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2017年06月15日

イングランド時代、到来か。U−20W杯に見る世界と日本の勢力図

サッカーにおける世界の勢力図が、また変わるきっかけになるかもしれない。

 そんなことを思わずにはいられないほど、イングランドが見せたサッカーは美しく、そして強かった。



 韓国で開かれていたU−20W杯は6月11日、水原ワールドカップスタジアムで決勝が行なわれ、ベネズエラを1−0で下したイングランドが初の栄冠を手にした。カテゴリーを問わず、イングランドが世界チャンピオンになるのは、1966年W杯イングランド大会以来、実に51年ぶりのことだ。

 U−20イングランド代表のポール・シンプソン監督は、輝く優勝メダルを胸に、誇らしげに語る。

「勝因はシンプル。強いチームだったからだ。いい選手がいいプランに沿って行動し、コーチ陣はもちろん、メディカルなども含めていいスタッフがそれを支え、すべてがまとまってチームとして戦った結果だ」

 従来のイングランドというと、無骨なサッカーのイメージが強かった。テクニックよりフィジカル。細かくパスをつなぐよりも、ダイレクトにゴールへ向かう。そんなサッカーである。

 現在でこそ、世界中からスター選手が集まるプレミアリーグの影響もあり、そうした印象も薄れてきてはいる。それでも、やはり他のヨーロッパ諸国、特にスペイン、フランス、ドイツあたりと比べれば、繊細さに欠ける大味なサッカーの印象は否めない。

 ところが、今回20歳以下のW杯を制したチームは、そんな旧態依然としたイメージとは一線を画す。イングランドのサッカーは明らかに変わっていた。

 選手一人ひとりは、フィジカルでもテクニックでも高い能力を兼ね備えている。

 大会MVPに選ばれたFWドミニク・ソランケをはじめ、左サイドのアタッカーであるFWアデモラ・ルックマン、キャプテンでボランチのMFルイス・クックなど、名前を挙げ始めたらキリがないほどタレントぞろいで、しかもベストメンバーを固定する必要がないほど選手層は厚かった。

 それでいて、個人能力頼みになることなく、チームとしてしっかりとボールを動かしながら、相手の守備を崩していくことができるのだ。

 振り返ってみると、グループリーグ初戦のアルゼンチン戦を終え、シンプソン監督が口にしていた言葉が興味深い。

「このチームはフィジカルが強く、ハードワークができる。だが、同じようにテクニックを持っていることも見せたいし、組織的にプレーできるところも見せたい。今日の試合ではそれらは十分ではなかったが、アルゼンチンに対して規律を見せることができた」

 実はこの大会初戦、今にして思えば、イングランドの出来はそれほどよくなかった。アルゼンチンに押し込まれ、多くの時間を劣勢のなかで過ごした。効率よくゴールを重ね、3−0で勝利したものの、得点の仕方は従来のイングランドのイメージと大きく変わらないものだった。

 しかし、指揮官は試合後、自分たちの武器はこれだけではないと言い切った。事実、その後の試合で、それが単なる強がりではなかったことを証明してみせた。



なかでも圧巻だったのは、イタリアとのヨーロッパ勢対決となった準決勝である。試合は、”ウノゼロ(1−0の勝利)”の美学を持つ試合巧者を相手に、開始わずか2分にして先制を許すという最悪の展開でスタートした。

 ところが、イングランドはまったく慌てることがなかった。ボールを保持し続け、丹念にパスをつなぎ、イタリアが敷く鉄壁の守備網に少しずつ綻(ほころ)びを作っていった。

 イタリアがイングランドの2ボランチにプレッシャーをかけようと寄せてくれば、2ボランチがサイドバックの位置に落ちてボールを受け、サイドバックを高い位置に押し出すと、イタリアの守備が手薄になった中盤にサイドハーフが落ちてきてタテパスを引き出す。

 あるいは、これを警戒して、イタリアがボランチへのプレスを緩めれば、ボランチが楽にボールを受けて前線に配給する。

 4−4−1−1の布陣から変幻自在にポジションを変えてボールを動かすイングランドに対し、さしもの試合巧者も誰が誰をどうマークしていいのかがわからなくなり、混乱に陥る。ボールの奪いどころを定められなくなったイタリアは、次第に後退していくしかなかった。その結果が、66分、77分、88分にゴールを重ねての3−1の逆転勝利である。

