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2017年07月22日

太陽光発電関連業者の倒産が過去最高 投資家への影響は?

ヤフーニュースより引用

太陽光発電関連業者の倒産が過去最高 投資家への影響は? https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170722-00000014-zuuonline-bus_all


2011年3月に発生した、東日本大震災以降、原子力発電のプレゼンスが低くなり、再生可能エネルギーとして、太陽光発電がもてはやされるようになった。

2012年7月に開始した再生可能エネルギー固定価格買い取り制度(=全量買い取り制度=FIT制度)は、経済産業省の資源エネルギー庁が定める制度で、天然資源の使用を抑えることで、地球温暖化を抑え、海外からの輸入に頼っている化石燃料からの変換を促すことで、自給できる電力を少しでも増やそうとの目的で始まった。

しかし、再生可能エネルギーは、他のエネルギーと比較して、発電コストが高いのが弱点であり、その点を補い、普及を進めるために始めたのが全量買い取り制度だ。つまり、他のエネルギーより高い発電コストを国民みんなでシェアしようというコンセプトである。

この買い取り価格は、再生エネルギー賦課金として、我々電力の消費者から毎月徴収されているお金を充当している。

産業用太陽光発電(10KW以上)買い取り価格の推移は、制度開始の2012年40円、13年36円、14年32円、15年29円、16年24円、17年21円、と下がり続けている。18年のFIT金額は、まだ発表されていないが、21円より低くなることは確実だ。

■倒産件数増加の理由と背景

このような状況下で、7月12日に東京商工リサーチが発表した2017年上半期(1-6月)の太陽光発電関連会社の倒産件数は、45件と前年同期の30件から大幅に増加した。

その原因は、太陽光発電の業界自体の売り上げが、当初想定よりあがっていないこと、過去高額なFIT価格の時にこぞってマーケットに参入した販売会社やメーカーが、FIT価格の下落や他の業者との競争激化により、淘汰され始めたこと、経産省が、太陽光に偏重した再生可能エネルギーを他の代替エネルギーにも注力し、バランスをとっていくこと、などが挙げられる。

特に2016年5月の改正再生エネルギー特別措置法が成立し、今年4月1日から全面施行されたことにより、電力会社との未締結の認定は失効し、様子見だった業者のマーケットからの退場がより一層促されることとなった。

では、太陽光発電関連業者が倒産した場合、投資家はどのような影響を被るのだろうか。

■販売会社が倒産した場合の影響

販売会社は、メーカーと比較すると、規模が小さく、太陽光発電専業で事業を行う会社が多い。また、2012年〜2013年のいわゆる太陽光バブルの時に新規参入した社歴の浅い会社も少なくない。

そのような販売会社が倒産した場合、投資家が被る点は、工事内容に関する保証が無くなること、メンテナンスを受けづらくなる、などだ。

もし販売会社が倒産した場合、投資家は、機器にトラブルが発生した場合、メーカーに直接修理を依頼することになる。しかし、メーカーとエンドユーザーである投資家が直接取引をすることは難しいケースが多いので、メーカーと取引のある販売会社を紹介してもらうことになるが、なかなかスムーズに新たな販売会社を見つけるのは困難を伴う。

また、今回の改正FIT法では、もし、販売会社が倒産した場合、オーナー自ら行わなければならないことがいくつか定義された。

それは、(1)事業計画書の提出 (2)情報掲示(野立ての20KW以上50KW未満)(3)柵堀設置 の3つで、これらを期限内に行わないと、取得済み権利は失効されてしまう。

(1)の事業計画書の提出については、電子申請には設備認定を行った際の登録者IDが必要となる。多くの場合、この申請は販売店が行うケースが大部分なので、このような登録情報は販売店のみ知っているケースが多い。
ということは、もし販売店が倒産した場合、紙様式での事業計画書を提出するほかない。

(2)と(3)に関しては、かなりしっかりしたものを掲示、もしくは棚を設置する必要がある。こちらは、かなり強固なものが求められているので、個人で対応するのはかなり難しいのが現状だ。

■メーカーが倒産した場合の影響

メーカーが倒産した場合は、投資家に対してどのような影響があるだろうか。

太陽光発電のパネルやパワコンなどは非常に高価な設備で、長年使用することを前提で作られている。投資家が長期間安心して使うためには、しっかりしたメーカー保証が必要だ。
大手メーカーだと、最低でも10年、長ければ25年の保証期間を設けている。しかし、メーカーが倒産してしまうと、その保証もなくなってしまう。

また、機器のメンテナンスは、4年に1回が経産省が推奨しているサイクルだが、もし点検で異常や不具合が起きた場合、どうなるだろうか。

ケーブルやパワコンなどの周辺機器のトラブルは、部品さえ合えば、大きなトラブルにならないが、パネル自体の不具合が生じた場合、投資家にとってはかなりのダメージになる。
今年4月に改正された改正FIT法では、売電するためには適切なメンテナンスが要求される。経産省に寄せられたパブリックコメントに対する回答によると、メーカー等が倒産しメンテナンス体制が消滅した場合、設備認定は取り消されるか、という質問に対し、経産省側は、変更の認定を行う必要がある、と回答している。つまり、すぐに売電不可になることはないが、適切なメンテナンス体制を改めて申請する必要がある、ということだ。

特に外資系メーカーの場合、経営体制の見直しや、日本市場からの撤退といった可能性もあるので、十分注意してメーカー選択をする必要がある。

マネーデザイン代表取締役社長 中村伸一
学習院大学卒業後、KPMG、スタンダードチャータード銀行、日興シティグループ証券、メリルリンチ証券など外資系金融機関で勤務後、2014年独立し、FP会社を設立。不動産、生命保険、資産運用(IFA)を中心に個人、法人顧客に対し事業展開している。日本人の金融リテラシーの向上が日本経済の発展につながると信じ、マネーに関する情報を積極的に発信。

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