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2024年09月18日

Synergic metaphor viewed from “Snow Country” of Yasunari Kawabata - from “Nothingness and Creation” to “object achievement type cognitive development”3

3 Synergic reading

 The output of the reading brain (linguistic cognition) seen as “nothingness and creation” slides aside during the input of informative cognition. This process needs to adjust to academic achievement by actual practice and qualification to prevent non-special lines (social science, informative science, biological science and medical science) from being kept intact as a black box (Hanamura 2015 and Hanamura 2017). Actually, there is a L format such as “culture and nourishment” and “law and energy” in cultural science and social science, but art and science do not have any L model or the like.
 However, in this paper I set the research format to the vertical axis as linguistic cognition and the horizontal as informative cognition on the L model because it is useful to merge the reading and writing brain. I can recognize what an author wanted to convey by writing because I can not only understand the language, but also my reading brain draws near to the writing brain of the author.
 When the research format is only vertical, I adjust the poles of art and culture or other minor subjects by sliding the cognitive ruler.
 When reading each sentence by L, I can find the goal gradually while creating the relational database. What does it show in the world of AI or the brain activity of healthy people? I believe that an uneducated AI will grow bit by bit in consideration of a specific purpose. In this sense, I could create the combination with Kawabata by imaging a person.
 Furthermore, the database of a novel is the relational research tool by which I can check against existing literature analyses and various science research. It is the combination between arts and informatics that humanities researchers should deal with besides corpus, parser, machine translation (memory) and quantitative linguistics.

花村嘉英(2019)「川端康成の「雪国」から見えてくるシナジーのメタファーとは−『無と創造』から『目的達成型の認知発達』へ」より translated by Yoshihisa Hanamura

Synergic metaphor viewed from “Snow Country” of Yasunari Kawabata - from “Nothingness and Creation” to “object achievement type cognitive development”2

2 Nothingness and creation

 I interpret the reading brain of “Snow Country” with “nothingness and creation”, because a researcher Mizuho Takada defined his nothingness as follows.
 His nothingness is the feeling that can be seen as the origin of Kawabata who grew up as an orphan, in a wider, bigger and more free reality than all existence. The nothingness stemming from his little-known father and mother can lead to being bigger than a blue sky, and Kawabata’s literature came into the world with a fusion of love and death. In particular when nothingness goes with love, the implication of sublation, that is, an affection appears and with love comes death, the combination makes a grand leap forward to the sky, or it lies buried in the ground. Two conflicting concepts reply to each other by sublation, while they develop as a high level unit.
 Moreover Takada explains the creation of Kawabata. Kawabata plays with animal life and biology when writing his novels and defines an ideal form and grows it as artificial and deformed. For example in Snow Country, Shimamura is an introspective, muttering and emotional being, Komako is a woman with memorable fingers, and Yoko is a woman with a fire in her eye. These are the creations of Kawabata.
 Actually, his own background is lonely and the novels of Kawabata including Snow Country reflect a grateful heart. Shimamura reciprocates with Komako in Snow Country. For example, Komako thanks the old lady for her care of the child, but scolds her a little. Komako receives thanks as a servant for the small acts of kindness from the old lady, while she considers her own situation because nobody sets up a clean bed for her.

花村嘉英(2019)「川端康成の「雪国」から見えてくるシナジーのメタファーとは−『無と創造』から『目的達成型の認知発達』へ」より translated by Yoshihisa Hanamura

Synergic metaphor viewed from “Snow Country” of Yasunari Kawabata - from “Nothingness and Creation” to “object achievement type cognitive development”1

1 Synergic metaphor

 The analysis of literature is based on the interpreting mind of a reader, while a synergic metaphor is the macro analysis method used to research the writing brain of an author.Basically, I use the shape of an “ L ” to denote the reading brain on its vertical arm and the writing brain on the horizontal arm.I then create a database by plotting each scene on the L graph.Next, I build an ensemble of many combinations to merge both cognitive activities, and look for the path of a signal within the brain.
 Synergic metaphors that I devised previously are “Thomas Mann and fuzzy”, “Luxun and chaos”, “Ogai Mori and feeling” and “Nadine Gordimer and motivation”. I considered the writing style as the writing brain of each author, in particular the problem-solving scene is a significant object of analysis. This time I selected “Snow Country” (1948) by Yasunari Kawabata (1899 - 1972) and consider “nothingness and creation” as his reading brain, and the object achievement type cognitive development as his writing brain.

