アフィリエイト広告を利用しています

広告

この広告は30日以上更新がないブログに表示されております。
新規記事の投稿を行うことで、非表示にすることが可能です。
posted by fanblog

2024年09月16日

芥川龍之介の「河童」の相関関係について3

3 小説の場面に適用する

表1 河童の訪問
それから僕は二三日ごとにいろいろの河童の訪問を受けました。僕の病はS博士によれば早発性痴呆症ということです。しかしあの医者のチャックは、僕は早発性痴呆症患者ではない、早発性痴呆症患者はS博士をはじめ、あなたがた自身だと言っていました。意味思考 1、人工知能2

医者のチャックも来るくらいですから、学生のラップや哲学者のマッグの見舞いにきたことはもちろんです。が、あの漁夫のバッグのほかに昼間はだれも尋ねてきません。意味思考 2、人工知能2

ことに二三匹いっしょに来るのは夜、―それも月のある夜です。僕はゆうべも月明りの中に硝子ガラス会社の社長のゲエルや哲学者のマッグと話をしました。のみならず音楽家のクラバックにもヴァイオリンを一曲弾いてもらいました。意味思考 2、人工知能2

そら、向こうの机の上に黒百合の花束がのっているでしょう?あれもゆうべクラバックが土産に持ってきてくれたものです。(僕は後ろを振り返ってみた。が、もちろん机の上には花束も何ものっていなかった。)
意味思考 2、人工知能2

それからこの本も哲学者のマッグがわざわざ持ってきてくれたものです。ちょっと最初の詩を読んでごらんなさい。いや、あなたは河童の国の言葉を御存知になるはずはありません。では代わりに読んでみましょう。これは近ごろ出版になったトックの全集の一冊です。2、人工知能1

花村嘉英(2020)「芥川龍之介の『河童』の相関関係について」より

芥川龍之介の「河童」の相関関係について2

2 相関の作り方

 シナジーのメタファーのために作成しているデータベースは、データの種類で見ると、俗に言う測れないカテゴリーデータからなる。数量データといわれる身長、体重、気温、湿度などとは異なり、値が連続ではなく飛び飛びで離散的となる。前野(2012)によると、カテゴリーデータは、対象の性質を表したり、現象や区別を表したりする。性別、好き、嫌い、うまい、まずい、おもしろいなどあるものの性質や現象が示される。
 相関とは原因から結果が生じ、それが互いに関係しあっていることをいう。また、相関関係があるとは、ある測定値の変化に対して他の測定値も変化する場合に使われる。相関の強さは、ピアソンの相関係数で表す。合わせて共分散という統計用語が重要になる。 

(1) 共分散の公式
共分散=[(xの各データ−xの平均値)x(yの各データ−yの平均値)]の和/データ数
   =[(xの偏差)x(yの偏差)]の和/データ数
   = xとyの偏差積の和/データ数

正の相関があると0より大きく、負の相関があると0より小さくなる。

(2) 相関係数(ピアソン)
相関係数=XYの偏差平方和/√(Xの偏差平方和)x(Yの偏差平方和)

「河童」の問題解決の場面を使用して、簡単な例を見てみよう。

花村嘉英(2020)「芥川龍之介の『河童』の相関関係について」より

芥川龍之介の「河童」の相関関係について1

1 先行研究

 昭和初期の日本を風刺した芥川龍之介(1892−1927)の「河童」の一場面を使用し、人間社会と反対の価値を持つ河童の世界を描きながら、そこに遥かに人間味のあることを狂人に語らせる。執筆時には、逆転の論理、弱者の勝利といった現代にも通じる発想があったに違いない。  
 この小論では、自作のデータベースを使用して相関関係を考察する。言語の認知のカラムは、思考の流れ、即ち、逆転の思考が1ある、2ない、情報の認知のカラムは、人工知能が1機知、2批判である。

花村嘉英(2020)「芥川龍之介の『河童』の相関関係について」より

幸田文の「父」の執筆脳について−臨終8

4 まとめ

 幸田文の執筆時の脳の活動を調べるために、まず受容と共生からなるLのストーリーを文献により組み立てた。次に、「父」のLのストーリーをデータベース化して、最後に特定したところを実験で確認した。そのため、テキスト共生によるシナジーのメタファーについては、一応の研究成果が得られている。
 この種の実験をおよそ100人の作家で試みている。その際、日本人と外国人60人対40人、男女比4対1、ノーベル賞作家30人を目安に対照言語が独日であることから非英語の比較を意識してできるだけ日本語以外で英語が突出しないように心掛けている。 

