元気ないい高齢者は必ずと言ってよいほど、背筋が良いことです。その好例に指揮者があげられます。
オーケストラの指揮者は、背筋だ伸びていて見るからに格好良く、しかも長寿を全うする人が多いように思います。85歳を超えた方の享年を見ても、ストコフスキー95歳、トスカニーニ90歳、モントー89歳、クレンペラー88歳、ベーム87歳、ワルター86歳、アンセルメ86歳、オーマンディー86歳など、世界の著名な指揮者は、長寿な人ばかりです。また、ピアニストのルビンシュタイン95歳、ホロビッツ85歳なども負けてはいません。
指揮者で忘れはならないのは、我が国の朝比奈隆氏です。高齢の指揮者の多くが椅子に座って指揮することが多い中で、朝比奈氏は93歳の最後の公演まで、立って指揮することにこだわったということです。また、101歳で関西フィルハーモニーの指揮をし、当時の世界最高齢現役指揮者、かつ声楽家として活躍した中川牧三氏(享年105歳)も特質すべき人物です。中川氏は100歳を超えても、歌い始めると背筋が伸び、また、そのおしゃれな服装も印象的でした。
肩を丸めて首を前に突き出したいわゆる猫背に姿勢は、重い頭を支える首の筋肉にコリや緊張が生じて血行が悪化し、また、胸が縮んで胸郭も圧迫されることから、脳の栄養である血液や酸素が届きにくくなります。反対に背筋を伸ばしたよい姿勢は、首周辺の血流を良くして胸を開き、脳の血液や酸素の供給を増やします。
また、米国ルイジアナ州立大学のカツマルジク博士は、デスクワークなどで椅子に座り続けるライフスタイルは寿命を縮める可能性があるとする論文を発表しています。そして、座る時間を1日3時間未満に抑えれば、平均寿命が2年延長する可能性があり、2型糖尿病や心臓病の発症リスクも押さえられると報告しています。
仕事などで座っている時間が長いと、どうしても背筋が曲がりがちです。仕事の合間に立ち上がって軽い運動をしたり、椅子を改良したりして、できるだけ背すじを伸ばす習慣をつける必要があります。また、パソコンやスマートフォンを使うことが多くなった昨今は、うつむく姿勢でする時間も長くなっています。猫背の不良姿勢が長く続くと身体を支える筋肉のバランスも崩れ、腰や関節への負担がかかり、やがて転倒・骨折や寝たきりの原因にもなります。
また、歩いている時の姿勢でも、一般に高齢者は、若者のように体感を床に対して垂直に保てず、どうしても前傾姿勢になります。このため歩幅が小さくなったり、段階でつまずいたりしやすくなり、やはり転倒が増えます。ある朽木も普段から背筋を伸ばし、目線を前に向け、視野の広い姿勢で歩くことを心がけたいものです。
【このカテゴリーの最新記事】
-
no image
-
no image
-
no image
-
no image
-
no image