
それ以外でも、ちょっと寄りたいときにぱっと切り替わるのはよいのだ。2倍とはいえ、これだけ印象ががらっと変わるのである。
7 Plusはやっぱ楽しいですわ。2017年はぜひ望遠側にも手ブレ補正を。
なお、本稿の内容は私があれこれテストして振る舞いやスペックを推測したもので、公式なものではないので間違っていたらご容赦を。普通のカメラ画質レビューはのちほどゆっくりとお送りするのでしばしお待ちください。
ITmedia Mobile 9月25日(日)6時25分配信
iPhone 7 Plusは2つのカメラをどう使い分けているのか
レンズ穴のサイズが双方で微妙に違うiPhone 7 Plus
iPhone 7 Plusは周知の通りデュアルカメラを搭載している。「光学2倍ズーム」という言い方をする人もいるが、一般にそういった場合「2倍ズームレンズ」(つまり1本のレンズで焦点距離を変えられる)をさすので、iPhone 7 Plusの場合は正しくない。細かいことだけど。
【2倍ズームで撮影したけど……】
片方が広角側(28mm相当)、もう片方が望遠側(57mm相当)の単焦点レンズのカメラを2つ搭載しているので、そうだな、ズームというなら「2段階ズーム」という方が正しいか。
2つのレンズを広角側レンズ、望遠側レンズとここでは呼ぶけど、シンプルに1xレンズ、2xレンズと呼んだ方がいいかもしれない。
もっと細かいことをいえば、発表会ではフィル・シラーが「56mm」と言っていたが、EXIF情報を見ると35mm換算で57mmとなってたので、この原稿では57mmでいきます。広角側のカメラはiPhone 7と同じだ。
で、だな。普通、広角と望遠のカメラが2つ付いていたら、望遠で撮るときは自動的にカメラがそちらに切り替わると思うじゃないですか。
実は違うのである。
ついでに、だな。普通、デュアルカメラと称して2つのカメラが並んで付いていたら、レンズは違えども中身のイメージセンサーは同じだと思うじゃないですか。
実は違うのである。よく見ると、レンズの大きさも違うし。
いろいろとレビュー用にいじっていたら、このカメラがなかなか興味深い振る舞いを見せてくれたので、一般的なカメラレビューに先立って、iPhone 7 Plusのデュアルカメラはどう使い分けているのかレポートをさせてもらうことにした。
もうあまりに興味深いのでマニアックな方を先に書いちゃうのである。
●ワンタップで望遠側に切り替わるのは至便である
まずは基本的なところ。
2つ付いているうち、外側が広角カメラ。28mm相当とiPhone 6sよりほんの少しだけ広角(あっちは29mm相当)。さらに、F値もF2.2からF1.8に明るくなった。これはすばらしい。
次の2枚を見てもらえると、7 Plusの方がちょっと広い範囲が写っているのが分かる。
このときの画面がこちら。他のiPhoneと違うのは(iPhone 7とも違う)、画面に「1x」と書いてあること。
ここをタップすると、いきなり「2x」にカメラが切り替わる。画面もぴょんと、2倍になる。
望遠側のカメラに切り替わったわけだ。こちらは57mm相当でF2.8。広角側より2倍望遠で、2倍ちょっと暗い計算になる。
2倍になった状態で、このアイコンを長押ししてドラッグすると、1xから10xまでリニアにズーミングできるのだ。
1xと2x以外は疑似的なズーミングであるデジタルズームなので、画質的にはやや落ちるが、シームレスに10xまでいけるのは便利。以前のiPhoneの2本指のピンチイン・アウトより何10倍も使いやすい。
で、気になるのは「1.9x」と「2x」の画質差だ。2x時は望遠側の2xカメラを使っているので、広角側にデジタルズームをかけている1.9xよりきれいなはずである。
ねちねちと申し訳ないが、本稿はだいたいこんな感じでねちねちである。だって気になるもの。
では結果。
さあディテールをチェックしてみよう。
おお、見事に2xの方がディテールがしっかり出ていてキレイ。つまり、7 Plusの鉄則は「1.9倍で撮るくらいなら、2倍で撮れ」である。やっぱりリアルな57mm相当と、デジタルズームではクオリティーが全然違うのだ。
