2018年02月03日
2/8(木)朝英語の会梅田のテーマ:小室哲哉氏の引退の波紋〜メディアの役割&介護家族へのサポート
The Japan Times On Sunday
来週2/8(木)の「朝英語の会梅田@スタートアップカフェ大阪」は小室哲哉氏の引退に関わる様々な社会的問題について論じます。利用する記事は1/30に紙面で発表された以下のものです。
Let’s discuss Tetsuya Komuro’s retirement
https://www.japantimes.co.jp/life/2018/01/29/language/lets-discuss-tetsuya-komuros-retirement/#.WnV6QaiWbIV
成功と名声をを欲しいままにした才能溢れる音楽家である小室氏の私生活に関するスキャンダルがスクープされました。その結果として「小室氏引退」となったわけですが、ここ数年日本のメディア報道が陥っているお決まりのバターンがあります。まず週刊誌が勢いのある有名人の醜聞、特に男女関係のものをスクープし記事にする。→それがTVのワイドショーで繰り返し取り上げられ、SNS等でも拡散する→スクープされた当人が何らかの謝罪をしたり、経歴詐称や違法性のある場合はしばらく活動を停止する、といった具合です。
しかし、小室氏のスキャンダル報道には、これまでとは違う4つの要素がありました。何より小室氏が90年代の日本の音楽シーンに大きな影響を与えた超大物アーティストであったこと、2番目に若くして病気を患い介護が必要になった才能ある歌手だった妻の存在、そしてご当人も病気を患い、妻の看病と合わせて心身ともに疲弊していたこと、そしてこの醜聞を契機として引退を表明したことです。
小室氏の今回の引退騒動には以下の複数の考えるべきテーマがあると思います。
1. メディアの役割とは何か?
個人の醜聞をも商業的娯楽として消費していくのか。 或いはメディアはまだ権力の番犬として公人(有名人?)が不当に権力を乱用するのを阻止する力を持っているのか?後者はハリウッドの大物プロデューサーであったハービー・ワインスタイン氏がニューヨークタイムズ紙の調査報道により過去の不当行為の告発を受けたことから始まったMetooムーブメントが良い例です。
2. 言論の自由
民主主義国では言論の自由が保障され、その自由な言論活動により、権力を監視し、エンターテインメントをはじめとする市場経済活動を発展させてきたという自負があります。ただ、近年問題になってきているのは言論の自由の名のもとにメディアは個人のプライバシーを暴き、それを流布する権利があるのかということです。 公私の活動の境界線は何処にあるのか。また、近年は一般人がSNSでも簡単に情報を拡散できるようになったのですが、デマやヘイトスピーチなど、明らかに「言論の自由」と「公共の利益」「社会的弱者の利益」が相反する事態になってきています。私達はどのようにそれと折り合いをつけていくのでしょうか?
3. 社会的包摂―新しい社会政策
また小室氏の事件で見逃せないのは引退に至った個人的・社会的背景です。妻の看護と自分自身の病気を抱えて小室氏自身は相談相手も少なく、深い孤独に悩まされていたのではないかということです。小室氏の引退は彼のように経済的に恵まれた人でも介護者には大きな精神的・肉体的負担があるということを改めて社会に認識させることになりました。社会問題となっている介護離職を防ぐための介護家族へのサポート 、心のケア 、要介護者への更なる支援 、孤独感への対処やそれを支える地域 コミュニティの役割なども見直していく必要がありそうです。また働き方改革と一体になったワークライフバランスの課題もこの議論に含まれると思います。
以上ざっと議論の要点を挙げていきましたが、参考になるような記事は以下のとおりです。
Loneliness: The cost of the 'last taboo'
http://www.bbc.com/news/education-41349219
英国で孤独担当大臣が創設され、孤独を放置する社会的コストを一人当たり6千ポンド(約94万円)と算出。またチャリティ活動や社会福祉が日本よりはるかに充実している英国でさえ、孤独は最後のタブー。小室哲哉さんの引退から考えるべき日本の社会政策の未来。
「働く世代」の介護者、支援も手薄で「孤独」...小室さんの苦悩、他人事ではない
https://www.bengo4.com/internet/n_7355/
「男性による介護」という観点から 小室哲哉 さんの会見を見つめ直してみました。介護の専門家が、ある経験者の気づきとして紹介してくれた話。「介護にブレーキをかけるものは『世間体、見栄、男独特のプライド、他人との比較』の4つ」
Celebrity Chasing Online
http://www.pewresearch.org/fact-tank/2008/04/04/celebrity-chasing-online/
2008年の米国の調査ですが、ネット人口の36%が有名人の情報を検索エンジンで調べたことがあると回答。
Publics Globally Want Unbiased News Coverage, but Are Divided on Whether Their News Media Deliver
http://www.pewglobal.org/2018/01/11/publics-globally-want-unbiased-news-coverage-but-are-divided-on-whether-their-news-media-deliver/
世界中の人々が偏見のない報道を望んでいるが「主要なメディアの報道姿勢に満足しているか」については意見が分かれている。特に米国では意見が大きく対立。特定の主義主張に偏った報道には不満
Media and celebrity: production and consumption of "well-knownness".