花村嘉英(2019)「川端康成の「雪国」から見えてくるシナジーのメタファーとは−『無と創造』から『目的達成型の認知発達』へ」より translated by Yoshihisa Hanamura

シナジーのメタファーのために一作家一作品でできることー川端康成16

5 まとめ

 作家の執筆脳を探るシナジーメタファーの研究は、花村(2018)でも記したように、@LのストーリーやAデータベースの作成、さらにB論理計算やC統計によるデータ処理が必要になる。しかし、最初のうちは、一つの小説について全てを揃えることが難しいため、4つのうちとりあえず3つ(@、A、Bまたは@、A、C)を条件にして、作家の執筆脳の研究をまとめるとよい。ここでは、@、A、Cの条件を満たしているため、「川端康成と目的達成型の認知発達」というシナジーのメタファーは、成立していると考える。

参考文献

花村嘉英 計算文学入門−Thomas Mannのイロニーはファジィ推論といえるのか? 新風舎 2005
花村嘉英 森鴎外の「山椒大夫」のDB化とその分析 中国日语教学研究会江苏分会 2015a
花村嘉英 从认知语言学的角度浅析鲁迅作品−魯迅をシナジーで読む 華東理工大学出版社2015
花村嘉英 日语教育计划书−面向中国人的日语教学法与森鸥外小说的数据库应用 日本語教育のためのプログラム−中国語話者向けの教授法から森鴎外のデータベースまで 南京東南大学出版社 2017
花村嘉英 从认知语言学的角度浅析纳丁・戈迪默 ナディン・ゴーディマと意欲 華東理工大学出版社 2018
花村嘉英 川端康成の「雪国」から見えてくるシナジーのメタファーとは-「無と創造」から「目的達成型の認知発達」へ 中国日語教学研究会上海分会論文集 2019

シナジーのメタファーのために一作家一作品でできることー川端康成15

【A、B、Cの相関係数の比較】

相関の特性
AとB 相関係数0.5 相関の特性 かなり正の相関
BとC 相関係数0.5 相関の特性 かなり正の相関
AとC 相関係数0.5 相関の特性 かなり正の相関

 この比較は、駒子が三味線の稽古をしている場面のカラムの相関の特性であり、Aの無と創造、Bの情報の認知1と顔の表情、Cの人工感情と認知発達それぞれの相関の特性を表している。購読脳と想定している無と創造と目的達成型の認知発達と正の相関関係があることがわかる。

【解説】
脳内は、電気信号が縦横無尽に高速で回っている。川端康成の「雪国」執筆時の脳の活動として、人間一般のものではなく、特筆すべきこととして、駒子三味線の稽古の場面で見えてくる目的達成型の認知発達を取り上げた。この論文の実験を通して、正の相関があることが分かった。平たく意義としたい。

花村嘉英(2018)「シナジーのメタファーのために一作家一作品でできることー川端康成」より

シナジーのメタファーのために一作家一作品でできることー川端康成14

【AとCの相関係数】

◆ A、Cの偏差同士の積を計算する。
(Aの偏差)x(Cの偏差)=-0、4、0

◆ A、Cの偏差を2乗したものの合計を計算する。
Aの偏差の2乗したものの合計=4+4+0=8
Cの偏差の2乗したものの合計=0+4+4=8

◆ (Aの偏差)x(Cの偏差)の合計を計算する=0+4+0=4

計算表
A 4 0 2 合計6
偏差 2 -2 0 合計
偏差2 4 4 0 合計8
B 4 2 0 合計6
偏差 2 0 -2 合計0
偏差2 4 0 4 合計8
AB偏差の積 4 0 0 合計4

◆ 相関係数を求める

相関係数=[(A-Aの平均値)x(C-Cの平均値)]の和/
√(A-Aの平均値)2の和x(C-Cの平均値)2の和
上記計算表を代入すると、

相関係数= 4/√8 x 8= 4/√64= 4/8 = 0.5

従って、かなり正の相関がある。

花村嘉英(2018)「シナジーのメタファーのために一作家一作品でできることー川端康成」より

シナジーのメタファーのために一作家一作品でできることー川端康成13

【BとCの相関係数】

◆ B、Cの偏差同士の積を計算する。
(Bの偏差)x(Cの偏差)=-0、0、4
◆ B、Cの偏差を2乗したものの合計を計算する。
Bの偏差の2乗したものの合計=4+0+4=8
Cの偏差の2乗したものの合計=0+4+4=8
◆ (Bの偏差)x(Cの偏差)の合計を計算する=0+0+4=4

