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社説：あおり運転　危険回避へ指導が要る https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20171025-00000010-kyt-soci

　多くの人がヒヤっとさせられた経験があるのでは。「あおり運転」である。
　極端に車が近づいてきたり、クラクションを鳴らされたり。不愉快な運転で済まず、死亡事故や暴力事件を誘発することもあり、放置するわけにはいかない。
　６月に神奈川県の東名高速道路でワゴン車が大型トラックに追突され、夫婦が死亡した事故。パーキングエリアで注意した男に追跡され、あおり運転で進路をふさがれ、ワゴン車を止めたあとだった。
　男は自動車運転処罰法違反（過失致死傷）容疑で逮捕されたが、より厳しい同法の危険運転致死傷罪（最高懲役２０年）は見送られた。運転中ではないためという。
　約１カ月前にも男は山口県で車３台にあおり運転し、接触事故を起こしていた。事故の重大性に見合う法規制や再発防止の指導を検討すべきではないか。
　警察庁によると、昨年中に道交法違反の「車間距離不保持」で７６２５件を摘発し、９割近くが高速道路上だった。このうち「あおり運転」の件数は不明だが、決して少なくはないだろう。
　日本自動車連盟（ＪＡＦ）が昨年調査したところ、あおられたことが「よくある」「時々ある」と５４・５％が答えている。
　あおり運転に遭遇したら、どうすればいいか。警察庁は「努めて冷静に行動し、サービスエリアなど安全な場所に避難する。同乗者がいたら１１０番を」と助言している。幅寄せを受け、停車せざるを得ない時は車外に出ないようにする。対応法を前もって考えておけば、パニックになりにくい。
　あおり運転は、急ぎや焦り、イライラだけでなく、社会や対人関係でのいら立ちや怒りも要因になる。国際交通安全学会が２００８年度報告書で指摘している。
　誰もが身に覚えのあることだろう。報告書は対処法の一つとして、調査した職業運転手の発言を紹介している。走っているのは自分の空間ではなく、公共の空間と考えれば、前に割り込む車に対し「どうぞお入りください」とゆとりある感情を抱くことができる−と。
　同学会は感情をコントロールする教育プログラムの開発を目指している。運転教習所などで新しい教育法を取り入れ広めてほしい。
　最近はドライブレコーダーの搭載が増え、あおり運転の実証や抑止に役立つと期待されている。
　しかし、あくまで安全運転に徹するのが第一。自分流のイライラ解消法を身に付けておきたい。
[京都新聞　2017年10月25日掲載]

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