2023年05月24日
スマートウオッチがお買い得 「きっと後悔する」 “ナックル姫”がメジャー挑戦へ…31歳、進退も見据えた決断の裏側
「きっと後悔する」 “ナックル姫”がメジャー挑戦へ…31歳、進退も見据えた決断の裏側
5/23(火) 7:00配信
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旋風から15年…憧れの右腕と同じ舞台へ決意と覚悟の渡米
米国挑戦を決めたエイジェック女子野球・吉田えり【写真:荒川祐史】
“ナックル姫”と呼ばれセンセーションを巻き起こしてから15年。エイジェック女子硬式野球部の吉田えり投手は31歳を迎え、大きな決断を下した。「メジャーに挑戦したい」。夢物語のようにも聞こえるが、これまでも数多くの壁を打ち破ってきた吉田が、愛刀のナックルボールを携え、6月上旬に渡米することになった。紆余曲折を経ての今回のチャレンジ。現役の“その先”を見据えた決意と覚悟の裏側に迫る。
【実際の映像】急変化する魔球は今も健在 米挑戦の吉田えり、カメラが捉えた“衝撃”のブルペン
「年齢的に今後、野球を続けるのかどうか……考える時間が増えました。自分自身がどうしたらいいのかわからなかったんです。でも、怪我を重ねても野球を辞めることができなかった。まだ本当はナックルボールに挑戦したいんだっていうのに気づいて。日本ではなくて『もう一度海外でやりたい』ってなりました」
2008年11月、当時高校2年生、16歳の吉田は関西独立リーグのドラフト会議で神戸9クルーズから7巡目で指名され、日本プロ野球史上初の女性プレーヤーとなった。その後は日本や米国の独立リーグを転戦してきたが、なかなか好結果を残せず、2017年から女子野球エイジェックに投手兼コーチとして在籍し、現在に至る。故障もあって投げられない時期も経験した。それでも、吉田はあきらめきれなかった。そして日本ではなく、どうしても米国でプレーしたい理由があった。
「やっぱり私がナックルボールに出会えたのは、(ティム・)ウェイクフィールド選手の存在が大きくて。(彼と)同じマウンドに立ちたいなっていう思いが強かったです」
故障続きで葛藤の日々…昨年訪れた転機との“出会い”
エイジェック女子野球・吉田えり【写真:荒川祐史】
男女の体格に違いが出始めた中学生の時、吉田は野球を続けられるか悩んだ。そんな時、父が紹介してくれた投手のある球に目が止まった。球速120キロ程度ながら、屈強なメジャーリーガーたちが捉えることができない“魔球”。その操り手がティム・ウェイクフィールドだった。無回転に近いボールは空気抵抗を受けて不規則に変化し、投げた本人も行方が分からない。しかしこのナックルボールを武器にパイレーツ、レッドソックスでメジャー通算200勝を挙げた。吉田は「この球なら戦えるかもしれない」とウェイクフィールドの握りを参考にして鍛錬を重ね、“ナックル姫”と呼ばれるまでになっていった。
「やっぱりこのナックルボールがなかったら、野球を続けられていなかったと思いますし、そもそも私が中学生の時、女の子が野球をする環境がなかったので。私にとっては今ではなくてはならないものだなって」
野球人、一人の人間として、吉田えりという存在を作り上げたのがナックルボールだった。“原体験”の土地を志すのも自然の流れだろう。2010年にはアリゾナ・ウインターリーグに参加するなど、渡米は何も今回が初めてではない。しかし現実は厳しく解雇も経験。その後は故障と戦う日々が続いた。遠のく憧れの舞台。「25歳を過ぎてから苦しい、本当はこれしたいけど多分、無理だろうなと逃げていて。その逃げている自分っていうのは好きにはなれなくて。女子野球に来てからも葛藤がありました」。
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「もう投げられないな」との思いもよぎっていた中、昨年に転機が訪れた。対話を通して自分の内に秘める“答え”を引き出すコーチングとの出会いだった。自己との対話を続けていき、吉田は今まで蓋をしてきた心の声を聞いた。
「今後も女子野球を続けたいなって思う部分もあるけど、自分の中で(気持ちが)入りきれてない、心残りの部分があったんです。ゆくゆくは指導者になって子どもたちに野球の楽しさを伝えたいって思った時、私自身がしっかりやりきって、やってよかったって思えるものにしたい。挑戦しないでいたら、きっと後悔するだろうなって」
「先のことは何も考えてない」31歳、進退も懸けたメジャー挑戦
6月に渡米するエイジェック女子野球・吉田えり【写真:荒川祐史】
今回、吉田が身を置く先は米独立のエンパイアリーグ。ニューヨーク州を拠点とし、6月から2か月間、40試合のリーグ戦が行われる。結果を残せればマイナーリーグやハイレベルな独立リーグから声をかけられることもあるという。そこからメジャーを目指すが、「結果が出なかったら、途中でクビという話も聞いているので……」。幸い吉田は契約により期間内での“安全”は保証されているものの、過去に途中解雇を経験したことがあるからか、この話の時だけは少し暗い表情も浮かべた。
しかし、「去年から球速もまだ出るようになりました。30歳を過ぎて、どれだけナックルボールを磨いていけるのかなっていうのが、ちょっと楽しみな部分ですね」と悲壮感はない。むしろ「最初に独立リーグで挑戦してた頃と同じ気持ちで、何とかナックルボールで上のレベルに行くっていう強い気持ちを持って今回は挑戦したいです」と、その目は先だけを見据えていた。
31歳、引退する選手も少なくない時期にさしかかり、吉田自身「年齢のせいにすることも増えた」と体力面の不安も感じている。しかし同時に「ナックルボーラーの選手は30歳を過ぎてから、いろんな経験を得て、技術面も精神面も磨かれて習得できるものなのかな」と伸びしろも口にする。事実、憧れのウェイクフィールドは44歳まで現役を続け、2012年にナ・リーグのサイ・ヤング賞に輝いたRA・ディッキーも42歳までプレーした。可能性があるのに、自らそれを捨て去る必要はない。
とはいえ、悠長にしている余裕もない。「久しぶりの、本当に何年ぶりに男子の中に混じって野球をするので、6月からの2か月間はナックルのことだけを考えて挑戦したいなと。その先のことはまだ何も考えてないです。本当にこの2か月間、自分自身がどう思うかで決めたいなと思います」。
望もうが望まなかろうが、吉田えりの人生は大きく揺れ動いていった。ナックルボールのように不規則に――。そして彼女の終着点がどこに行きつくのかは、“ナックル姫”でさえも分からないのである。
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