計算表
B 4 2 0 合計6
偏差 2 0 -2 合計0
偏差2 4 0 4 合計8
C 2 4 0 合計6
偏差 9 2 -2 合計0
偏差2 0 4 4 合計8
AB偏差の積 0 0 4 合計4


◆ 相関係数を求める
相関係数=[(B-Bの平均値)x(C-Cの平均値)]の和/
√(B-Bの平均値)2の和x(C-Cの平均値)2の和
上記計算表を代入すると、
相関係数= 4/√8x8=4/√64= 4/8 = 0.5
従って、かなり正の相関がある。

花村嘉英(2018)「シナジーのメタファーのために一作家一作品でできることー川端康成」より

シナジーのメタファーのために一作家一作品でできることー川端康成12

◆ A、B、Cそれぞれの偏差をそれぞれ2乗する。
Aの偏差の2乗=4、4、0
Bの偏差の2乗=4、0、4
Cの偏差の2乗=0、4、4

【AとBの相関係数】
◆ A、Bの偏差同士の積を計算する。
(Aの偏差)x(Bの偏差)=4、0、0
◆ A、Bの偏差を2乗したものの合計を計算する。
Aの偏差の2乗したものの合計=4+4+0=8
Bの偏差の2乗したものの合計=4+0+4=8
◆ (Aの偏差)x(Bの偏差)の合計を計算する=4+0+0=4
計算表
A 4 0 2 合計6
偏差 2 -2 0 合計0
偏差2 4 4 0 合計8
B 4 2 0 合計6
偏差 2 0 -2 合計0
偏差2 4 0 4 合計8
AB偏差の積 4 0 0 合計4


◆ 相関係数を求める
相関係数=[(A-Aの平均値)x(B-Bの平均値)]の和/
√(A-Aの平均値)2の和x(B-Bの平均値)2の和
上記計算表を代入すると、
相関係数= 4/√8x8=4/√64= 4/8 = 0.5
従って、かなり正の相関がある。

花村嘉英(2018)「シナジーのメタファーのために一作家一作品でできることー川端康成」より

シナジーのメタファーのために一作家一作品でできることー川端康成11

4.2 相関係数を求める−相関の実験

 表2のデータ分析に相関係数を求める統計処理を試みる。その際、データベースのそれぞれの値は、質量ではなく指標であるため、特性の個数を数えて計算できるようにしたい。数値変換により特性があるかないかで識別していく。抽出したカラム「無と創造」、「情報の認知1と顔の表情」、「人工感情と認知発達」からその特性として「ありあり」、「ありなし」、「なしあり」を置く。

A無と創造(4、0、2)B情報の認知1と顔の表情(4、2、0)C人工感情と認知発達(2、4、0)

 A、B、Cそれぞれの平均値を出す。その際、分子に違いを出すために、「ありあり」に0.1加算する。相関の強さは「ありあり」に出るからである。Aの平均(4+0+2)÷3=2、Bの平均(4+2+0)÷3=2 Cの平均(2+4+0)÷3=2

◆ A、B、Cそれぞれの偏差を計算する。偏差=各データ−平均値
Aの偏差(4-2)、(0-2)、(2-2)= 2、-2、0
Bの偏差(4-2)、(2-2)、(0-2)= 2、0、-2
Cの偏差(2-2)、(4-2)、(0-2)= 0、2、-2

花村嘉英(2018)「シナジーのメタファーのために一作家一作品でできることー川端康成」より

シナジーのメタファーのために一作家一作品でできることー川端康成10

4  統計処理−相関

4.1  川端康成の「雪国」のデータベースについて考察してみよう。

 花村(2019)では、データベースを伝わる信号の中で相関の組合せとして「無と創造」、「情報の認知1と顔の表情」、「人工感情と認知発達」を抽出し、「川端康成と認知発達」というシナジーのメタファーが作れるかどうか考察した。また、表6は、表1に一ライン加えた場面である。