参考文献

日本成人病予防協会 健康管理士一般指導員受験対策講座テキスト3 ヘルスケア出版 2014
花村嘉英 計算文学入門−Thomas Mannのイロニーはファジィ推論といえるのか? 新風社 2005
花村嘉英 从认知语言学的角度浅析鲁迅作品-魯迅をシナジーで読む 華東理工大学出版社2015
花村嘉英 日语教育计划书−面向中国人的日语教学法与森鸥外小说的数据库应用 日本語教育のためのプログラム−中国語話者向けの教授法から森鴎外のデータベースまで 南京東南大学出版社 2017
花村嘉英 从认知语言学的角度浅析纳丁・戈迪默-ナディン・ゴーディマと意欲 華東理工大学出版社 2018
花村嘉英 シナジーのメタファーの作り方−トーマス・マン、魯迅、森鴎外、ナディン・ゴーディマ、井上靖 中国日語教学研究会上海分会論文集 2018  
花村嘉英 川端康成の「雪国」に見る執筆脳について-「無と創造」から「目的達成型の認知発達」へ 中国日語教学研究会上海分会論文集 2019
花村嘉英 社会学の観点からマクロの文学を考察する−危機管理者としての作家について 中国日語教学研究会上海分会論文集 2020
幸田文 父(解説 塩屋賛) 新潮文庫 2012

幸田文の「父」の執筆脳について−臨終7

表3 情報の認知

A 表2と同じ。 情報の認知1 3、情報の認知2 2、情報の認知3 2
B 表2と同じ。 情報の認知1 3、情報の認知2 2、情報の認知3 2
C 表2と同じ。 情報の認知1 3、情報の認知2 2、情報の認知3 2
D 表2と同じ。 情報の認知1 3、情報の認知2 2、情報の認知3 2
E 表2と同じ。 情報の認知1 3、情報の認知2 2、情報の認知3 1

A:情報の認知1はB条件反射、情報の認知2はA新情報、情報の認知3はA問題未解決から推論へである。
B:情報の認知1はB条件反射、情報の認知2はA新情報、情報の認知3はA問題未解決から推論へである。
C:情報の認知1はB条件反射、情報の認知2はA新情報、情報の認知3はA問題未解決から推論へである。
D:情報の認知1はB条件反射、情報の認知2はA新情報、情報の認知3はA問題未解決から推論へである。
E:情報の認知1はB条件反射、情報の認知2はA新情報、情報の認知3は@計画から問題解決へである。

結果
 
 幸田文は、この場面で臨終間際の露伴を看病しながら、父の死を宣告される瞬間が来たことを伝えている。そして、山場を経過してから美醜愛憎の中にも父への恩を説明しているため、「誠実と心の記録」と「偽りない心と誠意」という組が相互に作用する。  

花村嘉英(2020)「幸田文の『父』の執筆脳について」より

幸田文の「父」の執筆脳について−臨終6

【連想分析2】

情報の認知1(感覚情報)  
 感覚器官からの情報に注目することから、対象の捉え方が問題になる。また、記憶に基づく感情は、扁桃体と関係しているため、条件反射で無意識に素振りに出てしまう。このプロセルのカラムの特徴は、@ベースとプロファイル、Aグループ化、B条件反射である。
 
情報の認知2(記憶と学習)  
 外部からの情報を既存の知識構造へ組み込む。この新しい知識はスキーマと呼ばれ、既存の情報と共通する特徴を持っている。未知の情報は、またカテゴリー化される。このプロセスは、経験を通した学習になる。このプロセルのカラムの特徴は、@旧情報、A新情報である。

情報の認知3(計画、問題解決、推論)  
 受け取った情報は、計画を立てるプロセスでも役に立つ。その際、目的に応じて問題を分析し、解決策を探っていく。しかし、獲得した情報が完全でない場合は、推論が必要になる。このプロセルのカラムの特徴は、@計画から問題解決へ、A問題未解決から推論へである。

花村嘉英(2020)「幸田文の『父』の執筆脳について」より

幸田文の「父」の執筆脳について−臨終5

分析例

1 父露伴の臨終の場面。
2 この小論では、「父」の購読脳を「誠実と心の記録」と考えているため、意味3の思考の流れ、性格の創造からその表現へに注目する。
3 意味1@視覚A聴覚B味覚C嗅覚D触覚 、意味2 @喜A怒B哀C楽、意味3@性格の創造からAその表現へ、意味4振舞い @直示A隠喩B記事なし
4 人工知能 @創造、A認知発達 

