中でも私はお勧めなのは、スロトレ です。
スロトレは、ゆっくりとしたスローな動きで行うトレーニング。効率よく筋肉を鍛えることができ、特に中高年の方に向いています。 その理由の一つは、運動中の血圧が必要以上に上がらないことです。
大学院生を対象とした私たち東京大学大学院研究室の測定では、トレーニングマシンを使ったハードな筋トレを行うと、運動中の血圧が240mmhgくらいまで上がります。この数値は、若い方にとってはそれほど問題ではないでしょうが、中高年の方、特に普段から血圧が高い方、動脈硬化に不安がある方にとっては少し危険です。 それがスロトレでは、平均で180mmhgくらいまでの上昇で抑えられます。
これは、どのような運動であっても「それくらいまで上がる」というレベルで、血圧の急上昇がないことがスロトレの大きなメリットの一つです。
スロトレのメリットは、効率が良いだけではありません。「血圧の急上昇を防ぐ」ことができるのはすでに説明しましたが、それに加え、ほかのトレーニングや運動に比べて「けがをしにくい」という特徴があります。
軽い負荷を用いた運動でも、素早く動くことは怪我の原因になります。この事実はプロ野球の投手が怪我をするケースが多いことからも想像できるのではないでしょうか。野球のボールはそれほど重い物ではありませんが、速いスピードで動作することによって瞬間的に関節に大きな力が加わり、結果として肩やひじなどの関節を痛めやすくなります。また、道具を使わない運動であっても(ジャンプを繰り返す)など瞬発的に筋力を発揮する運動を繰り返すと、関節や骨を痛めることが多くなります。一方、スロトレのようにゆっくりした運動は、瞬発的に大きな力が加わることはありません。その上、『その動きが関節にとって素直でよいフォームであること』を1回、1回の動作でチェックすることができ、「不用意に変な動きをしてけがをする」という危険を回避することができます。また、ゆっくりと動作するので、関節の角度を調整しやすいのも、スロトレの特徴の一つ。 「膝が痛い」などに関節に不安がある方は、痛くない範囲で行うことができます。
さらにきちんとチェックしながら、適切な関節の動かし方は身につくことにもつながります。
たとえば、スロトレでスクワットを行うと、歩くときや立ち上がる時に無理に膝をひねるような癖もなくなっていくでしょう。これは、将来的な関節の不調の予防に役立ちます。
スロトレは、瞬発力を高められないなど、トレーニングとしてのマイナス面もありますが、それは日常生活できびきびと動くように心がければカバーできる程度の問題。プラス面のほうが圧倒的に多く、『運動は何もしない』のとでは健康面で大きな差がつきます。 お金も、特別な道具も、広いスペースもないので、始めることに損はありません。まずは気軽に取り組んでみてはいかがでしょうか。
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