表2 データベースからの抜粋
 三曲目に都鳥を弾きはじめた頃は、その曲の艶な柔らかさのせいもあって、島村はもう鳥肌たつような思いは消え、温かく安らいで、駒子の顔を見つめた。そうするとしみじみ肉体の親しみが感じられた。
無と創造 1、1
(五感)情報の認知1と顔の表情 1+2、2、11
人工感情と認知発達 1、2
 細く高い鼻は少し寂しいはずだけれども、頬が生き生きと上気しているので、私はここにいますという囁きのように見えた。
無と創造 1、1
(五感)情報の認知1と顔の表情 1、1、3
人工感情と認知発達 1、2
 あの美しく血の滑らかな脣は、小さくつぼめた時も、そこに写る光をぬめぬめ動かしているようで、そのくせ唄につれて大きく開いても、また可憐にすぐ縮まるという風に、彼女の体の魅力そっくりであった。
無と創造 1、1
(五感)情報の認知1と顔の表情 1、1、4
人工感情と認知発達 2、2
 粉はなく、都会の水商売で透き通ったところへ、山の色が染めたとでもいう、百合か玉葱みたいな球根を剥いた新しさの皮膚は、首までほんのり血の色が上がっていて、なによりも清潔だった。
無と創造 1、1
(五感)情報の認知1と顔の表情 1、1、10
人工感情と認知発達 2、2
 しゃんと坐り構えているのだが、いつになく娘じみて見えた。最後に、今稽古中のをと言って、譜を見ながら新曲浦島を引いてから、駒子は黙って撥を糸の下に挟むと、身体を崩した。
無と創造 2、1
(五感)情報の認知1と顔の表情 1+2、2、11
人工感情と認知発達 2、1
 急に色気がこぼれて来た。
島村はなんとも言えなかったが、駒子も島村の批評を気にする風はさらになく、素直に楽しげだった。
無と創造 2、1
(五感)情報の認知1と顔の表情 1、2、10
人工感情と認知発達 2、1

 表2は、駒子が三味線の稽古をしている場面である。駒子と島村は、やり取りをしている間に、お互いに気持ちの整理がついてきた。三曲目にもなれば、いつもの稽古の様子を体が覚えているし、聞き手にもそう聞こえてくる。新曲浦島を引いたところで駒子の目的は達成された。

花村嘉英(2018)「シナジーのメタファーのために一作家一作品でできることー川端康成」より
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プロフィール
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花村嘉英
花村嘉英(はなむら よしひさ) 1961年生まれ、立教大学大学院文学研究科博士後期課程(ドイツ語学専攻)在学中に渡独。 1989年からドイツ・チュービンゲン大学に留学し、同大大学院新文献学部博士課程でドイツ語学・言語学(意味論)を専攻。帰国後、技術文(ドイツ語、英語)の機械翻訳に従事する。 2009年より中国の大学で日本語を教える傍ら、比較言語学(ドイツ語、英語、中国語、日本語)、文体論、シナジー論、翻訳学の研究を進める。テーマは、データベースを作成するテキスト共生に基づいたマクロの文学分析である。 著書に「計算文学入門−Thomas Mannのイロニーはファジィ推論といえるのか?」(新風舎:出版証明書付)、「从认知语言学的角度浅析鲁迅作品−魯迅をシナジーで読む」(華東理工大学出版社)、「日本語教育のためのプログラム−中国語話者向けの教授法から森鴎外のデータベースまで(日语教育计划书−面向中国人的日语教学法与森鸥外小说的数据库应用)」南京東南大学出版社、「从认知语言学的角度浅析纳丁・戈迪默-ナディン・ゴーディマと意欲」華東理工大学出版社、「計算文学入門(改訂版)−シナジーのメタファーの原点を探る」(V2ソリューション)、「小説をシナジーで読む 魯迅から莫言へーシナジーのメタファーのために」(V2ソリューション)がある。 論文には「論理文法の基礎−主要部駆動句構造文法のドイツ語への適用」、「人文科学から見た技術文の翻訳技法」、「サピアの『言語』と魯迅の『阿Q正伝』−魯迅とカオス」などがある。 学術関連表彰 栄誉証書 文献学 南京農業大学(2017年)、大連外国語大学(2017年)
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