2018年01月19日
【経済】国家破産は、これさえ守っておけば全然怖いことではなかった
アベノミクスという神学論争の結論
『日本の国家破産に備える資産防衛マニュアル』(ダイヤモンド社)を書きはじめたのは2012年12月で、「強い日本経済を再生する」と宣言した安倍晋三自民党政権の誕生で、日本には「株価や地価が上昇するのでは」という期待と、「なにかとてつもなくヒドイことが起きる」という不安が交錯していました。
安倍首相が信奉する経済政策すなわちアベノミクスは、どんな手段を使ってでも日銀に年率2%のインフレを実現させる、というものでした。
その後実施された史上例を見ない大規模な金融緩和(リフレ政策)の効果については、経済学者のあいだではげしい論争(というか罵り合い)が起きました。
ある高名な経済学者は、「日銀が市場に大量のマネーを供給しさえすれば日本経済は復活し、経済成長による増収によって財政問題も解決に向かう」と主張し、それに対して別の高名な経済学者は、「デフレは日本経済の構造的な問題で、日銀はすでにじゅうぶんすぎるほど金融緩和をしており、これ以上なにをやっても効果はない」と反論しました。
なかには、「いずれ国債が暴落して財政が破綻し、ハイパーインフレになる」と警告する経済学者もいました。
アベノミクスによって私たちは早晩、この「神学論争」の決着を見ることになるはずでしたが、実際のところはどうなったのか──。そんな問題意識から、今回、『国家破産はこわくない』(講談社+α文庫)として文庫化することにしました。
国家破産は乗り越えられる
親本の発売(2013年3月)当時はギリシアが国家破産寸前に追い込まれ、地中海の島国キプロスはそのギリシアに多額の融資をしていたことで財政破綻し、実質的な「金融封鎖」に追い込まれました。
島内の銀行は2週間にわたって閉鎖され、顧客は預金を引き出すことができなくなり、EUによる支援の条件として10万ユーロ超の預金に9.9%、それ以下の金額に6.7%が課税されることが発表されて大騒動になりました(その後、修正のうえ大口預金者のみが負担)。
そのころ日本では、「このままではギリシアやキプロスと同じことになるのではないか」との不安が広がりました。そのため親本は「資産防衛」を前面に出したタイトルにしたのですが、文庫化にあたって、当初予定していた『国家破産はこわくない』に戻すことにしました。
お読みになっていただければわかるように、本書は「国家破産」をいたずらに煽るものではなく、私の主張は「個人の努力ではどうしようもない戦争や内乱とちがって、経済的混乱は適切な対応によって乗り越えられる」ということです。
日本には「3つのシナリオ」しかない
(1)楽観シナリオ アベノミクスが成功して高度経済成長がふたたびはじまる
(2)悲観シナリオ 金融緩和は効果がなく、デフレ不況がこれからもつづく
(3)破滅シナリオ 国債価格の暴落(金利の急騰)と高インフレで財政は破綻し、大規模な金融危機が起きて日本経済は大混乱に陥る
ここで重要なのは、経済には強い継続性(粘性)があることです。仮にBの「破滅シナリオ」が現実のものになったとしても、それは次のような順番で進行するでしょう。
第1ステージ:国債価格が下落して金利が上昇する
第2ステージ:円安とインフレが進行し、国家債務の膨張が止まらなくなる
最終ステージ(国家破産):日本政府が国債のデフォルトを宣告し、IMFの管理下に入る
たとえ日本の財政が破綻したとしても、“危機”は第1ステージから第2ステージ、最終ステージへと順に悪化していくのですから、ある朝目覚めたら日本円が紙くずになっていた、などということはありません。
いたずらに「国家破産」を心配する必要はありません。仮に日本国がデフォルトするとしても、それまでの間に自分と家族を守るための時間はじゅうぶんに残されているのです。
だとすれば、具体的にどのように将来の経済的なリスクに備えればいいのでしょうか?
以下ソース
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/54159
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