円・人民元取引/市場成長へ改革促す
中国の通貨・人民元と円を直接交換する為替取引が今月に入り、東京と上海の両外国為替市場で始まった。
両国間の経済取引や経済活動に少なからぬメリットをもたらすとみられるだけに、この新しい市場が順調に機能し、成長することを期待したい。
両通貨はこれまで、米ドルを介した間接取引が大半だった。まず円をドルと交換し、それからドルを人民元に換える。元を円に換える際は、その逆だ。この方法だと、交換手数料が二重にかかる。
だが、直接取引となれば、貿易に携わる企業などは為替取引に要するこうしたコストを減らせ、さらにはドル相場の変動に伴う為替リスクが軽減できる。
日中間の貿易額は2011年に約27兆5400億円と、10年前の2.5倍に膨らんでいる。日本にとって中国は最大の、中国にとって日本は米国に次いで第2位の貿易相手国だ。
決済コストを軽減し、利便性を高めることで、貿易のさらなる拡大につながることが期待される。両国間の投資や観光の面でも、その動きがより活発化すれば、幅広い産業でプラスの効果を享受できる可能性がある。
基軸通貨として米ドルの信認が低下し、欧州単一通貨ユーロが危機にあえぐ中、両国には、通貨をめぐる思惑がある。
元との直接交換は、主要通貨では米ドルに次いで円が2番目だ。中国は「元の国際化」政策を進めており、今回の取り組みはその一環。ドルの影響力を弱め、円との取引によって元の国際決済通貨としての価値を高める狙いがあるとされる。
日本にとっては、低下する国際金融市場としての東京の地位を再び高める機会となる。
近年、欧米の金融機関がアジア地域の本部機能を東京から香港や上海、シンガポールに移す動きが加速している。同時に、中国が世界第2の経済大国に躍進した中で、元建ての金融商品を扱う海外市場の創設をめぐり国際競争が激化している。
直接取引が拡大すれば、決済通貨としての円の存在感も高まるとともに、東京市場がそうした国際競争から一歩抜け出す形になる。日本政府にはそんな期待がある。
だが、肝心の直接取引がどれほど膨らむのかが不透明だ。
というのも、人民元の取引には規制が伴うからだ。中国は人民元高の抑制を図るため、海外からの資本流入を規制するとともに、元相場を管理し一定の変動率に抑えている。
こうした規制が緩和されなければ、取引の拡大は見通せない。両国経済の実態が反映されない形での取引なら、日本がデメリットを被る恐れもある。
今回の取り組みは、両国金融市場の発展に向け協力を強化するとした昨年12月の日中首脳会談の合意を具体化したものだ。
日本は規制改革を促し続けなければならない。中国にはそれに応えてもらいたい。そうしなければ、合意が目指す両国金融市場の発展は望むべくもない。
安住淳財務相は29日朝の閣議後会見で、6月1日から東京と上海の外国為替市場で、日本円と中国人民元の直接取引を開始することを明らかにした。
これまで米ドルを介した取引が行われていた円と人民元を直接取引することで「取引コストの低下や、金融機関の決済リスク低減というメリットがあり、両国通貨の利便性向上、東京市場の活性化にも資する」と期待感を示した。
人民元と円の直接取引は昨年12月、野田佳彦首相と中国の温家宝首相が首脳会談で拡大方針に合意。財務相は会見で「市場拡大に向け、市場参加者のいっそうの取り組みに期待するとともに、政府としても中国側との対話、協力を引き続き行いたい」と述べた。通貨規制の多い中国側との協議については「直接取引は貿易高を考えれば、当然あって然るべき。貿易量を考えればニーズはあるので、環境整備はどんどんしていけると思う。お互いの実利にかなう」と指摘。「障害がもし出てきたら、随時当局同士で話し合いをしていく」方針を示した。
円・人民元、直接取引始まる=初値12円33銭―東京市場
ウォール・ストリート・ジャーナル日本版 - 2012年5月31日
日本の円と中国通貨・人民元を銀行間で直接交換する取引が1日午前、東京外国為替市場で始まった。 ... ドルを介した取引は今後も行われるが、直接取引はドル相場の急変動によるリスクを回避できるメリットもある。 ... 個人利用の目的で、本サービスから入手した記事、もしくは記事の一部を電子媒体以外方法でコピーして数名に無料で配布することは構いませんが、本サービスと同じ形式で著作権及びその他の知 ...
日本円と人民元の直接取引による今後の予測と企業・個人への影響
サーチナニュース - 2012年6月4日
6月1日より東京と上海の外国為替市場で日本円と人民元の直接取引が始まりました。為替手数料が削減され、日中貿易の拡大につながる、というニュースが多かったように思いますが、マクロ経済の観点でいえば、 ... ますし、個人取引でビジネスをしている人の場合は、簡素化される部分もあるでしょうから、今のところメリットのほうが多いのではないでしょうか。 しかしながら企業の場合はそういった簡単な話ではなく、対ドルだけでなく対元の為替推移予測も考慮した事業計画の数値の策定方法へ新たに ...
【中証視点】人民元と円の直接交換、対日業務多い企業にメリット
サーチナニュース - 2012年5月29日
中国外匯交易(外国為替)センターは5月29日、人民元対日本円の直接取引の発展を図ると宣言した。 ... 関係者は、人民元の対日本円直接取引の開始は、企業の為替取引コストの軽減にプラスとなり、特に中国の対日業務を比較的多く行うソフトウエア企業にとっては、対日業務のさらなる発展と強化を ... 現在、人民元の他の通貨との取引方法はいずれも米ドルをマーケットメーカーとし、米ドルを介して行っている。
ドル/円は79円前半、実需の売り買い交錯
朝日新聞 - 2012年5月28日
[東京 29日 ロイター] 正午のドル/円は、ロンドン市場午後3時時点に比べ若干ドル安の79円前半。月末を控えたこの日 ... これまで米ドルを介した取引が行われていた円と人民元を直接取引することで「取引コストの低下や、金融機関の決済リスク低減というメリットがあり、両国通貨の利便性向上、東京市場の活性化にも資する」と期待感を示した。 人民元と円の直接 ... 外見改造法から会話力アップの方法、若い女性との出会い方までを網羅した中年男性向けの「恋愛ノウハウ」本。薄毛や加齢臭への ...
国債購入40兆円超で浮上する日銀の外債購入の狙いと問題点
ダイヤモンド・オンライン - 2012年6月5日
市場の一部では、外債購入オペのメリットとして、(1)円安誘導が期待できる、(2)外債購入オペは新たな緩和策となり ... 第230回 人民元と円の直接取引が開始 中国がためらう「通貨の国際化」 (2012.06.13); 第229回 国債購入40兆円超で ...
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