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TBSが旧ジャニーズ検証番組　タレントかくまった問題にも言及

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　旧ジャニーズ事務所（現SMILE―UP.）の性加害問題で、TBSは26日、局と事務所の関係についての検証番組を放送した。検証番組は、10月に「報道特集」で放送されているが、今回の検証はTBSホールディングス（HD）が、元検事の弁護士らで構成する「特別調査委員会」を設けて実施。局員・元局員ら計125人をヒアリングし、報道部門が性加害問題を取り上げなかった点や、編成・制作部門で、事務所を巡る圧力や忖度（そんたく）に関する局員らの証言が伝えられた。

　番組では、2009年に公然わいせつ容疑で現行犯逮捕された人気グループの元メンバーが処分保留のまま釈放された際、一部局員が、報道陣に追跡される元メンバーの車を局の地下駐車場にかくまった問題があり、検証した。報道局員が駐車場に急行した際、編成局員が「撮るな」と制止しようとした経緯が確認され、調査委は「報道機関が報道機関としての責務を自ら放棄させうる行為」とした。

　そのほか、嵐がデビュー15周年を迎えた14年、各局の社員らが事務所の負担でハワイに招かれた問題についても検証。参加した局員の証言が紹介された。検証委は、「取引先が負担する出張等に関しては放送の公平性に疑義が生じる可能性もあるため、適切な行動が求められる」「視聴者からみれば、何かしらの配慮をしているのではないかとの不信感をもたれる行為」と結論づけた。

　また、12年に故ジャニー喜多川氏の車が信号待ちの軽乗用車に追突し軽傷を追わせた事故の情報を社会部が翌日に独自に入手し、昼のニュースで放送する予定だったが、最終的に放送されなかった問題があり、この点についても検証。昼のニュース前に、編成局員が報道局を訪れていたことや、報道幹部がニュースを報じないよう指示していたことが明らかになった。

　一方で同じニュース番組内で、俳優の車が追突された事故は放送されていたと指摘。検証委は「放送前にこの二つのニュースを並べて、公平性の議論をしておかなければ、事務所への特別な配慮と受け止められても致し方ない」と言及したものの、当事者の記憶が定かでなく、証言の食い違いなどがあったとの結論にとどまった。

　一方、検証の過程で、1983年に当時のTBSホールであった事務所の非公開オーディションで故ジャニー喜多川氏に体を触られたとする元ジャニーズJr.の証言が得られたが、当時の状況を知る関係者が見つからず、検証できないとした。

　TBSHDの佐々木卓社長は番組で、性加害を今年まで報道しなかったことなどに触れ「猛省する」と言及。「全社員一人一人が公共の電波を預かる会社の一員として、被害者の苦しみを心に刻み、人権尊重の意識を高めるようにしていく」と述べた。また、「事務所が時を経て、大きく成長するに従い、編成・制作部門などの関係者の中に、事務所への遠慮や気遣いが強まり、特別な配慮が見られるようになった。報道部門でも会社の事情を気にして逡巡（しゅんじゅん）するようになった様子がうかがえた。会社の取引関係の事情でペンを鈍らせてはならない、ニュース編集の独立性をさらに高める」などと語った。

　調査委の報告書全文は同社の公式サイトで公開されている。