2018年01月22日
(モバイルニュース)サブブランド優遇批判にKDDIとソフトバンクが反論――総務省で有識者会合
22日、総務省で「モバイル市場の公正競争促進に関する検討会」第3回会合が開催された。UQ mobileやワイモバイル(Y!mobile)といった大手キャリアのサブブランドの通信速度は優遇されていないか、という前回の指摘を受けた今回、KDDIやソフトバンクは「優遇していない」などと反論する場となった。
前回の会合で、MVNO側からはau系列のUQ mobileや、ソフトバンクが手がけるワイモバイルの通信速度を見ると、現在の料金プランでは実現できないのでは、といった疑問が提示されていた。
これにKDDI理事の古賀靖宏氏は、UQも含め、各MVNOに対しては、ガイドラインで定められた基準にあわせた接続料で回線を提供していると説明。KDDI側のネットワーク上、auユーザーもUQユーザーも、そしてMVNOのユーザーも区別なく通信しているという。UQから借り受けているWiMAXの周波数も、auユーザーだけではなくMVNOにも提供しており、その上で同氏は、MVNOが仕入れる帯域幅に通信速度は依存するのでは、と指摘する。
UQコミュニケーションズ執行役員の西村紀彦氏は、グループ企業とはいえKDDIの議決権比率は1/3であり、UQ自身は独立しているとあらためて紹介する。格安SIM市場でUQ mobileのシェアは突出していないほか、料金プランは「1000円以下の格安SIMよりも高い水準」として、テレビCMやショップは、UQのブランド力向上のため、先行投資といった意味合いでUQ自身の負担により展開しているものと主張。KDDI側の優遇はなく、UQの速度が速いのはそれに見合った料金体系にし、コストを応分に負担しているとした。
ただし、UQの通信速度がランチタイムでも速い、といった資料に対してUQでは「速くしようとすれば帯域を太くする。その分お金を払うことになり、そのバランスをどうするか。(調査データは)たまたま測定時だけのもの」と弁解する場面もあった。
ソフトバンク側からは、サブブランドのワイモバイルでは、端末をAndroid Oneシリーズにすることで調達コストを抑え、カスタマーサポートの通話料を有料にするなど、ワイモバイル単体でコスト管理を進めていると紹介。ワイモバイルブランドでは、ユーザーの声に応える形で、より安価なプランを企業努力で実現したものと位置づける。
またひとつの会社で、ソフトバンクとワイモバイルで異なるサービス内容にすることは、あくまでブランディングの結果であり、もしソフトバンクブランドとして低価格なプランを提供しはじめた場合はどう考えるべきか、難しい部分があるのでは? と指摘する。ただ、今後に向けて、“バーチャルな会計分離”を一度やってみることが求められれば、協力する姿勢を示した。
会合の終盤に挨拶した小林史明政務官(自民党衆議院議員)は、「サブブランドを叩きたいわけじゃない」と語る。MVNO側、MNO側、それぞれに現状への不満や課題があり、そうした問題を今回の会合で解決したいとの意欲を示す。
有識者の一人として出席する池田千鶴神戸大学教授もサブブランドを否定するわけではない、と説明。別会社か同一会社かどうかは問題ではなく適正な競争環境か、不当廉売になっていないか検証したいと主張。たとえばワイモバイルの市場シェアが開示されないことは「社内のブランドに過ぎないという問題ではなくオープンな情報にすべきではないか」と問題視。同じく有識者の北俊一氏(野村総研)も、一番混むランチタイムにどの程度の帯域幅が必要か、データが開示されれば検証できるなどと指摘。有識者側から、競争環境を検証するためのデータが足りないとの指摘が続いて、大手キャリアへ一層の透明化を求めた格好となった。
