2021年01月08日
格安避妊薬に注意!オンライン診療の落とし穴
いつも当ブログをお読みいただき、ありがとうございます。
先日、オンライン診療に関して、とても気になる記事を読みました。
今日は女性の健康とオンライン診療について、真剣に考えてみたいと思います。
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経口避妊薬としてよく知られている「ピル」。もしあなたが女性なら、一度はこの薬を使ってみたい、と思ったことはありませんか?
以前は、ピルを手に入れるためには婦人科を受診して、医師に処方箋を発行してもらう必要がありました。しかし婦人科へ行くのは恥ずかしい、病院へ行く時間がない、診療費が心配、といった理由で、なかなか手を出せない女性も多かったはず。私自身、一時ピルを服用していた時期がありましたが、初めて婦人科を受診するときは相当な勇気がいりました。
最近では「オンライン診療」が普及したおかげで、簡単にピルが手に入るようになりました。スマホやパソコンで医師の診察を受けるだけで、最短で翌日に自宅までピルが届くようになったのです。しかし、その一方で国内では承認されていない「未承認薬」が出回るという、新たな問題が起きています。
ここではオンライン診療について、また未承認薬の危険性についてご紹介したいと思います。オンラインでピルの入手を検討している女性、あるいは、すでに定期的にオンラインのサイトからピルを取り寄せている女性も、是非ご一読ください。
株式会社ネクイノ代表取締役石井健一氏の告発
2020年12月末に、株式会社ネクイノ代表取締役の石井健一氏が、未承認薬を処方するオンライン診療サイトについて「健全な競争と、不健全な競争」と題した記事を発表し、問題提起をされました。
ネクイノ社とは、2018年6月よりピルの処方に特化したオンライン診察サイト「スマルナ」を運営し、2020年12月時点でアプリ39万ダウンロードという実績を持つ会社。医療相談からオンライン診察・医薬品の配送までを一括で行うサービスを提供しています。
次に、その告発の内容をまとめました。
「健全な競争と、不健全な競争」概要
新型コロナの流行を機にオンライン診療が普及するようになった。だが、たとえオンライン診療であっても「科学的根拠に基づいた」安全性や、信頼性は絶対に守らなければならない。しかし一部のオンライン診察サイトは、国内で未承認の医薬品を国内正規医薬品よりも安い価格でユーザーに処方している。
このような状態はアンフェアな競争環境の中で顧客を獲得し、囲い込んでいくという仕組みを作りあげるので、結果的には市場を狭めてしまい、ユーザーにとって好ましくない状況が生まれることになる。
そのサイトとは
@株式会社Linc'wellが運営する「クリニックフォア」
A株式会社NextParadigmが運営する「AnyPill」
である。
スマルナのユーザーからの問い合わせにより、この2社がMSD株式会社の経口避妊薬「マーベロン」の海外製品、つまり非承認薬を処方・販売していることが明らかになった。これはユーザーに重大な健康被害をもたらす可能性があり、本当に危惧すべき状態である。
国内で未承認の医薬品は、「物質的」にも「原材料から最終製品までの生産プロセス」についても承認を受けていない。たとえそれが海外で流通しているものであっても「いかなる人や組織も品質を保証できない」代物である。
つまり「クリニックフォア」や「AnyPill」のようなサイトは
@承認を受けていない海外製の医薬品を安易に提供する
A「価格差」を理由に処方を行うことについて「安全性の確保」「そのリスクについての説明と同意を行っていない」
という点において、医療サービス従事者として最低限の責務を果たしているとは言えず、ユーザーに多大なリスクを押し付けているのである。
また、医師が国内で承認されていない医薬品を処方するためには、以下の3つの条件を満たしていなければならない。
@治療上緊急性が認められる
A国内に代替品が流通していない
B輸入した医療従事者が自己の責任のもと、自己の患者の診断または治療に供するものである
しかし、「クリニックフォア」及び「AnyPill」は、国内に代替品が流通している薬(=マーベロン)を処方しており、このような行為は薬機法に抵触する「違法行為」に当たる。
もし、この未承認薬が原因でユーザーに重大な健康被害が起こった場合は、このような事業者を支援してきた投資家もその責任を負うべきである。
オンライン診療の普及とネットの盲点
石井氏の記事を読んで私が最初に感じたことは、ネットの世界ではどのような分野でも、まだまだ法律の整備が追いついていない、ということです。特に「オンライン診療」はコロナの感染拡大を機に急速に普及した制度であり、十分な知識を待たないまま利用している人も多いのではないでしょうか。
