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重症患者向けに開発された「ゾレア」（一般名オマリズマブ）は、抗IgE抗体医薬になります。花粉症は、IgE抗体がマスト細胞に結合して起こります。ゾレアは、この結合を防ぐ働きがあります。

■投与できる人とは？

ゾレアは本人が使いたいと思っても、決まった条件をクリアしないと使えません。まず、スギ花粉に特異的なIgE抗体が認められること。アレルギー検査（血液検査）でスギ花粉抗原に対する血清特異的IgE抗体がクラス3以上でゾレアの投与対象となります。

次に、抗ヒスタミン薬や鼻噴霧用ステロイドといった既存治療を1週間以上行い、効果が不十分であること。ちなみに、ゾレアを使う場合も、抗ヒスタミン薬は併用することになります。

ゾレアは注射薬で体重に応じて量が決まっており、2週間または4週間に1度皮下注射します。

■ゾレアの効果は？

臨床研究では、花粉飛散前から抗ヒスタミン薬を服用し、症状が出てから鼻噴霧用ステロイドを使った患者さんのグループでは、花粉飛散のタイミングでは鼻症状が7点近くまで達したのに対し、ゾレアを併用した群では5点近くまでしか上がりませんでした。しかも、症状が花粉飛散前と同等のスコアまで速やかに戻ったのです。従来薬ではどうしようも対応できなかった重症患者さんにとっては、かなり期待できる薬です。

■薬以外の対策も必要か

スギ花粉のシーズンが終わるのは5月の連休が明ける頃。今年は花粉の飛散時期が早かったものの、終わる時期は例年ほぼ同じです。それまで自分に合った薬を用いての対策が必要。もちろん、花粉を極力吸い込まない、体につけない、家の中に入れないといった、基本的な対策も忘れてはいけません。

■花粉は完治できる？

花粉症シーズンが終わったら、完治させたい人はスギ花粉のエキスを少しずつ体内に入れる免疫療法という治療法を検討してもいいでしょう。皮下に注射で投与する皮下免疫療法と、舌の裏側から投与する舌下免疫療法があります。いずれも保険適用。治療期間が3〜5年と長期にわたり、すべての人が完治するわけでないことがネックですが、試してみる価値のある治療だと考えています。 

花粉症の治療法にはいくつかの方法があり、一般的な治療法には、以下のようなものがあります。

■抗ヒスタミン薬

抗ヒスタミン薬は、アレルギー症状を軽減するために使用されます。これらの薬は、くしゃみ、鼻水、かゆみなどの症状を和らげるのに役立ちます。市販されている多くの抗ヒスタミン薬がありますが、医師の指示に従って適切なものを選択する必要があります。

■副腎皮質ステロイド

重症の症状を持つ患者には、副腎皮質ステロイドが処方される場合があります。これらの薬は、炎症を軽減し、くしゃみや鼻づまりなどの症状をコントロールするのに役立ちます。ただし、長期間の使用は副作用を引き起こす可能性があるため、医師の指示に従って使用する必要があります。

■局所鼻スプレー

鼻づまりを和らげるために局所的に使用される鼻スプレーもあります。これには、抗ヒスタミン成分や副腎皮質ステロイドが含まれるものがあります。

■免疫療法

重症の花粉症の場合、免疫療法が考慮されることがあります。免疫療法は、アレルゲンに対する体の反応を変えることを目的としています。これにより、アレルゲンに対する過剰な反応が抑制され、症状が緩和される可能性があります。

まとめ

花粉症の症状を軽減するためには、予防策も重要です。例えば、花粉の多い季節には屋外活動を制限する、帰宅後に衣類を換える、エアコンを使用して室内の空気をきれいに保つ、などの対策が効果的です。どの治療法が最適かは、個々の症状や病状、患者の健康状態によって異なります。医師と相談し、適切な治療法を見つけることが重要ですが、どの薬も効かないなどあれば新たな薬も試すのも1つの手でしょう。