2023年09月26日
低下する骨密度に歯止めをかけるには?「カルシウムだけじゃない」
40代から急に低下する骨密度に歯止めをかけるには?「カルシウムだけじゃない」摂るべき大事な栄養素
ベッドの上で腰を押さえる女性
更年期以降の女性に骨粗しょう症が増える理由とは?
![](https://www14.a8.net/0.gif?a8mat=2NR5KX+CONHRM+2HOM+BWGDT)
更年期以降の女性に増える、骨粗しょう症。「女性ホルモンの減少によって骨密度が低下し、骨粗しょう症になりやすい傾向があります」と話す薬剤師の山形ゆかりさんに、骨密度をアップさせる生活習慣や栄養素、漢方薬について教えてもらいました。
【目次】
骨密度と健康の関係
更年期以降に骨密度が低下する原因はエストロゲンの減少
骨密度アップのための3つのポイント
骨密度の低下の予防には漢方薬も役立つ
* * *
骨密度と健康の関係
骨密度とは骨の強さを示す指標で、成人(44歳まで)の骨密度の平均値(100%)と比較したときに、80%以上を正常、70%未満を「骨粗しょう症」と診断します。骨密度の検査は主に整形外科で受けることができ、痛みもなく5?10分ほどの短時間で済むので、骨密度が気になる場合は一度調べてみてもいいでしょう。
腰を押さえる人
骨粗しょう症が原因で日常へ影響が出ることも
骨粗しょう症になると、背骨が体の重みを支えきれずにつぶれるため、痛みが生じたり、背が縮む・背中や腰が曲がるなどの見た目の変化があらわれたり、骨がもろくなることで、ちょっとしたはずみで骨折するなど、日常生活への支障が起こる可能性があります。
更年期以降に骨密度が低下する原因はエストロゲンの減少
更年期以降の女性の骨密度が特に低下しやすい理由は、加齢によって骨を新しく作り替えるスピードが低下することや更年期の女性ホルモン(エストロゲン)の減少です。
骨は、古くなった部分を溶かし、新しく作り替える作業が常に行われることで丈夫に保たれています。しかし、加齢によって、骨を作るよりも溶かすスピードの方が上回ってしまうため、骨密度が低下しやすくなります。
骨盤の模型
更年期以降はエストロゲンが減少するため、骨がもろくなりやすい
また、骨を新しく作り替える骨芽細胞(こつがさいぼう)を活発にする働きがあるエストロゲンが減少し始める更年期以降は、特に注意が必要です。
ほかにも、骨を形成するために必要な栄養素や運動が不足することも、骨密度に悪影響を及ぼす一因になりえます。
骨密度アップのための3つのポイント
年齢にかかわらず健康な骨を維持するためには、運動、食事、栄養補給で骨密度アップをはかるのがいいでしょう。
床に手をつく骨格模型
骨密度アップに有効な3つのこと
運動で骨に負荷をかける
骨に物理的な刺激を加えることで、微量の電流が骨に伝わり、骨密度が増すといわれています。
たとえば、ダンベルを持ちながら歩く「ダンベルウォーキング」は、上半身と下半身を同時に鍛える運動で、骨への負荷も効率的にかけられるので、骨密度アップに効果的な運動です。
ダンベルウォーキングのやり方は、まず、ダンベルを左右の手にそれぞれ持ちます。視線は前を向けて背筋を伸ばし、ひじを軽く曲げて足のつま先で地面を蹴り、ひざを伸ばしてかかとから着地するようにして歩きましょう。歩幅はやや広めの70〜80cmを目安にしてください。
ピンクのダンベル
骨を強化するには、上半身と下半身を同時に鍛える「ダンベルウォーキング」がおすすめ
初めから重いものを使用すると予期せぬケガを招く可能性があるため、300gから始めて500gまでにとどめ、1回の運動を30分以内から始めるといいでしょう。
また、1日50回の片脚ジャンプを続けることで、骨密度が上がったという報告もあります(日本内科学会雑誌第111巻第4号 藤田 博曉「骨粗鬆症に対する運動療法」https://www.jstage.jst.go.jp/article/naika/111/4/111_765/_pdf)。ひざや腰を痛めないように注意をしながら、片脚で縄跳びをしてみるのもいいでしょう。
なお、衝撃や負荷の大きい運動のほうが効果的なため、骨密度アップのための運動は負荷が軽くなる水中ではなく、陸上で行うものを選びましょう。
骨を作る栄養の組み合わせを意識して調理
骨密度をアップさせる食事としては、骨を形成する「カルシウム」「マグネシウム」に加え、カルシウムの吸収を助ける「ビタミンD」とカルシウムを骨に沈着させる「ビタミンK」を含む食材を積極的に取り入れるのがいいでしょう。
鮭のホイル焼き