 そこで展開されていたのは、サッカーの母国には失礼ながら、およそイングランドらしからぬ流麗なポゼッションサッカーだった。

 U−20イタリア代表のアルベリコ・エヴァーニ監督が、「前半に多くのエネルギーを使ってしまい、後半は動けなくなり、ボールを奪えなくなった」と話していたが、シンプソン監督からすれば、「ボールポゼッションを高め、イタリアの選手を走らせてダメージを与えたことが、ラスト25〜30分に利いた」結果だった。

 今大会を見ていて思い出したのは、2009年にスウェーデンで行なわれたU−21ヨーロッパ選手権である。

 この大会、GKマヌエル・ノイアー、DFマッツ・フンメルス、DFジェローム・ボアテング、MFメスト・エジル、MFサミ・ケディラらを擁したドイツは、見事にヨーロッパチャンピオンの座に就いた。優勝という結果が称賛に値するのはもちろんだったが、それ以上にインパクトを残したのは、ドイツが展開したサッカーの内容だった。

 ドイツもまた、前述したイングランド同様、そのサッカーにはどちらかというとテクニカルなイメージが薄く、フィジカル重視の大味な印象が強かった。

 ところが、このチームは違った。ピッチ上の誰もが柔らかなボールコントロールを見せ、パスをつないで攻撃を組み立てることができる。まさにそれは、テクニック重視のポゼッションサッカーだったのだ。

 その後、彼らを中心に大きくイメージを変えたドイツのサッカーが、ユーロやW杯でどんな成績を残していったかは言うまでもないだろう。

 もちろん、U−21(名称は21歳以下だが、実際の出場資格は23歳以下)とU−20というカテゴリーの違いはある。今大会でのイングランドの成果が、U−21のドイツと同じようにA代表につながるかどうかはわからない。その意味で言えば、現段階でイングランドのサッカーが変わった、とまでは言い切れないのかもしれない。



だが、すでに変わりつつあることは、今大会を見れば明らかだ。シンプソン監督が語る。

「私の口から、彼らが特別な世代だと言うことは難しい。だが、この21名のグループは才能ある選手たちがそろい、素晴らしいサッカーをしたことは間違いない。もちろん、将来のことはどうなるかわからないが、これからが楽しみだ。この優勝がイングランドのサッカーにとってポジティブな要因になることを望んでいる」

 大きくスタイルチェンジして成功を収めたドイツのように、イングランドもまた、1966年以来となる本当のW杯を手にする日が、近い将来やってくる。そんなことを想像させるに十分な大会だったのではないだろうか。

 最後に、決勝トーナメント1回戦(ベスト16)で敗れた日本についても少し触れておきたい。

 グループリーグで日本と同組になったウルグアイ、イタリアがそろってベスト4に進出したことを考えると、日本はかなり厳しいグループに入ったと言っていい。そのなかで3位とはいえ、最大目標であった決勝トーナメント進出を果たしたことは評価に値する。

 ただし、過大評価は禁物だ。日本が2−2で引き分けたイタリアが3位に、延長の末に0−1で敗れたベネズエラが準優勝したことで、日本もベスト4進出と紙一重の力があったかのように思いたくなるが、そうした見方はあまりにも短絡的だ。

 実際、イタリアが優勝候補と目された(それだけの実力もあった)フランスを2−1で下した決勝トーナメント1回戦は、残念ながら日本戦とはまったく次元の異なる試合だった。強度の高いプレーの連続のなか、相手の長所を消しながらスキを突く。そのレベルの高さは、20歳以下の試合とは思えないほどだった。

 ベネズエラにしても、準決勝ではウルグアイを、決勝ではイングランドをジワジワと追いつめていく攻撃に、日本戦では感じなかった迫力があった。最大7試合を戦えるだけの体力的余力があったかという疑問もあり、日本が決勝まで行っていても不思議はなかったと考えるのは、贔屓(ひいき)目が過ぎる。

 本気で東京五輪でのメダル獲得を目指すなら、わずか3年間で詰めなければならない差は相当に大きい。そう認識しておくべきである。
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