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日曜東京〜第54回アルゼンチン共和国杯(GU)

土曜日は東西で2歳牡牝の重賞が行われ、日曜日には古馬の芝ダートそれぞれ重要な意味を持つ重賞が行われる。アルゼンチン共和国杯の予想を中心に見ていきたいとは思うが、まずは土曜京都のファンタジーSにもちょっと注目したい。

あの年日欧で「怪物」が豊作だった。「欧」の怪物、しかも日本でちょっと強い競馬をすると「怪物」がやたらと安売りされてしまう印象があるが、あちらは掛け値なしの本物の「怪物」、その娘が、注目のデビュー2戦目を迎える。

もちろん「怪物の娘」とは、他とはまったく違いますよというとてつもない可能性を感じさせたミスエルテ(母の父プルピット)であり、その父の名は、14戦無敗のまま引退した「欧州版オルフェーヴル」のフランケル(その父ガリレオ)である。

デビュー戦は、阪神外回りの稍重の芝のマイル戦を、かかっているというよりは、他とはまったくスピードが違うといった雰囲気の行きっぷりで中団に構え、直線では外に出してまったく追ったところなしの大楽勝だった。今回1F距離が短縮されてもまず問題ないだろう。

血統的には猛時計がマークされる日本の競馬で将来どこまで・・・の不安がないわけではないが、おそらくここは楽々通過できるレベルの通過点だろう。今なら1400でも大丈夫のはず。フランケルの初年度産駒のおそらくこれが日本での代表格・・・期待しかない。ここはなんとしても通過してほしい。

また、日曜京都ダートのみやこSのほうも、北米三冠レースすべてに出走して貴重な経験を得た芦毛のラニはもちろんだが、個人的にはやや重度だった骨折から2度目の復帰戦となり、今度こそ順調に行ってほしいインカンテーションの走りに、結果はともかく注目したい。

ということで、ここからは「馬券」に注目してAR共和国杯の予想に入ろう。

府中の芝2500mのハンデ戦という特殊で難しい条件となるAR共和国杯だが、モーリス、ゴールドアクターらを輩出したスクリーンヒーロー(父グラスワンダー)は別格としても、これまでに天皇賞馬アドマイヤジュピタ、トーセンジョーダンや、なんといっても昨年続く有馬記念を制したゴールドアクターがこのレースをステップとしてGTウィナーの仲間入りを果たしている。

実は、難しいAR共和国杯を予想する上で、この事実はかなり重要な意味を持ってくる。もちろん今年の勝ち馬が、上記の馬たち同様出世を約束されているわけではない。ただ、厳しい長距離GTや猛ペースを押し切った中距離GT、ましてや厳しいローテのジャパンCや有馬記念をこのレースの勝ち馬が制してしまうのは、単なる偶然ではない。

近年府中の2400m戦は、主にディープインパクト産駒ではあるが、牝馬の台頭が著しい。少し前のウオッカまでさかのぼると、実はここ10年で、かつて日本で最も底力を必要とするとされた府中の芝2400mGTを、全体の3割にも相当する「6回」も牝馬が制しているのである。

もちろん牝馬が国内最高峰レースを勝ったところで悪くはないし、ウオッカやジェンティルドンナのようなとてつもない牝馬が現れた偶然もあるが、今東京競馬場の良馬場の芝コースは、2400m戦なら割と誰でも走れてしまう可能性がもしかしたら高いのかもしれないという気がする。

実は現在は、「府中の芝2500m」こそ、最も底力を要するコースになっているのではないか・・・という憶測も、上記のGTホースたちの活躍から成り立たなくもない。今年も、そういうタフなコースでこそ・・・のタイプに注目したい。

ダイワメジャー産駒の芦毛・プレストウィック(54kg)にした。ダイワメジャー産駒というと、自身がそうだったように、産駒にもスピードが伝わるケースが多いが、プレストウィックの走りは完全に母方の血が影響している。

母の父リナミクス(その父メンデス)は、自身はマイル〜中距離のスピードタイプだったが、フランスで2度のリーディングサイアーに輝き、代表産駒サガミクスは日本でもおなじみのO・ペリエで凱旋門賞を勝っている。先日の凱旋門賞でも、その産駒である牝馬のシルジャンズサガという芦毛が4着と健闘していた。

フランスの競馬自体がそうだが、やはりヨーロッパの血は、サンデーサイレンスに代表されるアメリカのパワーとスピードというタイプよりも、苦しくなって最後の最後のひと踏ん張りが利くシブい血のイメージ。そういう血が府中の2500mで良さにつながるのではないか。

ちなみに日本でも種牡馬として活躍したメンデスの芦毛は、必ず産駒に芦毛が伝わる特殊な遺伝子によるらしい。プレストウィックの芦毛もメンデス由来の芦毛である可能性が高い。だからどーしたという話ではあるが。

前走は札幌の芝2600m戦をルメールで敗れていたが、あれは池添騎手にうまく乗られてしまった印象が強い。今回は若い石川騎手の思い切った騎乗にも期待したい。そしてそういう競馬をしたときにこそ、この馬の良さが出そうな気がする。

相手は非常に難しいが、久々に蛯名騎手に乗り替わってきた55kgレコンダイト(父ハーツクライ)にした。年齢を重ねてから徐々にズブさを見せており、若いころとちがってある程度距離がないと結果が出なくなってきている。長距離冷遇の時代だけに、こういう特殊な距離のレースでは、蛯名騎手とのコンビ復活が大きなプラスになるはず。

レコンダイトを推すのを迷った理由は、やはりこのレースは「先につながる馬」を探したい意図があるから。もちろんレコンダイトに先がないわけではないが、もっとフレッシュな馬を本当なら狙いたいところ。

まだまだ実力不足は明らかだが、51kgならもしや・・・の可能性を重視して、将来楽しみなステイゴールド産駒トレジャーマップを少し買ってみたい。まだ準オープンの身ながら格上挑戦の形だが、しかしこの馬を知るファンは多い。なぜなら、トレジャーマップはあのゴールドシップの全弟だからである。

正直兄にはあまり似てほしくはなかったのだが、近走は兄と似たような「まくり」が板についてきている。いくら51kgとはいえ、さすがに府中の2500mをまくり切れる馬はいない。内枠だけに、ある程度位置にこだわって、吉田豊騎手には乗ってもらいたい。スタミナ勝負になれば、チャンスがなくはないはず。

押さえは58kgでもシュヴァルグラン(父ハーツクライ)の実績は揺るがないし、前が速くなるときにはムスカテール(父マヤノトップガン)のシブい末脚にも魅力、行けばしぶとい57kgクリールカイザー(父キングヘイロー)、58kgフェイムゲーム(父ハーツクライ)は去勢の効果が現れると怖い。あとは一発に託したときのショウナンバッハ(父ステイゴールド)はあくまでも展開待ちか。

人気しそうなモンドインテロ(父ディープインパクト)は、前走札幌芝2600m戦では、大楽勝かに思われながら最後は実力馬トゥインクルに詰められ、かなり苦しい競馬だった。府中の芝2500mは、展開によっては少し疑問符がつく気もするのだが・・・

◎ プレストウィック
〇 レコンダイト
▲ トレジャーマップ
△ フェイムゲーム、シュヴァルグラン、クリールカイザー、ムスカテール、ショウナンバッハ
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