2017年12月04日
【インバウンド】ポッキー製造工場、理美容機器体験…日本「社会見学」外国人観光客に人気 「モノ消費」から「コト消費」へ
菓子の製造工程やメーカーのショールーム見学…。企業が自社の歴史や製品などを紹介するPR用施設が、訪日外国人旅行客の間で人気を広げつつある。爆買いや観光スポット見学では物足りないリピーター層を中心に増加。交通の便が良くない場所でも、インターネット情報などを頼りに訪れる人も多い。観光のオフシーズンにも誘客が期待でき、モノ消費から体験を主とするコト消費へ、新たな観光資源になりそうだ。(栗井裕美子)
■契約に発展も
10月下旬、理美容機器などの大手メーカー、タカラベルモントのショールーム「TB−SQUARE(ティー・ビー・スクエア)」(大阪市中央区)に中国からの観光客約20人が訪れた。長時間横たわっても首が疲れないという、理美容用のシャンプー台といすなどを熱心に見て回った。
中国・深●(=土へんに川)(しんせん)市で美容室を経営する吾品希(ウーピンシー)さん(32)は、シャンプーをしながら頭皮をマッサージする「ヘッドスパ」を体験。「機材の品質もマッサージの技術も素晴らしい」と感心しきり。
ショールームは昨年9月のオープン以来、約2万3500人が訪れ、そのうち外国人は千人近く。海外の取引先企業による紹介も多く、見学を機に同社と契約するケースもあるという。
■SNSで情報
チョコレート菓子「ポッキー」の製造現場などを見学できる江崎グリコの施設「グリコピア神戸」(神戸市西区)は、神戸中心部から40分ほどかけて地下鉄とバスを乗り継ぐ距離にある。
決して便利とはいえないが、中国・上海市に住むシンガポール人の会社員、ファン・エリスさん(34)は、旅行サイト「トリップアドバイザー」で同施設を知った。「工場を見学できる国はアジアではあまりない」と興味深そうに工程を見ていた。
茶の老舗「福寿園」の見学施設「CHA遊学パーク」(京都府木津川市)でも、外国人の姿が目立つ。訪日客向けの宣伝は特にしていないが、来館者の約2割に上るという。石臼で抹茶を作る体験が人気で、施設担当者は「日本人のガイドに紹介されるケースや、SNSで施設の情報を得る人もいるようだ」と話す。
■受け入れ課題
課題は受け入れ態勢の充実だ。グリコピア神戸では、英語、中国語、タイ語のパンフレットを用意し、見学ルートに設置されている案内板に英語を併記。しかし、ツアー中の説明はほとんどが日本語で、ファンさんは「ほかの見学施設も説明は日本語だけのところが多い」と困惑ぎみだ。
日本政府観光局によると、平成28年の訪日外国人は2404万人で、24年より3倍近く増加。消費額は3兆7476億円で、同3・5倍になっているが、近年は“爆買い”の勢いが鈍化。買い物だけでなく、新たな付加価値が求められている。
鈴木勝・大阪観光大名誉教授(観光振興論)は「観光のオフシーズンにも誘客でき、宿泊数も伸びる。教育や医療現場など、ほかの見学ツアーと組み合わせるとさらに旅の魅力が増す。課題は、製品の製造過程など専門的な内容を分かりやすく外国語で説明できる人材の育成で、日本が観光立国になるためにも必要だ」と話している。
タカラベルモントのショールーム「TB−SQUARE」でシャンプー台の使い心地を試す中国人観光客ら=大阪市中央区
http://www.sankei.com/images/news/171204/wst1712040011-p1.jpg
訪日外国人旅行者数と消費額の推移
http://www.sankei.com/images/news/171204/wst1712040011-p2.jpg
配信2017.12.4 07:18
産経WEST
http://www.sankei.com/west/news/171204/wst1712040011-n1.html
■契約に発展も
10月下旬、理美容機器などの大手メーカー、タカラベルモントのショールーム「TB−SQUARE(ティー・ビー・スクエア)」(大阪市中央区)に中国からの観光客約20人が訪れた。長時間横たわっても首が疲れないという、理美容用のシャンプー台といすなどを熱心に見て回った。
中国・深●(=土へんに川)(しんせん)市で美容室を経営する吾品希(ウーピンシー)さん(32)は、シャンプーをしながら頭皮をマッサージする「ヘッドスパ」を体験。「機材の品質もマッサージの技術も素晴らしい」と感心しきり。
ショールームは昨年9月のオープン以来、約2万3500人が訪れ、そのうち外国人は千人近く。海外の取引先企業による紹介も多く、見学を機に同社と契約するケースもあるという。
■SNSで情報
チョコレート菓子「ポッキー」の製造現場などを見学できる江崎グリコの施設「グリコピア神戸」(神戸市西区)は、神戸中心部から40分ほどかけて地下鉄とバスを乗り継ぐ距離にある。
決して便利とはいえないが、中国・上海市に住むシンガポール人の会社員、ファン・エリスさん(34)は、旅行サイト「トリップアドバイザー」で同施設を知った。「工場を見学できる国はアジアではあまりない」と興味深そうに工程を見ていた。
茶の老舗「福寿園」の見学施設「CHA遊学パーク」(京都府木津川市)でも、外国人の姿が目立つ。訪日客向けの宣伝は特にしていないが、来館者の約2割に上るという。石臼で抹茶を作る体験が人気で、施設担当者は「日本人のガイドに紹介されるケースや、SNSで施設の情報を得る人もいるようだ」と話す。
■受け入れ課題
課題は受け入れ態勢の充実だ。グリコピア神戸では、英語、中国語、タイ語のパンフレットを用意し、見学ルートに設置されている案内板に英語を併記。しかし、ツアー中の説明はほとんどが日本語で、ファンさんは「ほかの見学施設も説明は日本語だけのところが多い」と困惑ぎみだ。
日本政府観光局によると、平成28年の訪日外国人は2404万人で、24年より3倍近く増加。消費額は3兆7476億円で、同3・5倍になっているが、近年は“爆買い”の勢いが鈍化。買い物だけでなく、新たな付加価値が求められている。
鈴木勝・大阪観光大名誉教授(観光振興論)は「観光のオフシーズンにも誘客でき、宿泊数も伸びる。教育や医療現場など、ほかの見学ツアーと組み合わせるとさらに旅の魅力が増す。課題は、製品の製造過程など専門的な内容を分かりやすく外国語で説明できる人材の育成で、日本が観光立国になるためにも必要だ」と話している。
タカラベルモントのショールーム「TB−SQUARE」でシャンプー台の使い心地を試す中国人観光客ら=大阪市中央区
http://www.sankei.com/images/news/171204/wst1712040011-p1.jpg
訪日外国人旅行者数と消費額の推移
http://www.sankei.com/images/news/171204/wst1712040011-p2.jpg
配信2017.12.4 07:18
産経WEST
http://www.sankei.com/west/news/171204/wst1712040011-n1.html
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