2017年08月02日
明らかに症状悪化…治療の変更を/肺がん治療最前線
明らかに症状悪化…治療の変更を/肺がん治療最前線 https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170802-01861683-nksports-hlth
<オプジーボだけじゃない(12)大江裕一郎>
肺がん治療30年のスペシャリスト、国立がん研究センター中央病院の大江裕一郎先生(57)が、最新の肺がん治療を教えてくれます。
【オプジーボ、キイトルーダはいつまで続けるの?】
免疫チェックポイント阻害薬のオプジーボ、キイトルーダともに発売間もない薬であり、分かっていないことが数多くあります。その1つが、これらの薬をいつまで継続する必要があるか、です。
これまでの治験では、オプジーボの場合は効果がなくなるまで継続、キイトルーダの場合は効果がある場合は2年間継続すると取り決められていることが多かったです。しかし、効果がなくなるまで、もしくは2年間、本当に継続する必要があるかは、残念ながら分かっていません。
オプジーボ、キイトルーダともに副作用で投与を中止した患者さんでも、投与中止してから長時間効果が継続することが報告されています。また、オプジーボを2年で終了しても、その後、多くの患者さんで効果が継続することも報告されています。効果の得られた患者さんには、必ずしも効果がなくなるまで薬を継続しなくても良いのではないかと考えられています。
オプジーボ、キイトルーダを投与後に一時的に、がんが増大する患者さんが、数%いると言われています。通常の抗がん剤ではこのようなことはなく、がんが大きくなった場合には直ちに投与を中止するのが普通です。しかし、免疫チェックポイント阻害薬の場合には一時的な腫瘍の増大なのか、本当に効果がないのかを見極める必要があります。
患者さんの症状が悪くないにもかかわらずがんの増大がある場合には、もう少し治療を継続してみて1〜2カ月後に再度CT(コンピューター断層撮影)などで評価することもあります。それでもさらにがんが大きくなっている場合や明らかに痛みなどの症状が悪化している場合は、治療の変更が必要です。
◆大江裕一郎(おおえ・ゆういちろう)1959年(昭34)12月28日生まれ、東京都出身。57歳。東京慈恵会医科大学卒。89年から国立がんセンター病院に勤務。2014年、国立がん研究センター中央病院副院長・呼吸器内科長に就任。柔道6段。日本オリンピック委員会強化スタッフ(医・科学スタッフ)、日本体育協会公認スポーツドクターでもある。
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