服や靴や食料品や家具、車、そして家に至るまで、今やあらゆるものがネットで買える時代になりました。そして誰しもネットで買い物をするときは(もちろん私もそうですが)なるべく価格の安いサイトで買おうとするのが普通です。
ネットでピルを買う場合も同じ、1円でも安いサイトで買いたいのがユーザーの本音です。しかし医薬品を値段だけで選ぶのは、他の商品とは違って大きな危険が伴います。
「健全な競争と、不健全な競争」の中で石井氏も少し触れておられますが、2020年12月、水虫の治療薬に睡眠導入剤成分が混入し、服用した70代の女性が死亡するという事件がありました。この女性の他にも、服用後に意識を失う・ふらつくなどして救急搬送された人、入院した人、自動車などの事故に遭った人が数多くいたそうです。
この薬は福井県の製薬会社が販売した国内製造薬ですが、厚生労働省の承認を得ていない工程で製造されていたとのこと。チェックが厳しいはずの国内製造品でさえ、このような事件が起きるのです。まして国が認めていない海外製の医薬品がどのような健康被害を及ぼすのか、誰にも予測はできません。
特にピルのように、ユーザーに若い女性が多い場合は、安さに潜む危険性に気付きにくいのだと思います。たとえ海外で流通していても、国内で未承認の薬を服用することがどれほど危険なことか、全く気付かないまま服用している女性も多いのではないでしょうか。
オンライン診療サービスを選ぶ際のポイント
ではオンライン診療を利用する際に、どのようなクリニックを選べばいいのでしょうか。「つなぐクリニックTOKYO」の記事を参考に、いくつかポイントを紹介したいと思います。
・ビデオ通話で診察してくれるか
電話のみの診療では患者の顔色や表情がわかりにくいので、きちんとビデオ通話で顔を見ながら診察してくれるクリニックがおすすめ。
・予約制かどうか
予約制でないクリニックは対面の患者を優先していると考えられ、オンライン診療に消極的な可能性があります。
・保険外負担の費用は適切か
オンライン診療はほとんどの場合、保険外負担として別途料金を設定しています。一診療当たりの相場1,500円〜2,000円を目安に。
・薬の処方可能日数が長いか短いか
クリニックによっては、紹介状やカルテがないと7日分の薬しか処方しくれない場合があります。しかしICT化(Information and Communication Technology=情報伝達技術)を進めているクリニックでは1か月〜2か月分の処方が可能なところもあるので、特に慢性疾患の患者さんはこの点に留意して。
・薬は院内処方か院外処方か
「院内処方」はクリニックにある薬しか処方してもらえないが費用が安い、「院外処方」は薬局へ薬を受け取りに行く手間がかかる・配送料がかかるというデメリットがあるが全ての薬を処方してもらえる、という特徴があります。これは個人個人が自分に適しているほうを選ぶしかないようです。
他にも、「オンライン診療だけでなく対面診療も可能か」「担当医師との相性は良いか」といったポイントがあげられています。
安全なサイトで安全な医薬品を
そして最後にもう一つ、オンライン診療サービスを選ぶポイントとして「安全な医薬品を処方してくれるかどうか」を付け加えたいと思います。
値段の安さを武器に、法律の不備やユーザーの知識不足を利用したような方法で販売をするサイトは、やはり良質なサイトとは言えません。しかしネットの世界に法律の整備が追いついていない現状では、ユーザー一人一人が厳しい目でサイトを選び、自分で自分を守るしか術がないのです。
ネットで買い物をするユーザー、特にオンライン診療などで医薬品を購入しようとするユーザーは、是非正しい知識を身につけ、安全なサイトで購入していただきたいと思います。
最後にピルのオンライン診療サービス比較のURLをご紹介しておきますので、是非参考にしてください。
ピルのオンライン診療サービス比較:https://pill-hikaku.com/
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
参照サイト:
健全な競争と、不健全な競争
https://note.com/kenichi141/n/n445dbfdc3301#CYotb
jiji.com
https://www.jiji.com/jc/article?k=2020121200124&g=eco
つなぐクリニックTOKYO
https://www.sumahoshin.or.jp/lab/online-medicalcare/how-to-choose/
先日、オンライン診療に関して、とても気になる記事を読みました。
今日は女性の健康とオンライン診療について、真剣に考えてみたいと思います。
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経口避妊薬としてよく知られている「ピル」。もしあなたが女性なら、一度はこの薬を使ってみたい、と思ったことはありませんか?