FacebookやInstagramに上げるくらいならどっちでも同じようなものだが、少しでもキレイな方がいいなら、中途半端にデジタルズームするなら2xカメラ(望遠側カメラ)を使うべきである。
ついでに10倍まで上げてみた(望遠側カメラを5倍にデジタルズームである)。
まあさすがに無理はあるけれども、284mm相当までイケるってのは面白い。ここまではムチャでも、4xくらいなら(つまり望遠側を2倍で使う)、けっこういける。今までもっと望遠が欲しいと思っていた人は絶対に買い換えるべし。
レンズが望遠側に切り替わる瞬間は、近距離のものを撮ってみると分かる。1.5xからゆっくり倍率を上げてみると、2xになる瞬間、ぴょこんと画像が横にシフトするはずだ。
レンズが左右に少し離れて付いているから。遠距離のものを撮影するときはまったく分からないが、近距離だとカメラのほんのちょっとの位置のずれが現れてしまうのだ。それが理由。
●望遠撮影時は望遠カメラを使う……とは限らない
ただ、この望遠側カメラ、F2.8な上に手ブレ補正機構も付いていない。広角側カメラは手ブレ補正機構を搭載している。ただでさえ望遠の方が手ブレが目立つわけで、それじゃあ暗いところで望遠で撮ると手ブレしちゃうじゃないか。
ではこの写真を見ていただきたい。
夜、葉っぱの上にちょこんと実がのっかっていたのがなんともキュートだったので2xにして撮った写真である。
もとの1xの写真はこちら。
いやあ、画面の「2x」をタップするだけでさっと大きくなるのはたまらんですわ。
でもよくみると、ちょっと粗い。F2.8の分、ISO感度が上がったのかなと思ってEXIF情報をよく見ると、なんと、シャッタースピードが1/17秒で絞りがF1.8、実焦点距離は4mm(35mmフィルム換算で28mm)と書いてあるではないか。
そう、2xにしたのに望遠側カメラではなく広角側カメラのデジタル2倍ズームになっているのである。
このあとあれこれ調べた結果。次のことが分かった。普段はもちろん「2xにすると望遠側カメラ」が使われるが、次の2つのどちらかの条件に当てはまると、望遠側カメラではなく、広角側カメラのデジタル2倍ズームで撮影されるのだ。
その1:暗いとき
望遠側はレンズがF2.8の上に手ブレ補正機構を持たないため、暗くなるとISO感度を上げてシャッタースピードを上げないと、どうしても手ブレしてしまう。そうすると画質が落ちる。
無理にISO感度を上げるくらいなら、レンズが明るくて手ブレ補正がついた広角側のデジタルズームの方がきれいに撮れるという判断だ。実は、それはとても理にかなっているのである。一概に望遠側を使えばいいってもんじゃないのだ。
日没直後、徐々に暗くなっている中、どのくらい暗くなると両者が切り替わるのか、じーっと待って撮り比べてみた。ちなみにあれこれ実験したかったので、全て三脚を使って撮っております。
これが広角側の写真。
これを2xにして撮る。17時39分に撮った写真はちゃんと望遠側カメラを使っていた。
17時52分に撮った写真は広角側を使っていた。
じゃあ、本当に広角側でデジタル2倍ズームにした方が望遠側でISO感度を上げて撮るより効果的なのか。
実は「ProCamera」というアプリがいち早くiPhone 7 Plusに対応し、広角カメラか望遠カメラを固定する機能を付けてくれたのである。ありがたや。
一般に、手ブレ補正機構がない場合、56mmのレンズなら1/56秒が手ブレしない目安といわれている(もちろんケースバイケースであるが)。だから、シャッタースピードを1/50秒にして望遠側でムリヤリ撮ってみた。ISO感度はISO1250まで上がっている。
その結果がこちら。
比べてみよう。左が広角側カメラで撮ったもの(広角側でデジタル2倍ズーム)、右が望遠側カメラで撮ったもの(望遠側でデジタルズームなし)。
確かに、広角側のデジタル2倍ズームの方が、ディテールはつぶれぎみなものの、ノイズが少なくて滑らか。望遠側で強引に撮った方はISO感度を上げすぎた分、ノイズが増えてざらついている。
