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2024年09月16日

有吉佐和子の「華岡青州の妻」で執筆脳を考える2

2 「華岡青州の妻」のLのストーリー

 世界初の全身麻酔による乳癌手術の成功者華岡青洲(1760−1835)は、当時でいう先端を行く外科医として乳癌の手術の方法を探していた。京都帰りの25歳のときには、曼荼羅華を主成分とする麻酔剤が研究テーマであった。
 青洲の妻加恵は、封建社会の家を重んずる姑と敵対関係にあり、和歌森(2010)にいわせると、家と女の関わりは、今も昔も特別といえる。歴史に名高い医者の家でも女心の葛藤は、有吉佐和子(1931−1984)をして小説の題材になった。そのため、購読脳は、「女心の葛藤と外科医術の開拓」にする。
 作品の中では、精神内部で異なる方向の力同士が衝突している。衝突しながらも、小姑お勝が乳癌になってから、青洲の麻酔薬作りは人体実験の段階に入り、姑と嫁の争いが頂点に達する。青州は、最初母に麻酔剤を試してみる。しかし、母は、薬の完成を早呑み込みしたため、青洲も内心忸怩たるものがあった。 
 加恵の献身は、自身を実験台として麻酔剤を生産させたことである。青洲は、曼荼羅華の花や種を多量にし、猛毒の草烏頭も調合した。於継に飲ませた量とは比べものにならない。加恵の場合、三日二晩寝続け、目が覚めてから健康状態に戻るまで半月かかった。しかし、辛いとは思わなかった。そして通仙散が誕生した。無論、青州の達成感も格別であった。
 息子も出産し、麻酔剤も成就させ、加恵は、盲目になるも達成感のある晩年を過ごす。そこで、執筆脳は「衝突と達成」にする。また、購読脳と執筆脳をマージしたシナジーのメタファーは、「有吉佐和子と葛藤」である。

花村嘉英(2020)「有吉佐和子の『華岡青州の妻』の執筆脳について」より
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花村嘉英
花村嘉英(はなむら よしひさ) 1961年生まれ、立教大学大学院文学研究科博士後期課程(ドイツ語学専攻)在学中に渡独。 1989年からドイツ・チュービンゲン大学に留学し、同大大学院新文献学部博士課程でドイツ語学・言語学(意味論)を専攻。帰国後、技術文(ドイツ語、英語)の機械翻訳に従事する。 2009年より中国の大学で日本語を教える傍ら、比較言語学(ドイツ語、英語、中国語、日本語)、文体論、シナジー論、翻訳学の研究を進める。テーマは、データベースを作成するテキスト共生に基づいたマクロの文学分析である。 著書に「計算文学入門−Thomas Mannのイロニーはファジィ推論といえるのか?」(新風舎:出版証明書付)、「从认知语言学的角度浅析鲁迅作品−魯迅をシナジーで読む」(華東理工大学出版社)、「日本語教育のためのプログラム−中国語話者向けの教授法から森鴎外のデータベースまで(日语教育计划书−面向中国人的日语教学法与森鸥外小说的数据库应用)」南京東南大学出版社、「从认知语言学的角度浅析纳丁・戈迪默-ナディン・ゴーディマと意欲」華東理工大学出版社、「計算文学入門(改訂版)−シナジーのメタファーの原点を探る」(V2ソリューション)、「小説をシナジーで読む 魯迅から莫言へーシナジーのメタファーのために」(V2ソリューション)がある。 論文には「論理文法の基礎−主要部駆動句構造文法のドイツ語への適用」、「人文科学から見た技術文の翻訳技法」、「サピアの『言語』と魯迅の『阿Q正伝』−魯迅とカオス」などがある。 学術関連表彰 栄誉証書 文献学 南京農業大学(2017年)、大連外国語大学(2017年)
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