今回は、大手キャリアが揃って意見を述べる機会となり、NTTドコモの大松澤清博取締役は月額980円のシンプルプランや、ウルトラシェアパック30を新設したこと、あるいは端末割引がないかわり月額利用料が安い「docomo with」を導入したことなどを示し、ドコモとしてガイドラインを遵守してきた実績を披露。SIMロックの解除件数も増加しているほか、MVNO向けの接続料も2008年度と比べてこの10年で1/20に大幅に値下げしたことなどを紹介。
その上で、最近では店頭で多額のキャッシュバックが行われている事例が散見される、と述べて、ドコモからの転出が増加し不公平な環境になってきたと指摘する。
これに携帯電話販売代理店の業界団体である、全携協(全国携帯電話販売代理店協会)の竹岡哲朗会長は、全国のキャリアショップの84%(約8300店のうち約7000店)が所属する全携協では、価格設定は、独禁法もあって基本的にショップ側の判断。もし売れ残った不良在庫があればそれも販売代理店側がリスクを取って処分する必要がある」と解説。ここにソフトバンク側からは「量販店で0円が多いかもしれないが、全携協のショップでは実施されていないのでは」とフォローする場面もあった。
今回の会合では、MVNOの1社としてトーンモバイルも出席。取締役の中村礼博氏は、サブブランドを含む大手3キャリアの寡占市場では競争が促進されず、5G時代には料金が高止まりしかねない、と懸念を示したほか、いわゆるキャリアメールは未だ連絡手段として重要視されておりMVNOへの乗り換えのハードルになっていると指摘。またMVNOが音声定額サービスを実現できるよう、音声定額対応の卸プランが必要と主張していた。
サブブランドに関する話題のほか、今回は中古端末についても有識者からの質問が大手キャリアに寄せられた。
たとえば日本国内で、大手キャリアが下取りした中古のスマートフォンや携帯電話が流通していないのでは、といった疑念がこれまでの会合で挙げられていたが、これに大手各社は下取りしたスマートフォンは仲介業者に渡した後の流通は把握していない、と回答。
またメーカー側から中古品の流通に関して、大手キャリアに拘束があるのか、という質問に、各社ともに今回は回答たり得る情報がなく確認する、というコメントに留まっていた。
大手キャリア、サブブランド優遇を否定
前回の会合で、MVNO側からはau系列のUQ mobileや、ソフトバンクが手がけるワイモバイルの通信速度を見ると、現在の料金プランでは実現できないのでは、といった疑問が提示されていた。
これにKDDI理事の古賀靖宏氏は、UQも含め、各MVNOに対しては、ガイドラインで定められた基準にあわせた接続料で回線を提供していると説明。KDDI側のネットワーク上、auユーザーもUQユーザーも、そしてMVNOのユーザーも区別なく通信しているという。UQから借り受けているWiMAXの周波数も、auユーザーだけではなくMVNOにも提供しており、その上で同氏は、MVNOが仕入れる帯域幅に通信速度は依存するのでは、と指摘する。
UQコミュニケーションズ執行役員の西村紀彦氏は、グループ企業とはいえKDDIの議決権比率は1/3であり、UQ自身は独立しているとあらためて紹介する。格安SIM市場でUQ mobileのシェアは突出していないほか、料金プランは「1000円以下の格安SIMよりも高い水準」として、テレビCMやショップは、UQのブランド力向上のため、先行投資といった意味合いでUQ自身の負担により展開しているものと主張。KDDI側の優遇はなく、UQの速度が速いのはそれに見合った料金体系にし、コストを応分に負担しているとした。
ただし、UQの通信速度がランチタイムでも速い、といった資料に対してUQでは「速くしようとすれば帯域を太くする。その分お金を払うことになり、そのバランスをどうするか。(調査データは)たまたま測定時だけのもの」と弁解する場面もあった。
ソフトバンク側からは、サブブランドのワイモバイルでは、端末をAndroid Oneシリーズにすることで調達コストを抑え、カスタマーサポートの通話料を有料にするなど、ワイモバイル単体でコスト管理を進めていると紹介。ワイモバイルブランドでは、ユーザーの声に応える形で、より安価なプランを企業努力で実現したものと位置づける。