以前は、ピルを手に入れるためには婦人科を受診して、医師に処方箋を発行してもらう必要がありました。しかし婦人科へ行くのは恥ずかしい、病院へ行く時間がない、診療費が心配、といった理由で、なかなか手を出せない女性も多かったはず。私自身、一時ピルを服用していた時期がありましたが、初めて婦人科を受診するときは相当な勇気がいりました。
最近では「オンライン診療」が普及したおかげで、簡単にピルが手に入るようになりました。スマホやパソコンで医師の診察を受けるだけで、最短で翌日に自宅までピルが届くようになったのです。しかし、その一方で国内では承認されていない「未承認薬」が出回るという、新たな問題が起きています。
ここではオンライン診療について、また未承認薬の危険性についてご紹介したいと思います。オンラインでピルの入手を検討している女性、あるいは、すでに定期的にオンラインのサイトからピルを取り寄せている女性も、是非ご一読ください。
株式会社ネクイノ代表取締役石井健一氏の告発
2020年12月末に、株式会社ネクイノ代表取締役の石井健一氏が、未承認薬を処方するオンライン診療サイトについて「健全な競争と、不健全な競争」と題した記事を発表し、問題提起をされました。
ネクイノ社とは、2018年6月よりピルの処方に特化したオンライン診察サイト「スマルナ」を運営し、2020年12月時点でアプリ39万ダウンロードという実績を持つ会社。医療相談からオンライン診察・医薬品の配送までを一括で行うサービスを提供しています。
次に、その告発の内容をまとめました。
「健全な競争と、不健全な競争」概要
新型コロナの流行を機にオンライン診療が普及するようになった。だが、たとえオンライン診療であっても「科学的根拠に基づいた」安全性や、信頼性は絶対に守らなければならない。しかし一部のオンライン診察サイトは、国内で未承認の医薬品を国内正規医薬品よりも安い価格でユーザーに処方している。
このような状態はアンフェアな競争環境の中で顧客を獲得し、囲い込んでいくという仕組みを作りあげるので、結果的には市場を狭めてしまい、ユーザーにとって好ましくない状況が生まれることになる。
そのサイトとは
@株式会社Linc'wellが運営する「クリニックフォア」
A株式会社NextParadigmが運営する「AnyPill」
である。
スマルナのユーザーからの問い合わせにより、この2社がMSD株式会社の経口避妊薬「マーベロン」の海外製品、つまり非承認薬を処方・販売していることが明らかになった。これはユーザーに重大な健康被害をもたらす可能性があり、本当に危惧すべき状態である。
国内で未承認の医薬品は、「物質的」にも「原材料から最終製品までの生産プロセス」についても承認を受けていない。たとえそれが海外で流通しているものであっても「いかなる人や組織も品質を保証できない」代物である。
つまり「クリニックフォア」や「AnyPill」のようなサイトは
@承認を受けていない海外製の医薬品を安易に提供する
A「価格差」を理由に処方を行うことについて「安全性の確保」「そのリスクについての説明と同意を行っていない」
という点において、医療サービス従事者として最低限の責務を果たしているとは言えず、ユーザーに多大なリスクを押し付けているのである。
また、医師が国内で承認されていない医薬品を処方するためには、以下の3つの条件を満たしていなければならない。
@治療上緊急性が認められる
A国内に代替品が流通していない
B輸入した医療従事者が自己の責任のもと、自己の患者の診断または治療に供するものである
しかし、「クリニックフォア」及び「AnyPill」は、国内に代替品が流通している薬(=マーベロン)を処方しており、このような行為は薬機法に抵触する「違法行為」に当たる。
もし、この未承認薬が原因でユーザーに重大な健康被害が起こった場合は、このような事業者を支援してきた投資家もその責任を負うべきである。
オンライン診療の普及とネットの盲点
石井氏の記事を読んで私が最初に感じたことは、ネットの世界ではどのような分野でも、まだまだ法律の整備が追いついていない、ということです。特に「オンライン診療」はコロナの感染拡大を機に急速に普及した制度であり、十分な知識を待たないまま利用している人も多いのではないでしょうか。
服や靴や食料品や家具、車、そして家に至るまで、今やあらゆるものがネットで買える時代になりました。そして誰しもネットで買い物をするときは(もちろん私もそうですが)なるべく価格の安いサイトで買おうとするのが普通です。