好みはあるだろうが、確かに必要に応じて広角側カメラを使う理由があるのであった。これ、すごく賢いと思う。
基本的に広角側のカメラをメインに使っているようで、例えば、2xにして望遠側カメラで撮影するときでも、広角側カメラのレンズをふさぐと撮影はできなくなる。画作りや露出の決定などに広角側カメラからの情報も利用している可能性がある。
逆に広角側で撮るとき望遠側を塞いでも問題ない。
その2:近接撮影のとき
もう1つパターンがあるのを発見した。撮影距離が近いときである。撮影距離をあれこれ動かしながら撮ってみると、30数cmより近くなると2xにしても広角側を使うようになるのである。
これはもしやレンズの撮影最短距離によるものではないかとテストしてみると、確かに、望遠側のレンズに固定すると(サードパーティーのアプリ使用)、30cmくらいより近づくとピントが合わなくなる。一般に望遠の方が撮影最短距離が長くなるわけで、ユーザーに「望遠側のレンズに切り替えたのでもう少しカメラを離してください」なんていうのは無粋である。
そこでカメラ側で上手に広角側カメラと望遠側カメラを切り替えて対応しているのである。
確かに等倍表示してディテールをチェックすると、広角レンズ側で撮った方がどうしてもディテールが甘いが、普通に使っている分には気にはならず、むしろ「2xボタンをタップするだけでこんなにデカく撮れる」と気持ちよくシャッターを押す方が楽しいのである。
というわけで、この原稿は「デュアルカメラがどう違っていて、どう使い分けているか知りたい」というマニアックな人だけ読んでください(今更なにをいうか)。
●実は望遠側と広角側でセンサーサイズが違う?
もう1つ、撮影した写真のEXIF情報を眺めていて引っ掛かったのがここ。
広角側は焦点距離「4mm」。望遠側は焦点距離「6.6mm」なのだ。これは実焦点距離。望遠側が広角側の2xであるとすると、望遠側は「8mm」じゃなきゃいけない。35mmフィルム換算の焦点距離は28mmと57mmで、約2倍だからだ。
EXIFに書かれている情報が正しいとすると、望遠側のイメージセンサーはちょっと小さいのだ。広角側と同じ厚みにおさめるにはそうするしかなかったんじゃないかと思う。望遠側は分厚くなりました、ではユーザーは納得しない。でも望遠を求めるユーザーは多い。じゃあどうするか。
これはかなりユニークな方法だ。個人的には「ああ、やっぱりAppleは面白いこと考えるなあ」と思っている。
●デュアルカメラは面白い
焦点距離が違うカメラを2つ「同じ厚み」で搭載し、しかも両者をインテリジェントにスムーズに切り替えられるなんて、前代未聞だ。
スマホで最初にデュアルカメラを搭載したのはシャープの「AQUOS PHONE SH-12C」だったが、あれは3D撮影用に同じカメラを2つ並べた「ツインカメラ」だったし、HUAWEIのデュアルカメラ搭載スマホ「P9」は、同じレンズ同じサイズのセンサーだがモノクロとカラーだった。
焦点距離を変えてきたのはAppleらしさだ。今まで焦点距離を変えた2つのカメラを並べるなんて、デジカメでもコダックのV570(とその後継機)くらいだ。あれは、片方が単焦点の超広角レンズ、もう片方がズームレンズだった。かなり好きなカメラでありました。
同じように、iPhone 7 Plusのデュアルカメラも好きです。やはりワンタップでさっと56mm側に切り替わるのが便利でたまらんのだ。2段階切替えができるだけでも、利便性がすごくあがるのだ。
ポートレートを撮るときは、56mm相当の方が背景もすっきりするし、顔の形もきれいに出るから。
それ以外でも、ちょっと寄りたいときにぱっと切り替わるのはよいのだ。2倍とはいえ、これだけ印象ががらっと変わるのである。
7 Plusはやっぱ楽しいですわ。2017年はぜひ望遠側にも手ブレ補正を。
なお、本稿の内容は私があれこれテストして振る舞いやスペックを推測したもので、公式なものではないので間違っていたらご容赦を。普通のカメラ画質レビューはのちほどゆっくりとお送りするのでしばしお待ちください。
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