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2024年09月17日

三浦綾子の「道ありき」でうつ病から病跡学を考える5

表1 対処行動の分析1

分類 「道ありき」から抽出した場面の病跡状況 + 対処行動

A 17歳で小学校の教員になった綾子は、昭和21年3月、7年間の教員生活に別れを告げた。自分自身で教えることに確信が持てなくなったためである。6月1日、突如40度近い熱が出た。翌朝、目が覚めると、体中が痛くてリウマチだと思った。病院に行くと、医者もリウマチだと言い、ザルブロという薬を打ってくれた。 @

A 一週間経過してある程度の痛みは消えた。しかし、体重が七キロも痩せ微熱がなかなかひかない。当時の医者は、肺結核を肋膜とか肺浸潤と説明した。肺結核の発病は、覚悟していたことが起こることを予感させた。 @

A 来るべきものが来れば、誰でも自分のことを本気で大切に考える。前川正との話の中で、徹底的に身体を診断してもらうことにした。昭和26年秋、綾子の体はいっそう痩せ、目が熱で潤み頬が紅潮し、37度4分の熱が続き血痰も出た。10月20日過ぎに旭川の病院に入院した。B

A 入院して4カ月経過後も、熱は続き痩せていた。C

A 排尿の回数が多くなり、動くと背中が痛かった。自分ではカリエスと見当をつけた。しかし、医師は、レントゲンに影が出るまでカリエスと診断しない。@

A 札幌の病院に転院後、血液検査、尿検査、レントゲン撮影、水検査と立て続けに検査があった。結果的には、綾子の胸部にも脊椎にも異常は認められなかった。@

A 内科の外来で聴診器を当ててくれた医師が「空洞がある」という。A

A 微熱があり、肩もこり、血痰も出た。背中の痛みは、ますますひどくなった。スリッパも履けず、このままだと下半身に麻痺が出て、失禁の症状になる。結局、背骨を結核菌が蝕むカリエスという診断がでる。A

A ギブスベッドに安静にしていなければならなくなった。B

花村嘉英(2021)「三浦綾子の「道ありき」でうつ病から病跡学を考える」より
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花村嘉英(はなむら よしひさ) 1961年生まれ、立教大学大学院文学研究科博士後期課程(ドイツ語学専攻)在学中に渡独。 1989年からドイツ・チュービンゲン大学に留学し、同大大学院新文献学部博士課程でドイツ語学・言語学(意味論)を専攻。帰国後、技術文(ドイツ語、英語)の機械翻訳に従事する。 2009年より中国の大学で日本語を教える傍ら、比較言語学(ドイツ語、英語、中国語、日本語)、文体論、シナジー論、翻訳学の研究を進める。テーマは、データベースを作成するテキスト共生に基づいたマクロの文学分析である。 著書に「計算文学入門−Thomas Mannのイロニーはファジィ推論といえるのか?」(新風舎:出版証明書付)、「从认知语言学的角度浅析鲁迅作品−魯迅をシナジーで読む」(華東理工大学出版社)、「日本語教育のためのプログラム−中国語話者向けの教授法から森鴎外のデータベースまで(日语教育计划书−面向中国人的日语教学法与森鸥外小说的数据库应用)」南京東南大学出版社、「从认知语言学的角度浅析纳丁・戈迪默-ナディン・ゴーディマと意欲」華東理工大学出版社、「計算文学入門(改訂版)−シナジーのメタファーの原点を探る」(V2ソリューション)、「小説をシナジーで読む 魯迅から莫言へーシナジーのメタファーのために」(V2ソリューション)がある。 論文には「論理文法の基礎−主要部駆動句構造文法のドイツ語への適用」、「人文科学から見た技術文の翻訳技法」、「サピアの『言語』と魯迅の『阿Q正伝』−魯迅とカオス」などがある。 学術関連表彰 栄誉証書 文献学 南京農業大学(2017年)、大連外国語大学(2017年)
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