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輝かない光の護符
古くから、この世には「光の護符」と呼ばれるものが存在したという。
それは、持ち主に幸運をもたらし、闇を払うと伝えられていた。
しかし、その輝きは眩しく、人々は時にその光に目を奪われ、
心の闇を深めてしまうこともあった。
ある小さな村に、エミリアという少女がいた。
彼女は、村で一番の読書家で、古今東西の物語を愛していた。
特に、光の護符に関する伝説には心を惹かれていた。
エミリアは、その輝かしい護符を自分の手で作りたいと願っていた。
ある日、エミリアは森の中で、不思議な光を見つけた。
それは、他の光とは異なり、柔らかく、温かい光だった。
光に導かれるように、エミリアは深い森の中へと進んでいった。
そして、小さな洞窟を見つけた。
洞窟の中には、老人が一人、座っていた。
老人は、エミリアに微笑みかけ、こう言った。
「お前は、光の護符を探しているのか?」
エミリアは、驚きを隠せないでいた。
「はい、そうです。でも、どこにも見つかりません。」
老人は、静かに頷き、こう続けた。
「光の護符は、外にあるものではない。それは、人の心の中に生まれるものだ。
そして、その光は、必ずしも眩しく輝くものではない。
時に、それは、心の奥底から静かに灯る小さな光かもしれない。」
老人は、エミリアに、一つの石を渡した。
それは、無色の石だったが、エミリアの手の中に収まると、ほんのりと温かい光を放ち始めた。
「これは、心の石だ。この石に、自分の願いや希望を込めてごらん。
そうすれば、石は光を放つだろう。それが、お前だけの光の護符だ。」
エミリアは、石を握りしめ、心の中で願いを込めた。
それは、村の人々がみんな幸せに暮らせるように、
そして、自分がもっとたくさんの人に本の楽しさを伝えられるように、という願いだった。
それから、エミリアは、その石をいつも持ち歩くようになった。
石は、エミリアの心の変化に合わせて、光の色や輝きを少しずつ変えていった。
時には、深い青色に輝き、静けさを与え、時には、明るい黄色に輝き、希望を与えてくれた。
エミリアは、石の力を借りて、村の人々に本の読み聞かせをしたり、困っている人を助けたりした。
そして、エミリアの優しさは、村中に広がり、村の人々は、エミリアの小さな光に心を温めていた。
ある日、村に大きな嵐がやってきた。
家々は吹き飛ばされ、人々は不安に包まれた。
エミリアは、村の人々を集め、心を一つにして嵐を乗り越えようとした。
エミリアの心の石は、今まで以上に強く輝き、村全体を包み込んだ。
嵐が過ぎ去ると、村は再び静けさを取り戻していた。
そして、人々は、エミリアの小さな光が、村を救ったことを知った。
エミリアは、老人の言葉を深く理解した。
光の護符は、外にあるものではなく、自分の心の中に生まれるもの。
そして、それは、必ずしも眩しく輝くものではない。
大切なのは、その光を信じ、守り続けることなのだと。
エミリアは、これからも、自分の心の光を大切にしながら、周りの人たちを照らしていくことを決意した。
そして、彼女の小さな光は、いつまでも村に、そして、世界に、優しく輝き続けることだろう。
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