テキスト共生の公式

ステップ1:意味1、2、3、4を合わせて解析の組「誠実と心の記録」を作る。
ステップ2:性格の創造とその表現の精神状態から「偽りない記録と誠意」という組を作り、解析の組と合わせる。  

A:@視覚+B哀+@誠実あり+@直示という解析の組を、@創造+A認知発達という組と合わせる。
B:A聴覚+B哀+@誠実あり+@直示という解析の組を、@創造+A認知発達という組と合わせる。
C:A聴覚+B哀+@誠実あり+@直示という解析の組を、@創造+A認知発達という組と合わせる。 
D:A聴覚+B哀+@誠実あり+@直示という解析の組を、@創造+A認知発達という組と合わせる。
E:A聴覚+B哀+@誠実あり+@直示という解析の組を、@創造+A認知発達という組と合わせる。

結果  表2については、テキスト共生の公式が適用される。

花村嘉英(2020)「幸田文の『父』の執筆脳について」より

幸田文の「父」の執筆脳について−臨終4

【連想分析1】
表2 受容と共生のイメージ合わせ

A 「こわかないですよ。あれが痙攣てものなんです。」小林さんは微笑して私をほごそうとしている。「だって私あの顔こわい。」「あなたがこわいくらいな先生の顔なら、なるべく誰にも見せない方がいいんじゃないですか。」 意味1 1、意味2 3、意味3 1、意味4 1、人工知能1

B 私はぐっとつまった。十五分して又発作があった。顔は右が余計ひきつれてゆがんだ。それはおばあさん、父の母の晩年の顔そっくりだった。もう怖くもなんともなかった。また十五分して発作があった。
意味1 1、意味2 3、意味3 1、意味4 1、人工知能1

C 三十日朝、柳田泉さんが来た。ついで武見さんが来た。先生が見ていてくれるところで安心して父の甲虫を掃除したかった。しろうとのそんなことが一気に死の直原因になってはと恐れて、し得なくていたのだった。 意味1 1、意味2 3、意味3 1、意味4 1、人工知能2

D 「おとうさん、先生が見ていらしてくださるうちに綾子がお口を洗ってあげましょう。それでないと心配ですからね。さ、綺麗なお水をあがってくだあい。」割箸のさきに脱脂綿をつけ氷の水を含ませた。ごくりと喉仏が動いて通って行った。診察を済ませ、先生は小林さんやほかの人との話をしてい、私も送り出ていた。
意味1 1、意味2 3、意味3 1、意味4 1、人工知能2

E 「色が変わった!」柳田さんの声だった。たちまち強いろが顔から奪って行った。武見さんが調音器をあてたまま、ややしばらく、「そう、心臓がとまりました」と云った。父は死んで、終わった。
意味1 1+2、意味2 3、意味3 1、意味4 1、人工知能1

花村嘉英(2020)「幸田文の『父』の執筆脳について」より

幸田文の「父」の執筆脳について−臨終3

3 データベースの作成・分析

 データベースの作成法について説明する。エクセルのデータについては、列の前半(文法1から意味5)が構文や意味の解析データ、後半(医学情報から人工知能)が理系に寄せる生成のデータである。一応、L(受容と共生)を反映している。データベースの数字は、登場人物を動かしながら考えている。
 こうしたデータベースを作る場合、共生のカラムの設定が難しい。受容は、それぞれの言語ごとに構文と意味を解析し、何かの組を作ればよい。しかし、共生は、作家の知的財産に基づいた脳の活動が問題になるため、作家ごとにカラムが変わる。

【データベースの作成】
表1 「父」のデータベースのカラム
文法1 名詞の格 幸田文の助詞の使い方を考える。
文法2  態 能動、受動、使役。
文法3 時制、相 現在、過去、未来、進行形、完了形。
文法4 様相 可能、推量、義務、必然。
意味1 五感 視覚、聴覚、味覚、嗅覚、触覚。
意味2 喜怒哀楽 情動との接点。瞬時の思い。
意味3 思考の流れ 誠実さの表現、ありなし。
意味4 振舞い ジェスチャー、身振り。直示と隠喩を考える。
医学情報 メンタルヘルス 受容と共生の接点。構文や意味の解析から得た組「誠実と心の記録」と病跡学でリンクを張るためにメディカル情報を入れる。
情報の認知1 感覚情報の捉え方 感覚器官からの情報に注目するため、対象の捉え方が問題になる。例えば、ベースとプロファイルやグループ化または条件反射。
情報の認知2 記憶と学習 外部からの情報を既存の知識構造に組み込む。その際、未知の情報についてはカテゴリー化する。学習につながるため。記憶の型として、短期、作業記憶、長期(陳述と非陳述)を考える。
情報の認知3 計画、問題解決、推論 受け取った情報は、計画を立てるときにも役に立つ。目的に応じて問題を分析し、解決策を探っていく。獲得した情報が完全でない場合、推論が必要になる。
人工知能 偽りない記録と誠意 エキスパート  偽りない記録と誠意とは真実であり、誠意は物事に対して曲がったところのない気持ち。

