2017年08月09日
庶民の味方[ふるさと納税]は規制でどうなる?
ヤフーニュースより引用
庶民の味方[ふるさと納税]は規制でどうなる? https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20170605-00141744-hbolz-bus_all
サラリーマンでもできる節税方法として圧倒的人気だった「ふるさと納税」だが、総務省が「3割規制」を要請し、曲がり角にきている。各自治体の対応を緊急調査した⇒【資料】「還元率3割以上の返礼品はありますか?」回答◆サラリーマン最強の“節税策”に激震!
近年、サラリーマンでもできる最強の節税方法として活用されてきたふるさと納税だが、“改悪”の兆しが出てきた。4月、総務省が全国の自治体に「寄付額に対して返礼品は3割以下にする」「換金性の高いもの、資産性の高いもの、高額なものを返礼品として送付しない」ことを要請したためだ。
ふるさと納税では1万円の寄付に対し、平均約4000円の返礼品がもらえる。例えば、ある地方に5万円の寄付をすると、お礼として約2万円の返礼品がもらえるのだ。同時に、4.8万円の住民税・所得税が控除され、実質2000円の負担で特産品がもらえるとあって、人気の制度となった。
その一方で、各自治体がより多くの寄付を集めようとし、返礼品競争が過熱している。豪華な特産品を用意するため、調達価格が高騰し、医療や教育、住民サービス向上といった本来の目的のために寄付金が使われていないケースが増えているのだ。また、一部の自治体では、還元率の高い券類や、高額な家電などを返礼品に加えていることも問題視されている。
そこで、総務省が「3割規制」を要請したのだ。この規制でふるさと納税はどう変わるのか?
’15年度の寄付金額が多い上位28自治体にアンケートを実施。23自治体から回答をもらった。まず、「還元率3割以上の返礼品はありますか?」という質問をしたところ、すべての自治体で取り扱いがあることが判明した。もっとも多かったのは「牛肉」「米」「お酒」で、この3ジャンルには18自治体で還元率3割以上の品があった。「果物」「野菜」なども多かった。
続いて、「還元率3割以上の返礼品は見直ししますか?」という質問に対し、23自治体中22自治体が「見直した・見直している・見直す予定」と回答。総務省の要請に反し、「見直さない」と回答したのは、たった1自治体だった。
見直す方法は、個数や枚数など、ボリュームを減らして3割となるようにしたり、お米のように袋の大きさが決まっているものは寄付金額を上げることで3割に抑える自治体が多いようだ。
ただし、総務省は「各自治体の良心に任せる」というスタンスで、3割に収まっているかを確認するわけではない。また、調達価格は「仕入れ価格ベース」という自治体が多いが、「3割」の基準が定まっていない自治体もあり、「価格変動しやすい食品については一律3割と縛るのは難しい」との意見もあった。総務省がどこまで強制力をもって足並みを揃えさせることができるかは不透明で、寄付する側からすれば、食品に関しては以前と変わらずお得な返礼品が残っていきそうだ。
◆3割以上の返礼品が残るケースも?
このアンケート結果を受け、お得情報に詳しいまつのすけ氏は、「今後、ふるさと納税のお得度が薄れていくのは間違いないでしょう」と指摘する。では、我々はどうやって、ふるさと納税をお得に活用していけばいいのか?
「1万円の寄付で、地元でも使える5000円相当の感謝券がもらえるような返礼品は、今後なくなっていくでしょう。しかし、明確な金額がわかりにくい宿泊券のようなものは、なくならないのでは。例えば神奈川県小田原市では、ヒルトンホテルのツインルーム1泊2日夕朝食付きの施設利用券があります。金額は宿泊する曜日や申し込むサイトによってブレがあり、一律に規制することは難しそうです。山梨県山梨市では『富士屋ホテル2名様宿泊券』がありますが、還元率で4〜6割に相当します」(まつのすけ氏)
また、今はまだ高額な家電製品を扱っている自治体もある。例えば、大分県国東市に30万円の寄付をするともらえるキヤノンの一眼レフカメラは、アマゾンで約12万円で売っている。寄付額の4割で転売ができてしまうのだ。
「高額で換金性の高い家電製品に、駆け込み寄付をする人が増えているようです。また、小田原市では直近では1か月に1回、iPadが返礼品としてもらえる特典をゲリラ的に行っています。同様に、通年での提供はなくなっても、期間限定でパソコンなどを提供する自治体はあるでしょう」(同)
まつのすけ氏は、総務省の「3割規制」に賛同しながらも、懸念があるという。
「返礼品競争の過熱はやはり問題なので、基本的に3割に抑えるというのはいいことだと思います。しかし、還元率の高い感謝券や高額な家電製品などを提供していた自治体のなかには、3割に抑えることで、今後、大幅な税収減になってしまう自治体が出てくるかもしれません」
また、もう一つの問題が、自治体の疲弊だ。今回、回答をもらった23自治体のうち11自治体が「確定申告をしないで済む『ワンストップ特例制度』は確かに寄付者を増やすことに繫がったが、事務処理が膨大になった」「寄付者のマイナンバーの確認、マイナンバー情報管理などが大変」といった自治体の事務作業の負担増を挙げた。なかには、「ワンストップ特例は、寄付者にとっても、確定申告をする以上に手間になっているのではないか」という声もあった。
「ふるさと納税は基本的にはいい制度ですが、“バブル”になっていた面もあります。制度が縮小したり廃止になったりすることが一番よくないことで、細く長く続く制度になるのが幸せではないでしょうか。3割規制を機に、振り返るべきときにきているのかもしれません」(まつのすけ氏)
◆’15年度寄付金額ランキング
総務省「平成28年度ふるさと納税に関する現況調査について」より
1位:宮崎県都城市・42億3123万4000円
2位:静岡県焼津市・38億2558万2000円
3位:山形県天童市・32億2784万4000円
4位:鹿児島県大崎町・27億1964万2000円
5位:岡山県備前市・27億1568万6000円
6位:長崎県佐世保市・26億4759万7000円
7位:長崎県平戸市・25億9978万5000円
8位:長野県伊那市・25億8262万7000円
9位:佐賀県上峰町・21億2996万0000円
10位:島根県浜田市・20億9357万3000円
11位:山形県米沢市・19億5824万7000円
12位:千葉県大多喜町・18億5520万6000円
13位:福岡県久留米市・17億5942万9000円
14位:長野県飯山市・17億2243万3000円
15位:北海道上士幌町・15億3655万9000円
16位:佐賀県小城市・14億8449万8000円
17位:宮崎県綾町・13億8034万1000円
18位:山形県寒河江市・13億7178万8000円
19位:高知県奈半利町・13億4993万1000円
20位:北海道根室市・12億9010万2000円
’15年度のふるさと納税による寄付金総額は1652億円。寄付金額が多い上位30自治体で、全寄付額のうち3分の1を占める
【まつのすけ氏】
ブログ「The Goal」管理人。機関投資家で働く会社員。ふるさと納税のほか、投資全般、株主優待、保険、クレジットカードなどについて発信するブログが人気
取材・文/ふるさと納税取材班
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