骨の材料となるカルシウムとカルシウムの吸収を助けるビタミンDを多く含む食材の組み合わせが◎
おすすめの組み合わせとしては、ビタミンDが多く含まれるきのこ類や鮭をカルシウムが豊富なバターで調理する「ホイル焼き」、カルシウムだけでなく、カルシウムの吸収を助ける乳糖が同時に摂れる牛乳とマグネシウムが豊富なさつまいもを合わせた「ポタージュ」や「ミルク煮」などがあります。
また、水分補給をするなら、ビタミンKを多く含む「玉露」がおすすめです。
健康食品やサプリメントで不足栄養素を補う
食事だけで必要な栄養素を十分に摂取するのが難しい場合、健康食品やサプリメントで不足分を補う方法もあります。
安全に効果が期待できる健康食品を選ぶには、「特定保健用食品(トクホ)」や「機能性表示食品」、「栄養機能食品」などの、国が定めた安全性や有効性に関する基準などに従って食品の機能が表示されている「保健機能食品」が安心です。
パッケージに「特定保健用食品」「機能性表示食品」「栄養機能食品(栄養成分名)」と記載されているので、表示を確認してください。
なお、保健機能食品以外の健康食品には、「無承認無許可医薬品」と呼ばれるものが紛れている可能性があります。
これは、違法に医薬品成分を含有したり、医薬品のような病気の治療・治癒を謳ったりしている製品のことで、厚生労働省が発表した令和2年度の調査結果では、127製品中、2製品において医薬品成分が検出されたと報告されています(厚生労働省「令和2年度「無承認無許可医薬品等買上調査」の結果について」https://www.mhlw.go.jp/content/11126000/000851112.pdf)。
サプリメント
サプリメントや健康食品を選ぶときの注意点を解説
現在流通している製品の中に、無承認無許可医薬品が含まれていないとは言い切れないため、保健機能食品以外の製品を選ぶときは、HPや広告、パッケージなどで成分を確認したり、「ヒト」に対しての科学的根拠(エビデンス)がきちんと示されていたりするかどうかを確認しましょう。
骨密度の低下の予防には漢方薬も役立つ
上記に紹介した運動や食事に加えて、骨密度が低下する原因である栄養不足やホルモンバランスの乱れなどにアプローチができる「漢方薬」も検討してみてはいかがでしょうか。
それには、「血流をよくして栄養を届ける」「ホルモンバランスを整える」「胃腸の機能を高めて、消化・吸収をよくする」といった作用がある漢方薬を選びましょう。
小皿にのった生薬
骨密度低下を予防するために役立つ漢方薬2つ
骨密度の低下の原因に働きかける漢方薬
・当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)
血流をよくして栄養を届けたり、水分代謝を促すことでホルモンバランスの乱れを整えたりする働きがあり、更年期障害などに有効です。疲れやすく冷え症で、貧血傾向のある人に用いる漢方薬です。
→当帰芍薬散について詳しく知る
・人参養栄湯(にんじんようえいとう)
胃腸の機能を高め消化・吸収をよくして、栄養を補う作用があります。手足の冷えや貧血などの症状がある人に用いる漢方薬です。
漢方薬を始める際の注意点
漢方薬は食事の工夫などでは不調が改善しなかった人でも、効果を感じる場合が多くあります。
ただし、漢方薬はその人の体質に合っていないと、よい効果が見込めないだけでなく、副作用が起こることもあります。自分に合う漢方薬を見つけるために、服用の際は漢方に詳しい医師や薬剤師に相談するのが安心です。
◆教えてくれた人:薬剤師・山形ゆかりさん
白衣の女性
薬剤師の山形ゆかりさん
やまがた・ゆかり。薬剤師、薬膳アドバイザー、フードコーディネーター。病院薬剤師として在勤中、食養生の大切さに気付き薬膳の道へ。牛角・吉野家ほか薬膳レストラン等15社以上のメニュー開発にも携わる。「健康は食から」をモットーに健康・美容情報を発信する「Medical Health -メディヘル-youtubeチャンネル」(@medicalhealth?7900)で簡単薬膳レシピ動画を公開するなど精力的に活動している。症状・体質に合ったパーソナルな漢方をスマホ一つで相談、症状緩和と根本改善を目指すオンラインAI漢方「あんしん漢方」(https://www.kamposupport.com/anshin1.0/lp/)でも薬剤師としてサポートを行う
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ベッドの上で腰を押さえる女性
更年期以降の女性に骨粗しょう症が増える理由とは?