ネットでピルを買う場合も同じ、1円でも安いサイトで買いたいのがユーザーの本音です。しかし医薬品を値段だけで選ぶのは、他の商品とは違って大きな危険が伴います。
「健全な競争と、不健全な競争」の中で石井氏も少し触れておられますが、2020年12月、水虫の治療薬に睡眠導入剤成分が混入し、服用した70代の女性が死亡するという事件がありました。この女性の他にも、服用後に意識を失う・ふらつくなどして救急搬送された人、入院した人、自動車などの事故に遭った人が数多くいたそうです。
この薬は福井県の製薬会社が販売した国内製造薬ですが、厚生労働省の承認を得ていない工程で製造されていたとのこと。チェックが厳しいはずの国内製造品でさえ、このような事件が起きるのです。まして国が認めていない海外製の医薬品がどのような健康被害を及ぼすのか、誰にも予測はできません。
特にピルのように、ユーザーに若い女性が多い場合は、安さに潜む危険性に気付きにくいのだと思います。たとえ海外で流通していても、国内で未承認の薬を服用することがどれほど危険なことか、全く気付かないまま服用している女性も多いのではないでしょうか。
オンライン診療サービスを選ぶ際のポイント
ではオンライン診療を利用する際に、どのようなクリニックを選べばいいのでしょうか。「つなぐクリニックTOKYO」の記事を参考に、いくつかポイントを紹介したいと思います。
・ビデオ通話で診察してくれるか
電話のみの診療では患者の顔色や表情がわかりにくいので、きちんとビデオ通話で顔を見ながら診察してくれるクリニックがおすすめ。
・予約制かどうか
予約制でないクリニックは対面の患者を優先していると考えられ、オンライン診療に消極的な可能性があります。
・保険外負担の費用は適切か
オンライン診療はほとんどの場合、保険外負担として別途料金を設定しています。一診療当たりの相場1,500円〜2,000円を目安に。
・薬の処方可能日数が長いか短いか
クリニックによっては、紹介状やカルテがないと7日分の薬しか処方しくれない場合があります。しかしICT化(Information and Communication Technology=情報伝達技術)を進めているクリニックでは1か月〜2か月分の処方が可能なところもあるので、特に慢性疾患の患者さんはこの点に留意して。
・薬は院内処方か院外処方か
「院内処方」はクリニックにある薬しか処方してもらえないが費用が安い、「院外処方」は薬局へ薬を受け取りに行く手間がかかる・配送料がかかるというデメリットがあるが全ての薬を処方してもらえる、という特徴があります。これは個人個人が自分に適しているほうを選ぶしかないようです。
他にも、「オンライン診療だけでなく対面診療も可能か」「担当医師との相性は良いか」といったポイントがあげられています。
安全なサイトで安全な医薬品を
そして最後にもう一つ、オンライン診療サービスを選ぶポイントとして「安全な医薬品を処方してくれるかどうか」を付け加えたいと思います。
値段の安さを武器に、法律の不備やユーザーの知識不足を利用したような方法で販売をするサイトは、やはり良質なサイトとは言えません。しかしネットの世界に法律の整備が追いついていない現状では、ユーザー一人一人が厳しい目でサイトを選び、自分で自分を守るしか術がないのです。
ネットで買い物をするユーザー、特にオンライン診療などで医薬品を購入しようとするユーザーは、是非正しい知識を身につけ、安全なサイトで購入していただきたいと思います。
最後にピルのオンライン診療サービス比較のURLをご紹介しておきますので、是非参考にしてください。
ピルのオンライン診療サービス比較:https://pill-hikaku.com/
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
参照サイト:
健全な競争と、不健全な競争
https://note.com/kenichi141/n/n445dbfdc3301#CYotb
jiji.com
https://www.jiji.com/jc/article?k=2020121200124&g=eco
つなぐクリニックTOKYO
https://www.sumahoshin.or.jp/lab/online-medicalcare/how-to-choose/