http://www.biomedsearch.com/article/Media-celebrity-production-consumption-well/244276463.html
有名人とメディアの関係性、その消費に関する学術論文
皆さんの当日の議論に期待しています。
The Japan Times PLUS
来週2/8(木)の「朝英語の会梅田@スタートアップカフェ大阪」は小室哲哉氏の引退に関わる様々な社会的問題について論じます。利用する記事は1/30に紙面で発表された以下のものです。
Let’s discuss Tetsuya Komuro’s retirement
https://www.japantimes.co.jp/life/2018/01/29/language/lets-discuss-tetsuya-komuros-retirement/#.WnV6QaiWbIV
成功と名声をを欲しいままにした才能溢れる音楽家である小室氏の私生活に関するスキャンダルがスクープされました。その結果として「小室氏引退」となったわけですが、ここ数年日本のメディア報道が陥っているお決まりのバターンがあります。まず週刊誌が勢いのある有名人の醜聞、特に男女関係のものをスクープし記事にする。→それがTVのワイドショーで繰り返し取り上げられ、SNS等でも拡散する→スクープされた当人が何らかの謝罪をしたり、経歴詐称や違法性のある場合はしばらく活動を停止する、といった具合です。
しかし、小室氏のスキャンダル報道には、これまでとは違う4つの要素がありました。何より小室氏が90年代の日本の音楽シーンに大きな影響を与えた超大物アーティストであったこと、2番目に若くして病気を患い介護が必要になった才能ある歌手だった妻の存在、そしてご当人も病気を患い、妻の看病と合わせて心身ともに疲弊していたこと、そしてこの醜聞を契機として引退を表明したことです。
小室氏の今回の引退騒動には以下の複数の考えるべきテーマがあると思います。
1. メディアの役割とは何か?
個人の醜聞をも商業的娯楽として消費していくのか。 或いはメディアはまだ権力の番犬として公人(有名人?)が不当に権力を乱用するのを阻止する力を持っているのか?後者はハリウッドの大物プロデューサーであったハービー・ワインスタイン氏がニューヨークタイムズ紙の調査報道により過去の不当行為の告発を受けたことから始まったMetooムーブメントが良い例です。
2. 言論の自由
民主主義国では言論の自由が保障され、その自由な言論活動により、権力を監視し、エンターテインメントをはじめとする市場経済活動を発展させてきたという自負があります。ただ、近年問題になってきているのは言論の自由の名のもとにメディアは個人のプライバシーを暴き、それを流布する権利があるのかということです。 公私の活動の境界線は何処にあるのか。また、近年は一般人がSNSでも簡単に情報を拡散できるようになったのですが、デマやヘイトスピーチなど、明らかに「言論の自由」と「公共の利益」「社会的弱者の利益」が相反する事態になってきています。私達はどのようにそれと折り合いをつけていくのでしょうか?
3. 社会的包摂―新しい社会政策
また小室氏の事件で見逃せないのは引退に至った個人的・社会的背景です。妻の看護と自分自身の病気を抱えて小室氏自身は相談相手も少なく、深い孤独に悩まされていたのではないかということです。小室氏の引退は彼のように経済的に恵まれた人でも介護者には大きな精神的・肉体的負担があるということを改めて社会に認識させることになりました。社会問題となっている介護離職を防ぐための介護家族へのサポート 、心のケア 、要介護者への更なる支援 、孤独感への対処やそれを支える地域 コミュニティの役割なども見直していく必要がありそうです。また働き方改革と一体になったワークライフバランスの課題もこの議論に含まれると思います。
以上ざっと議論の要点を挙げていきましたが、参考になるような記事は以下のとおりです。
Loneliness: The cost of the 'last taboo'
http://www.bbc.com/news/education-41349219
英国で孤独担当大臣が創設され、孤独を放置する社会的コストを一人当たり6千ポンド(約94万円)と算出。またチャリティ活動や社会福祉が日本よりはるかに充実している英国でさえ、孤独は最後のタブー。小室哲哉さんの引退から考えるべき日本の社会政策の未来。
「働く世代」の介護者、支援も手薄で「孤独」...小室さんの苦悩、他人事ではない
https://www.bengo4.com/internet/n_7355/
「男性による介護」という観点から 小室哲哉 さんの会見を見つめ直してみました。介護の専門家が、ある経験者の気づきとして紹介してくれた話。「介護にブレーキをかけるものは『世間体、見栄、男独特のプライド、他人との比較』の4つ」
Celebrity Chasing Online
http://www.pewresearch.org/fact-tank/2008/04/04/celebrity-chasing-online/
2008年の米国の調査ですが、ネット人口の36%が有名人の情報を検索エンジンで調べたことがあると回答。
Publics Globally Want Unbiased News Coverage, but Are Divided on Whether Their News Media Deliver
http://www.pewglobal.org/2018/01/11/publics-globally-want-unbiased-news-coverage-but-are-divided-on-whether-their-news-media-deliver/
世界中の人々が偏見のない報道を望んでいるが「主要なメディアの報道姿勢に満足しているか」については意見が分かれている。特に米国では意見が大きく対立。特定の主義主張に偏った報道には不満
Media and celebrity: production and consumption of "well-knownness".
http://www.biomedsearch.com/article/Media-celebrity-production-consumption-well/244276463.html
有名人とメディアの関係性、その消費に関する学術論文
皆さんの当日の議論に期待しています。
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