![]() | 価格:14580円 |
![](https://www14.a8.net/0.gif?a8mat=2NR5KX+CONHRM+2HOM+BWGDT)
更年期以降の女性に増える、骨粗しょう症。「女性ホルモンの減少によって骨密度が低下し、骨粗しょう症になりやすい傾向があります」と話す薬剤師の山形ゆかりさんに、骨密度をアップさせる生活習慣や栄養素、漢方薬について教えてもらいました。
【目次】
骨密度と健康の関係
更年期以降に骨密度が低下する原因はエストロゲンの減少
骨密度アップのための3つのポイント
骨密度の低下の予防には漢方薬も役立つ
* * *
骨密度と健康の関係
骨密度とは骨の強さを示す指標で、成人(44歳まで)の骨密度の平均値(100%)と比較したときに、80%以上を正常、70%未満を「骨粗しょう症」と診断します。骨密度の検査は主に整形外科で受けることができ、痛みもなく5?10分ほどの短時間で済むので、骨密度が気になる場合は一度調べてみてもいいでしょう。
腰を押さえる人
骨粗しょう症が原因で日常へ影響が出ることも
骨粗しょう症になると、背骨が体の重みを支えきれずにつぶれるため、痛みが生じたり、背が縮む・背中や腰が曲がるなどの見た目の変化があらわれたり、骨がもろくなることで、ちょっとしたはずみで骨折するなど、日常生活への支障が起こる可能性があります。
更年期以降に骨密度が低下する原因はエストロゲンの減少
更年期以降の女性の骨密度が特に低下しやすい理由は、加齢によって骨を新しく作り替えるスピードが低下することや更年期の女性ホルモン(エストロゲン)の減少です。
骨は、古くなった部分を溶かし、新しく作り替える作業が常に行われることで丈夫に保たれています。しかし、加齢によって、骨を作るよりも溶かすスピードの方が上回ってしまうため、骨密度が低下しやすくなります。
骨盤の模型
更年期以降はエストロゲンが減少するため、骨がもろくなりやすい
また、骨を新しく作り替える骨芽細胞(こつがさいぼう)を活発にする働きがあるエストロゲンが減少し始める更年期以降は、特に注意が必要です。
ほかにも、骨を形成するために必要な栄養素や運動が不足することも、骨密度に悪影響を及ぼす一因になりえます。
骨密度アップのための3つのポイント
年齢にかかわらず健康な骨を維持するためには、運動、食事、栄養補給で骨密度アップをはかるのがいいでしょう。
床に手をつく骨格模型
骨密度アップに有効な3つのこと
運動で骨に負荷をかける
骨に物理的な刺激を加えることで、微量の電流が骨に伝わり、骨密度が増すといわれています。
たとえば、ダンベルを持ちながら歩く「ダンベルウォーキング」は、上半身と下半身を同時に鍛える運動で、骨への負荷も効率的にかけられるので、骨密度アップに効果的な運動です。
ダンベルウォーキングのやり方は、まず、ダンベルを左右の手にそれぞれ持ちます。視線は前を向けて背筋を伸ばし、ひじを軽く曲げて足のつま先で地面を蹴り、ひざを伸ばしてかかとから着地するようにして歩きましょう。歩幅はやや広めの70〜80cmを目安にしてください。
ピンクのダンベル
骨を強化するには、上半身と下半身を同時に鍛える「ダンベルウォーキング」がおすすめ
初めから重いものを使用すると予期せぬケガを招く可能性があるため、300gから始めて500gまでにとどめ、1回の運動を30分以内から始めるといいでしょう。
また、1日50回の片脚ジャンプを続けることで、骨密度が上がったという報告もあります(日本内科学会雑誌第111巻第4号 藤田 博曉「骨粗鬆症に対する運動療法」https://www.jstage.jst.go.jp/article/naika/111/4/111_765/_pdf)。ひざや腰を痛めないように注意をしながら、片脚で縄跳びをしてみるのもいいでしょう。
なお、衝撃や負荷の大きい運動のほうが効果的なため、骨密度アップのための運動は負荷が軽くなる水中ではなく、陸上で行うものを選びましょう。
骨を作る栄養の組み合わせを意識して調理
骨密度をアップさせる食事としては、骨を形成する「カルシウム」「マグネシウム」に加え、カルシウムの吸収を助ける「ビタミンD」とカルシウムを骨に沈着させる「ビタミンK」を含む食材を積極的に取り入れるのがいいでしょう。
鮭のホイル焼き
骨の材料となるカルシウムとカルシウムの吸収を助けるビタミンDを多く含む食材の組み合わせが◎
