2018年01月06日
ロシア、50億円相当の人工衛星を失った理由は「入力ミス」
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Image: 3Dsculptor/Shutterstock
ロシアはミスもスケールがでかいのです。
ロシアが打ち上げた人工衛星「Meteor-M」は11月に通信不能になりました。極軌道を周回する予定だったこの人工衛星には50億円ほどのコストがかかっており、ロシアにとってはかなりの痛手。なんですが、失敗の理由が判明し話題になっています。なんとその原因は、発射地点の座標入力ミスだと副首相が語っているんです。
先日、ロシアのTV番組で副首相ディミトリ・ロゴジンが「原因は人為ミス」と語った、とReutersが報じています。打ち上げが行なわれたのはロシア極東のボストチヌイ宇宙基地でしたが、プログラムではバイコヌール宇宙基地の座標が入力されたというのです。バイコヌール宇宙基地は南カザフスタンに位置しており、間違った方向に向かって飛んでいってしまったんだとか。うーん…本当にそんな漫画のような失敗が起きたんでしょうか。
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地図左が入力されたカザフスタンのバイコヌール宇宙基地、右が実際に打ち上げに使用されたボストチヌイ宇宙基地
Image: Google Maps
TechCrunchによれば、ロシアの国営宇宙開発企業であるロスコスモスはすぐに「人為的ミスじゃなくて予測が不可能な複数の要素が原因」と声明を出しているとのこと。人為的ミスだったとしてもロスコスモスがそれを公に認めるかどうか、という疑問はあります。ただ、素人考えでも打ち上げ場所の入力ミスはちょっと考えにくいですが…どうなんでしょうか。
どちらにしてもロスコスモスの信頼が下がってしまったことには違いありません。予算を35%削減されてしまった後のこの事件はロスコスモスにとっては大変な痛手なはずです。さらに2015年度会計監査の結果、18億米ドル(約2027億円)相当の違反が判明しています。
ロケットに積まれていたものには、科学的リサーチから商業目的まで18の人工衛星が含まれていました。The Guardianによれば、ロシアだけでなくノルウェー、スウェーデン、アメリカ、日本、カナダ、ドイツなどが名を連ねています。
宇宙開発において人為的なプログラムミスや技術的なバグは珍しくはありません。実際、ロシアは2015年にも打ち上げ直後にロケットが爆発してしまうという事故を経験しており、これによってメキシコの通信衛星が失われています。そして昨年起きてしまった日本の人工衛星「ひとみ」の分解、通信途絶も記憶に新しいですね。こちらは300億円の製造費用がかけられていましたから、そう考えると「Meteor-M」の失敗がまだ小さいものに思えてきます。天文学的数字とはこういうことをいうのですね。「ひとみ」も同様に人為ミスが主な原因とされています。
Image: Roskosmos via Facebook
Source: CBS News, Facebook, Scientific American, Reuters via Engadget, Wikipedia(1, 2, 3, 4), Google Maps, TechCrunch, Reuters, The Guardian
Melanie Ehrenkranz - Gizmodo US[原文]
(塚本 紺)
https://www.gizmodo.jp/2018/01/rossiya-satellite-missed.html
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