花村嘉英(2020)「幸田文の『父』の執筆脳について」より

幸田文の「父」の執筆脳について−臨終2

2 Lの分析

 第一回の文化勲章受章者幸田露伴(1867−1947)を父に持つ作家幸田文(1904−1990)の文学の方法は、誠実であることにある。塩谷(1994)によると、誠実が文学の方法になったのは、幸田文にとってそれが生活から引き出せるただ一つの知恵だからである。誠実に愛し、誠実を持って仕え、誠実に反抗した人間である。それが父露伴から受け継いだ遺産でもある。そこで、購読脳を「誠実と心の記録」にする。但し、記録が文学たるためには、視覚的要素と香気が必要である。無論、そのためには正確な表現力がものをいう。 
 「父」の死を見送る記録は、父の死の宣告を受ける瞬間が山場である。7月末に臨終を迎え、その葬式で喪主を務め、強い父の命は、最後まで作者を放すことがなかった。しかし、別れ自体は清々しく、深い思慕の情には力強さなどなかった。
 焼香の際も写真の父が昇っていくようで、露伴の俳句「獅子の児の親を仰げば霞かな」を引いて、美醜愛憎ある中で恩を確かめている。
 誠実が習性であることは、常に便利なわけではない。才能を包み隠すところまで行くと、誠実が強すぎるためである。嘘のない真心ぐらいでよい。フィクションが文学になるには、誠実さが必要不可欠になる。そのため、執筆脳は、「偽りない記録と誠意」にする。この執筆脳を購読脳の「誠実と心の記録」とマージした場合のシナジーのメタファーは、「幸田文と誠実さ」である。 

花村嘉英(2020)「幸田文の『父』の執筆脳について」より
ファン
検索
<< 2024年09月 >>
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30          
最新記事
写真ギャラリー
最新コメント
タグクラウド
カテゴリーアーカイブ
プロフィール
花村嘉英さんの画像
花村嘉英
花村嘉英(はなむら よしひさ) 1961年生まれ、立教大学大学院文学研究科博士後期課程(ドイツ語学専攻)在学中に渡独。 1989年からドイツ・チュービンゲン大学に留学し、同大大学院新文献学部博士課程でドイツ語学・言語学(意味論)を専攻。帰国後、技術文(ドイツ語、英語)の機械翻訳に従事する。 2009年より中国の大学で日本語を教える傍ら、比較言語学(ドイツ語、英語、中国語、日本語)、文体論、シナジー論、翻訳学の研究を進める。テーマは、データベースを作成するテキスト共生に基づいたマクロの文学分析である。 著書に「計算文学入門−Thomas Mannのイロニーはファジィ推論といえるのか?」(新風舎:出版証明書付)、「从认知语言学的角度浅析鲁迅作品−魯迅をシナジーで読む」(華東理工大学出版社)、「日本語教育のためのプログラム−中国語話者向けの教授法から森鴎外のデータベースまで(日语教育计划书−面向中国人的日语教学法与森鸥外小说的数据库应用)」南京東南大学出版社、「从认知语言学的角度浅析纳丁・戈迪默-ナディン・ゴーディマと意欲」華東理工大学出版社、「計算文学入門(改訂版)−シナジーのメタファーの原点を探る」(V2ソリューション)、「小説をシナジーで読む 魯迅から莫言へーシナジーのメタファーのために」(V2ソリューション)がある。 論文には「論理文法の基礎−主要部駆動句構造文法のドイツ語への適用」、「人文科学から見た技術文の翻訳技法」、「サピアの『言語』と魯迅の『阿Q正伝』−魯迅とカオス」などがある。 学術関連表彰 栄誉証書 文献学 南京農業大学(2017年)、大連外国語大学(2017年)
プロフィール
×

この広告は30日以上新しい記事の更新がないブログに表示されております。