おすすめの組み合わせとしては、ビタミンDが多く含まれるきのこ類や鮭をカルシウムが豊富なバターで調理する「ホイル焼き」、カルシウムだけでなく、カルシウムの吸収を助ける乳糖が同時に摂れる牛乳とマグネシウムが豊富なさつまいもを合わせた「ポタージュ」や「ミルク煮」などがあります。
また、水分補給をするなら、ビタミンKを多く含む「玉露」がおすすめです。
健康食品やサプリメントで不足栄養素を補う
食事だけで必要な栄養素を十分に摂取するのが難しい場合、健康食品やサプリメントで不足分を補う方法もあります。
安全に効果が期待できる健康食品を選ぶには、「特定保健用食品(トクホ)」や「機能性表示食品」、「栄養機能食品」などの、国が定めた安全性や有効性に関する基準などに従って食品の機能が表示されている「保健機能食品」が安心です。
パッケージに「特定保健用食品」「機能性表示食品」「栄養機能食品(栄養成分名)」と記載されているので、表示を確認してください。
なお、保健機能食品以外の健康食品には、「無承認無許可医薬品」と呼ばれるものが紛れている可能性があります。
これは、違法に医薬品成分を含有したり、医薬品のような病気の治療・治癒を謳ったりしている製品のことで、厚生労働省が発表した令和2年度の調査結果では、127製品中、2製品において医薬品成分が検出されたと報告されています(厚生労働省「令和2年度「無承認無許可医薬品等買上調査」の結果について」https://www.mhlw.go.jp/content/11126000/000851112.pdf)。
サプリメント
サプリメントや健康食品を選ぶときの注意点を解説
現在流通している製品の中に、無承認無許可医薬品が含まれていないとは言い切れないため、保健機能食品以外の製品を選ぶときは、HPや広告、パッケージなどで成分を確認したり、「ヒト」に対しての科学的根拠(エビデンス)がきちんと示されていたりするかどうかを確認しましょう。
骨密度の低下の予防には漢方薬も役立つ
上記に紹介した運動や食事に加えて、骨密度が低下する原因である栄養不足やホルモンバランスの乱れなどにアプローチができる「漢方薬」も検討してみてはいかがでしょうか。
それには、「血流をよくして栄養を届ける」「ホルモンバランスを整える」「胃腸の機能を高めて、消化・吸収をよくする」といった作用がある漢方薬を選びましょう。
小皿にのった生薬
骨密度低下を予防するために役立つ漢方薬2つ
骨密度の低下の原因に働きかける漢方薬
・当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)
血流をよくして栄養を届けたり、水分代謝を促すことでホルモンバランスの乱れを整えたりする働きがあり、更年期障害などに有効です。疲れやすく冷え症で、貧血傾向のある人に用いる漢方薬です。
→当帰芍薬散について詳しく知る
・人参養栄湯(にんじんようえいとう)
胃腸の機能を高め消化・吸収をよくして、栄養を補う作用があります。手足の冷えや貧血などの症状がある人に用いる漢方薬です。
漢方薬を始める際の注意点
漢方薬は食事の工夫などでは不調が改善しなかった人でも、効果を感じる場合が多くあります。
ただし、漢方薬はその人の体質に合っていないと、よい効果が見込めないだけでなく、副作用が起こることもあります。自分に合う漢方薬を見つけるために、服用の際は漢方に詳しい医師や薬剤師に相談するのが安心です。
◆教えてくれた人:薬剤師・山形ゆかりさん
白衣の女性
薬剤師の山形ゆかりさん
やまがた・ゆかり。薬剤師、薬膳アドバイザー、フードコーディネーター。病院薬剤師として在勤中、食養生の大切さに気付き薬膳の道へ。牛角・吉野家ほか薬膳レストラン等15社以上のメニュー開発にも携わる。「健康は食から」をモットーに健康・美容情報を発信する「Medical Health -メディヘル-youtubeチャンネル」(@medicalhealth?7900)で簡単薬膳レシピ動画を公開するなど精力的に活動している。症状・体質に合ったパーソナルな漢方をスマホ一つで相談、症状緩和と根本改善を目指すオンラインAI漢方「あんしん漢方」(https://www.kamposupport.com/anshin1.0/lp/)でも薬剤師としてサポートを行う
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タグ:骨密度
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