またひとつの会社で、ソフトバンクとワイモバイルで異なるサービス内容にすることは、あくまでブランディングの結果であり、もしソフトバンクブランドとして低価格なプランを提供しはじめた場合はどう考えるべきか、難しい部分があるのでは? と指摘する。ただ、今後に向けて、“バーチャルな会計分離”を一度やってみることが求められれば、協力する姿勢を示した。
総務省側は「サブブランド潰しではない」
会合の終盤に挨拶した小林史明政務官(自民党衆議院議員)は、「サブブランドを叩きたいわけじゃない」と語る。MVNO側、MNO側、それぞれに現状への不満や課題があり、そうした問題を今回の会合で解決したいとの意欲を示す。
有識者の一人として出席する池田千鶴神戸大学教授もサブブランドを否定するわけではない、と説明。別会社か同一会社かどうかは問題ではなく適正な競争環境か、不当廉売になっていないか検証したいと主張。たとえばワイモバイルの市場シェアが開示されないことは「社内のブランドに過ぎないという問題ではなくオープンな情報にすべきではないか」と問題視。同じく有識者の北俊一氏(野村総研)も、一番混むランチタイムにどの程度の帯域幅が必要か、データが開示されれば検証できるなどと指摘。有識者側から、競争環境を検証するためのデータが足りないとの指摘が続いて、大手キャリアへ一層の透明化を求めた格好となった。
ドコモ、「大手キャリア間のMNPでキャッシュバック再燃」
今回は、大手キャリアが揃って意見を述べる機会となり、NTTドコモの大松澤清博取締役は月額980円のシンプルプランや、ウルトラシェアパック30を新設したこと、あるいは端末割引がないかわり月額利用料が安い「docomo with」を導入したことなどを示し、ドコモとしてガイドラインを遵守してきた実績を披露。SIMロックの解除件数も増加しているほか、MVNO向けの接続料も2008年度と比べてこの10年で1/20に大幅に値下げしたことなどを紹介。
その上で、最近では店頭で多額のキャッシュバックが行われている事例が散見される、と述べて、ドコモからの転出が増加し不公平な環境になってきたと指摘する。
これに携帯電話販売代理店の業界団体である、全携協(全国携帯電話販売代理店協会)の竹岡哲朗会長は、全国のキャリアショップの84%(約8300店のうち約7000店)が所属する全携協では、価格設定は、独禁法もあって基本的にショップ側の判断。もし売れ残った不良在庫があればそれも販売代理店側がリスクを取って処分する必要がある」と解説。ここにソフトバンク側からは「量販店で0円が多いかもしれないが、全携協のショップでは実施されていないのでは」とフォローする場面もあった。
今回の会合では、MVNOの1社としてトーンモバイルも出席。取締役の中村礼博氏は、サブブランドを含む大手3キャリアの寡占市場では競争が促進されず、5G時代には料金が高止まりしかねない、と懸念を示したほか、いわゆるキャリアメールは未だ連絡手段として重要視されておりMVNOへの乗り換えのハードルになっていると指摘。またMVNOが音声定額サービスを実現できるよう、音声定額対応の卸プランが必要と主張していた。
中古端末、大手キャリアは制限かけず
サブブランドに関する話題のほか、今回は中古端末についても有識者からの質問が大手キャリアに寄せられた。
たとえば日本国内で、大手キャリアが下取りした中古のスマートフォンや携帯電話が流通していないのでは、といった疑念がこれまでの会合で挙げられていたが、これに大手各社は下取りしたスマートフォンは仲介業者に渡した後の流通は把握していない、と回答。
またメーカー側から中古品の流通に関して、大手キャリアに拘束があるのか、という質問に、各社ともに今回は回答たり得る情報がなく確認する、というコメントに留まっていた。
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